「白鳥の湖」を駐車場にするという企画案を問題として取り上げた 2014/4/16

      2016/05/13

Courier Mail 2013年9月23日

『BCC questions contentious Port of Brisbane proposal to turn Swan Lake into a car park』

"ブリスベン市議会が「白鳥の湖」を駐車場にするという異論の多い企画案を問題として取り上げた"(英文PDF)

担当者:YU KITAMURA

《要約

ブリスベン市議会は、野生生物が集まる湖水を駐車場建設のため埋めたてるという物議を醸しているブリスベン港の提案に対し懸念を呈している。
市議会は、人工的に作られた湿地を整地することによる生物多様性の喪失に対する港側の対処方法に苦情を申し立てている。

バードウォッチャー達から「白鳥の湖」とよばれるその湿地は、14年前に緑地として、また、港が海岸地帯に沿って拡大した際に流水に対応するため(訳者注:開発の悪影響の埋め合わせ)に設けられた。
その地域の激しい土地開発にも関わらず、たくさんの鳥たちが生息するようになり、黒鳥にとって最も重要な湿地のひとつとなっている。
しかし、スペースに余裕がなくなり、ブリスベン港は今、港に停められている2万から3万台もの輸入車のために「白鳥の湖」を埋め立てたいという。

クイーンズランド州保全協議会の議長であるSimon Baltais氏は、もし、州政府がこの(訳者注:14年前に港開発の代償として作られた湖水の)開発を認めれば、土地開発の代償として企業側が埋め合わせを行なう「環境オフセット」が全て無価値になるという前例になるだろうと述べた。「これは開発企業があなたに何かを約束したとしても、後になってそれを放棄するということだ。」
大規模な鉱山や港開発を含む種々のプロジェクトのために提案されている環境オフセットが無価値になるという抜き差しならない状況を生じさせる可能性がある。
「産業が環境オフセットを提案する場合、コミュニティーは多くの信頼を置くものです。」
「コミュニティーが開発に反対している場合、開発企業側は、もし開発させてくれる場合は環境のための埋め合わせをしますという。しかし、今回の湖水の埋め立てが起きてしまったら、もう開発企業を信頼することができなくなります。」

クイーンズランド州副首相Jeff Seeney氏のスポークスマンは、もしブリスベン市議会からの正当な実質的異議がなければ州政府はこのプロジェクトを許可するだろうと述べた。
「ブリスベン市議会は池および隣接する湿地に関して懸念を示している」と彼は述べ、「(州政府の関係する)省はこれらの懸念を解決するための議論の結果に関するブリスベン港の公式な見解を待っている。」
市議会の計画および開発アセスメントの議長であるAmanda Cooper氏は、州政府は、認めようと思えばブリスベン市議会の意見に関わらず、開発を認めることは出来ると述べた。
「市議会は、ため池および隣接する湿地の生物多様性の価値の損失に関する影響への対処方法について懸念を示しています。」
「ブリスベン港が池と関連する湿地を埋めることによる影響を相殺するための措置について、更なる協議を行うべきというのが市議会の見解です。」
ブリスベン港のスポークスマンは、湖の損失を補填するため250,000ドル以上かけて4つのプロジェクトを5年間にわたり行うことで「ランドケア」と取引が成立したと述べた。
プロジェクトには、Minnippi公園、the Lindum Sandy Camp道りの淡水湿地帯、 Wynnum Northの沿道地帯、ベイサイドパークランドにおいて雑草除去、再緑化および景観作りなどが含まれる。
RSPCA(王立動物虐待防止協会)を含む7つの動物保護団体はブリスベン港の提案に戦うために提携を結んだ。
1000羽以上の鳥が住むこの池には150種以上が生息している。

この記事を読んで

今回の記事は、人の開発のために野生生物の住処を奪っていいのかという問題を紹介していました。この問題はどの国にも地域にも生じている難しい問題だと思います。池をつぶすことの代替案が焦点となっている部分もあり、日本でも、生き物の住処を奪ってしまうために代替策がとられた例がないか調べたところ、コウモリで行われていた例を見つけました。
これは青森県の津軽ダムにおけるコウモリを引っ越した話です。
白神山地における目屋ダムの機能向上のため、津軽ダムを建設しようとしたところ、取り壊しの決まった目屋ダムの仮排水トンネルが、希少なユビナガコウモリ(青森県のレッドリストではBランクに分類されています)の青森県に3か所しかない主要な生息地のひとつとなっていることが判明しました。このため、津軽ダムのコウモリを移住させるために人工洞窟が建設されることになりました。仮排水トンネルの取り壊し前に完成させることができ、コウモリが住み着くことのできる環境を整備することは容易ではありません。コウモリへの新しい人工的な住処の提供は、コウモリの定住率が低いという問題があり、2007年沖縄の新石垣空港を建設する際に、希少なコウモリを保護する目的で約1億円かけて人工洞窟が建設されましたが、ほとんどコウモリが定着していないという事例もあります。また、コウモリの保護を目的としたコウモリボックスの設置は世界各地で試行されていますが、その土地の環境によりそれぞれのコウモリが好む形態が異なり、他の地域の物を模倣しても失敗に終わることがあります。津軽ダムの事例においては、専門家の指導を受け、コウモリが住むことのできる場所を探し、コウモリが止まりやすい凹凸を設置する等の工夫がなされた後に、平成20年1月から約月に1回、述べ2,600頭余りのコウモリの移転を繰り返し行い、徐々に新しい住処に慣らし、平成21年1月に最終移転を終了しました。津軽ダムでは定期的な観察を続けており、このようなコウモリの住処を移転させた事例は世界初とされています。
この話からも分かるように、野生動物の希少な住処を奪うことの代替には、その種に対する深い知識と、資金、周囲の同意と協力が必要であり、代替案が動物たちに受け入れられなかった場合には、取り返しのつかないことになります。
今回の港の事例もそうですが、できることならば湖をつぶさないでもらいたいですが、他に方法のない場合には、この湖と同規模の住処を専門的な知識を持って用意してもらいたいと願います。私は岩手に住んでいますが、今の季節白鳥達が群をなして空を飛んでいきます。これから先もずっと、こんな風景が続いていくよう、岩手での白鳥の住処がこのまま残されていくことを、この記事をよんで願わずにはいられませんでした

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