炭鉱の認可が、連邦裁判所によって取り消し 2016/04/13

      2016/05/13

ABC 2015年8月6日

『Approval of Adani's $16 billion Carmichael coal mine in Queensland's Galilee Basin set aside by Federal Court』

"クイーンズランド州Galilee BasinにあるAdani社が160億ドルをかけたカーマイケル(Carmichael)炭鉱の認可が、連邦裁判所によって取り消しとなった" (英文PDF ...Coming Soon)

 

担当者:Julie

<要約>

クイーンズランド州中央部に位置するAdani社の炭鉱が、2つの危急種に対して官僚的な不手際があったため、連邦裁判所によって認可が一時保留となった。

160億ドルをかけた露天掘りおよび地下炭鉱と、189kmのレールを作るための認可が2014年7月に連邦政府によっておりた。
しかし、連邦環境大臣のGreg Hunt氏がyakka skink(イワトカゲの一種) と ornamental snake(コブラ科の一種) に関するアドバイスを適切に考慮しなかったことが発覚したため、この認可は連邦裁判所によって取り消しとなった。

Mackay保護グループ(Mackay Conservation Group)は今年(2015年)の初め、この2つの危急種のために炭鉱の計画に対して抗議を申し立てた。

裁判所の判決はインドの会社であるAdani社と連邦政府によって同意された。

Hunt氏(訳注:連邦環境大臣)はこの裁判所の判決は大きな問題ではないとした。
“環境省が言っている事というのは、「裁判所が新しい基準として何か新しいものを見つける可能性があり、我々は判断し直したほうがいいかもしれない」という事だ。”

連邦環境省は、声明で、判決は「公判の関係者の全ての団体」の要請によりなされたと言い、
承認のプロセスの全てを一から考え直す必要は無いと言った。

また声明は“これは技術上、行政上の問題であり、この不安を取り除くためには環境省はもう一度この問題に対して考慮するべきであるとした。”

“計画の最終的な決定内容について先立って言及しないが、環境省は、助言とそれを支える証拠資料の用意、そして大臣が最終決定の再考をするのに6〜8週間はかかるだろうと予想している。”

Environmental Defenders Office(NGO法人環境法律事務所:EDO)の第一弁護士でありMackay保護グループの代弁者であるSue Higginson氏は、オーストラリアで一番大きくなり得る炭鉱は法的に不安定な状態に入ったと言った。

彼女は、炭鉱の申請を再考するための更なる情報、すなわちAdani社の環境影響評価報告書に含まれた誇張された雇用の数についてHunt氏に文書を送った。

“これから可能性としてあるのは、大臣が彼の決定を考え直し、それにより、適切な法的手続きを行って炭鉱計画を再認可、もしく破棄する事である。それが大臣が持つ法的権限である”とHigginson氏は言った。

“私のクライアントは、Hunt氏が鉱山の認可を考え直したいのなら、そこには鉱山の膨大な新たな証拠や情報が立ちはだかり、単純に再認可するというと事にはならないだろうと言う。”

Adani社は、クイーンズランド州で自分たちの鉱山、線路、港の計画が確実に進められ、また環境的条件に従うように尽力していると言った。

さらに“承認がyakka skink と ornamental snake の保護を管理するための適切な諸条件を含んでいたことに注目すべきだ。”

“しかしながら、最終認可の際に環境省からある特定の書類が提示されなかったために、現在、取り組まなければならなくなった技術的、法的な脆弱性が生じたと私たちは通知を受けた。”

“Adani社は、専門的に処理されれば、既存の承認に課せられた条件は、強くかつ適切であると確信している。”

クイーンズランド州資源委員会(Queensland Resources Council)の最高責任者であるMichael Roche氏は”法律の抜け穴”は反炭鉱活動家たちに数十億ドルの投資と何千もの雇用を延期するきっかけを与えたと述べた。

Roche氏はこう語る。“行政上の障害によって数十億の投資と切実に必要とされている雇用の創出が延期になるなどと言うことは非常識である。Hunt氏はすぐにこれを解決しなければならない。”

“皮肉なことは大臣はトカゲとヘビの2つの種を考慮した諸条件を承認に入れたにも関わらず、その際に適切な文書が彼の目の前にすべて揃っていたのかを証明することができないという事だ。”Roche氏は述べた。

州の鉱山大臣であるAnthony Lynham氏は裁判所の判断が炭鉱の計画を長い間遅らせないことを願っている。
“私はこのようなことが起こったことに大変がっかりしている。” と彼は言った。

“司法審査は行われ、私はこの問題は技術的なエラーだと思っている。しかし、私達は連邦政府、連邦環境大臣にできるだけ早くこの問題を解決することを求めている。”

しかしながら、Greens(環境保護に関する政治団体)の上院議員であるLarissa Waters氏は、Adani社は連邦裁判所の決定があった今こそ鉱山から手を引くべきだと言っている。

“これはAdani社が手を引くチャンスである。もし彼らが大臣から新たな承認を求めたら、Hunt氏(大臣)は最初に考慮に入れなかった保護に関する忠告だけではなく、Adani社がこの雇用に関する主張を修正したという事実も考えに入れる必要がある。”と彼女は言った。

<感想>

私が最近常々思うのは、自然や生物の専門家以外の人に環境保護の大切さ、重要性を理解してもらうのはとても難しいということです。
動物のことを勉強している人たち(私もそうですが)にとっては、野生動物保全は最重要課題かもしれませんが、世界に目を向けてみると政治や経済、貧困や病気、戦争といった問題に溢れており、当然かもしれませんが”ヒト”は今この時間を生きるのに必死です。このような状況下では環境破壊が同じくらい深刻な問題だということに気付きづらい状況を作り、環境問題に目を向けて他の種を気にかけるということは難しいのかもしれません。権威ある賞を受賞する研究分野に生態学など自然科学系の受賞が少ない(または対象部門がない)ことがそのことを表していると思います。
私が言いたいことは、”だからしょうがない”ということではなく、いかに”その専門ではない人や興味がない人”に、「知り、考え、理解し、行動」してもらうか、を考える必要があるということです。一方的にこちらの意見を述べ、批判するのでは何の解決の糸口にもなりません。
地球温暖化などの環境問題は現在とても深刻な問題となっており、早急な対応が迫られています。政治家や企業側がそれを理解し、専門家らが積極的に意見を主張できる場を設けなければなりません。そして、専門家らも”興味がない人”に興味を持ってもらう工夫や努力が必要なのかもしれません。
このニュースの件は、その地域に棲息する生物のことを重要視せずに人間活動を行おうとした結果です。すぐに判断を下すのではなく、もう一度考え直す期間が与えられたことは意味のあることだと思います。多くの人がそこに棲息する生物に対する認識が高まったのではないでしょうか。
今後、環境問題に関してどのように世界が動いていくのか、期待と不安が混ざっているような思いです。

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