ノーザンテリトリー準州にあるアウトバック野生動物保護区の世界最大の野生化した猫(野猫)根絶プロジェクト 2018/2/6

      2018/02/06

『Outback wildlife sanctuary in NT undertakes biggest feral cat eradication project in the world』(英文PDF)
ABC NEWS 2017年6月12日

担当者:Kou

≪要約≫
44kmのフェンスを作り野生化した外来動物が存在しないエリアを作る試みがアリス・スプリング(Alice Springs)南西のニューヘイブン野生動物保護区(Newhaven Wildlife Sanctuary)で進行中である。

これは世界最大の野生化してしまった猫(以下、野猫)の根絶プロジェクトと言われ、最終的には10万ヘクタールにも及ぶであろう。

第一段階としてまず9,500ヘクタールの土地がフェンスに囲まれ、そして(全体として)26万ヘクタールある敷地の中のより大きい一塊のエリア(訳注:10万ヘクタール)を囲むように拡大していく。

Australian Wildlife Conservancy(訳注:オーストラリアの非営利環境団体の中で最も広大な土地を所有し野生動物の保護活動を行っている。)の戦略マネージャーであるTim Allard氏はこれはとても大きな問題の解決策になるといった。

野猫の数の報告数には差はあるが、毎夜、何百万もの在来種を殺していると彼は言う。

我々は野猫を排除したい。現時点で最も効果的な方法は、フェンスを作り、その中の野猫を排除し、そこに野生動物を再導入することである。

一旦内部に野猫がいない環境を作れば野生動物の個体数は増加するであろう。

戻ってくる野生動物
外来植物、誤った火の管理、野生化した外来動物はオーストラリアの野生動物個体群にとって最大の脅威であるとAllard氏は言った。

野生化した外来動物を排除した状態を保てば、キタオブトイワバネズミ(central rock rat)、 コシアカウサギワラビー(mala)、フクロアリクイ(numbat)、ミミナガバンディクート(bilby)、そして、ファスコガーレ (phascogale)を含む10の在来種が保護区に戻ってくることが期待できる。

Allard氏によると、フェンスが完成したのち、これらの個体群が本来あるべき規模に回復するのにどれだけの時間がかかるかを明言するのは困難である。

西オーストラリア州、マウント・ギブソン(Mt.Gibson)にある我々の所有地で先ごろ行った(フェンス設置の)経験に基づけば、(フェンスが建てられれば)即座に成果がみられる。

最初にマウント・ギブソン(のフェンス内)に再導入した動物はフサオネズミカンガルー(brush-tailed bettong)であったが、彼らは数か月のうちに繁殖していた。

私たちはミミナガバンディクート(billy)、フクロアリクイ(numbat)なども再導入し、繁殖を確認した。

“彼らの脅威を取り除くのには長い時間はかからない、生存可能な住処を与えてあげれば彼ら自身で生存していくだろう”

野猫を排除し続けるために何をするか
ニューヘイブン保護区のマネージャーであるJoe Schofield氏が言うには、約20㎞がこれまでにフェンスのために整地されているという。

フェンスは高さが約1.8mで、上部のメッシュの網は覆いかぶさるような形でひらひらしており、張ったワイヤーで固定されている。

動物が地面を掘って出入りするのを防ぐため、基部にスカートのようなネットを張り、さらに外側に2本の電気ワイヤー(訳注:野生化した外来動物が寄り付かないようにするための電気ショックを与えるもの)をつける予定である。

Schofield氏は、フェンスが破られていないことを確認するために定期的なチェックも行う予定であると言った。

彼はすべてうまくいっており、第1段階は2月までに完了するだろうと言っている。

ヒメフクロウインコ (Night parrot)が戻ってくる可能性は低い
数年前ニューヘイブンでヒメフクロウインコ(night parrot)と思われる目撃情報があったが、それ以降この人目を避ける鳥は姿を見せていない。

しかし、非常に多くの在来種が戻ってくる可能性があるという事で、ヒメフクロウインコが再び現れうるのかという問いが生じている。

Schofield氏はそれは起こりそうにないだろうと言う。

もし彼らがここに居たらと想像することは素敵なことであろう。ヒメフクロウインコは非常に特殊な生息環境のある地域で見られた事がある。

残念なことに、オーストラリアにおける過去100年の火事の歴史(訳注:自然に発生する山火事や、山火事が起きる前に行う管理下の山焼きなどを含む)によって、その特殊な生息地は非常に限局化されており、ここに現在彼らが存在している見込みはとても小さいと私は考える。

捕食者をこのエリアから排除すること、とくに最初の段階の10倍の面積を対象とする第二段階において、あらゆる種類の未来の可能性を開くことになるであろう。

保護区は旅行者の人気の訪問先になるだろう
ヒメフクロウインコが戻ろうと戻らなかろうと、このプロジェクトは世界中から旅行者を引き寄せるであろう。

今後2、3年で、200年前のヨーロッパ人の入植前、つまり野生化した外来動物が侵入する前の環境に立ち返るだろうと彼は言う。

歩きまわれば、ミミナガバンディクート(bilby)、フクロアリクイ(numbat)、そして、ファスコガーレ (phascogale)を見ることができ、素晴らしい場所になるであろう。

我々は、中央オーストラリアに来る人々にとって人気の場所になると強く確信している。

中央オーストラリアは今のままでも素晴らしい場所である。これは、ここを訪れる理由に更なる価値を与えようとしている。

≪感想≫
今回の記事はオーストラリアの事例であったが野生化した外来種、特に野猫(ノネコ)よる在来種の被害は日本でも問題となっている。日本においても野猫の排除は急務とされているが動物愛護団体との衝突などにより実行に移せずにいる。今回の記事のプロジェクトは完全に野猫を含む野生化外来種を完全に排除した際に在来種の個体種がどのように推移するのかを知るためのモデルケースとなると思われる。もちろん山地が多い日本においてこのプロジェクトのようにフェンスを作り外来種を排除することはできない。しかし、野生化外来という日本と同様の問題を抱える海外の事例に目を向け取り入れるべきところを取り入れ、現状を打開しようという試みが大切であると考える。

 - AJWCEFブログ