絶滅した哺乳類をNSW国立公園に還す 2015/7/29

      2016/05/18

Australian Wildlife Conservancy 2015年

『AWC(Australian Wildlife Conservancy) to partner with NSW(New South Wales) Government in returning extinct mammals to NSW National Parks』

「オーストラリア野生動物管理委員会(AWC)とニューサウスウェールズ州(NSW)政府が手を組み、絶滅した哺乳類をNSW国立公園に還す」(英文PDF)

担当者:Julie

《要約》

ニューサウスウェールズ(NSW)州では絶滅したとされる、Bilby(ミミナガバンディクート)、Numbat(フクロアリクイ)などの哺乳類が、歴史的な協力関係にあるオーストラリア野生動物管理委員会(AWC)とニューサウスウェールズ州(NSW)政府によって、NSW国立公園に戻されることとなった。この新たな試みはNSW州の歴史上初めてである。
NSW州の環境大臣であるHon Mark Speakman MPは、外来種であるキツネとネコがいないエリアを作るため、AWCと交渉に入ると明かした。AWCは国立公園の広い土地の管理と科学的研究にも取り掛かる。

特別に作られた保護策で囲まれたエリアの中に、Bridled Nailtail Wallaby(タヅナツメオワラビー)、Brush-tailed Bettong(フサオネズミカンガルー)、Western Barred Bandicoot(ニシシマバンディクート)、Western Quoll(オグロフクロネコ)、Bilby(ミミナガバンディクート)、Numbat(フクロアリクイ)等の絶滅した動物が再導入される。

100年以上ぶりに、NSW州にある国立公園はもう一度、オーストラリアで最も象徴的な動物の住処となる。

AWCの最高責任者であるAtticus Fleming氏は、AWCとNSW州政府の協力はオーストラリアの絶滅危機哺乳類を守るための、緊急で現実的な行動を代表するだろうと言った。

この1つの計画は、少なくとも10種のオーストラリアの哺乳類を絶滅から救うのに決定的な役割を果たすだろう。

AWCの提案のもと、Bridled Nailtail Wallaby (タヅナツメオワラビー) とWestern Barred Bandicoot (ニシシマバンディクート) の2種の現存する生息数が100%以上増加されるだろう。また、この他少なくともBilby(ミミナガバンディクート)やBrush-tailed Bettong(フサオネズミカンガルー)、Numbat(フクロアリクイ) 、Greater Stick-nest Rat(コヤカケネズミ)を含む6種の現存する生息数が15%以上増加されるだろう。

このプロジェクトは非営利部門と政府が協力して、私たちの野生動物のための特別な成果を出す革新的な例である。

このようなプロジェクトは今こそ必要である。オーストラリアは世界で最も多くの哺乳類が絶滅した割合が高く、今までに30種の固有哺乳類が絶滅し、60種程が絶滅の危機にある。

オーストラリアの絶滅危惧哺乳類にとって最も脅威的なものは、キツネや野良猫による捕食である。これらの捕食者による影響は、絶滅危惧種の生息数はさらに減り続けているということを意味している。

例えば:
Numbat(フクロアリクイ)の生息数は現在1000頭以下に、またBrush-tailed Bettong(フサオネズミカンガルー)は最近、20万頭から15000頭以下へと潰滅的に激減した。

NSW国立公園に作られる広大なネコ、キツネのいないエリアは、新しく移住してくる絶滅危惧種に安全な保護区を与えることとなる。これから先、絶滅危惧哺乳類を国立公園の中心部より外側に広める目標をかかげた計画が作り出される。

AWCとNSW州はこの歴史的な協力関係の詳細を仕上げるために協働しているところなので、更なる詳細(この取組みが実行される国立公園決定に関する発表を含む)に注目していてください。
NSW州政府はこの重要な取組みの実現のためにNSW大学とも提携していく。

<感想>

一度絶滅した動物の再導入は、イエローストーンのオオカミやモンゴルのモウコノウマ等、成功した例もありますが、日本のトキのように、そう簡単にうまくいくものではありません。
そもそも、その地で絶滅したということは、その土地で生きていけない環境になってしまったということなので、一度絶滅したものを再導入するということ自体に本当に意味があるのか、ということを考える必要があると思います。再導入を検討する際、絶滅した原因、再導入場所の環境、を明確にし、再導入後の自然・人間への影響を十分に考えなければなりません。
オーストラリアは固有種が多く、野生動物がたくさんいるイメージがありますが、現実では野生動物の数は減っており、絶滅の危機に瀕する動物が多くなっています。今回のNSW州での再導入が成功すればかつてのオーストラリアの風景がもう一度見られるようになります。しかし、そのためにはまず第一にその動物が生きていける環境を作り、維持しなければなりません。
再導入は、少し不自然でそれこそ人為的で勝手な行動にも見えます。しかし、人間によって失われた自然を取り戻すことは人間にしかできません。同じ地球に住む限り、野生動物とうまく共存していく方法を見つけ、努力するべきだと思います。
今後どうなっていくか楽しみです。

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