安定に向かうビルビーの生息数と消えないイエネコの脅威 2019/4/16

      2019/04/16

『Bilby survey finds vulnerable species holding steady, but feral cats continue to pose a problem』(英文PDF)

ABC News 2018年11月4日
文:Steven Schubert

担当者:Julie

≪要約≫
オーストラリア乾燥地帯の先住民によるレンジャーグループによる新たな調査が行われた。それによると、危急種に指定されたビルビーの生息数は安定に向かっているようだ。

“Bilby Blitz” プログラムは、連邦政府が行う生物が生きていくための活動に寄与するため、イエネコやキツネ、植物、制御不能な山火事などによって危機にさらされる生物の、基準となる生息数を明らかにしようと試みた。

このプログラムは先住民レンジャーと協力している。調査では彼らの代々受け継がれている追跡能力が用いられ、現在も使われている巣穴の探索がノーザンテリトリー州と西オーストラリア州に渡って行われた。

ノーザンテリトリー州Tennant Creekに拠点を置く先住民レンジャーの一人、Gladys Nungarrayi Brown氏は、”母と父から実際にビルビーの巣穴を見せてもらって教えられたんだ”という。

“ビルビーに対して強い気持ちがあるんです。ビルビーのことを気にかけていたいし彼らを守りたい。”

イースターの日(2018年4月1日)から先住民レンジャー達は各2ヘクタール248地点とアボリジニ(オーストラリアの先住民族)が所有、管理する全ての土地を調査した。

中央国土評議会(Central Land Council: ノーザンテリトリー州の南地域に関する先住民国土評議会)の地方管理官であるRichard Moyle氏によると、レンジャー達はビルビーの生息を示す形跡を58地点で発見したそうだ。

しかし、それに加えてレンジャー達は、イエネコの形跡を111地点で、キツネの形跡を50地点で発見した。

“イエネコやキツネは、発見されたビルビーが生息していると推測する地点周辺にいます”、彼は続けて言う。

“予想通りではあったのですが、過去にビルビーが生息していたエリアを調査した際、暫くの間そこにビルビーが生息している形跡はありませんでした。”

“また、新しい個体群は見つかりませんでした。”

正確なデータを集める鍵となる多国語の”Bilby Blitz”アプリ

レンジャー達の追跡技術を元にモーション検知カメラを設置し、さらにビルビーとその捕食者の形跡を記録できる携帯電話用のアプリが特別に開発された。

このアプリは英語と、ワルピリ語を含む他2つの原住民族の言語で設定ができ、さらに様々な言語に対応する予定だ。

Moyle氏は、このシステムはBilby Blitzで後世に受け継がれるだろうと話す。

さらに、“原住民レンジャー達は受けた教育のレベルが多様であり、そのような方達に多くの科学的なデータの集め方を伝授することができるはずです。”と続ける。

愛くるしさで人気を集める有袋類のビルビーが危急種に指定されたことによって、他の絶滅危惧種も注目を集められるだろう。

“みんなビルビーが好きなんだ。ビルビーの人気の秘密は可愛らしさとふわふわした毛に包まれたその見た目だね。” Moyle氏は言う。

“ビルビーはとても重要な生き物。もしビルビーを守れたならその生息地を守れたことになり、オーストラリアの乾燥地帯に共通する脅威を取り除くことができるはず。”

Brown氏は、多くの固有の植物や動物を守ることの他に小さな夢が1つある。

“まだビルビーを抱いたことがないので、そのうちにできたらと思っています。”

 

感想
ビルビーはコアラに次ぐオーストラリアの象徴種となりつつあります。

このような調査や活動に現地の人々の理解を得て巻き込み、理解を得ることはとても重要になります。
また、自然と共に生きて来た古来のアボリジニの技術を用いることで、確実な実態調査ができ、アボリジニと強い信頼関係を結ぶことにも繋がると思います。

オーストラリア全土で問題になっている「増えすぎた外来種」。
ビルビーの生息数は減る一歩だったので、今回安定の兆しが見えたことは朗報です。
しかし、未だにキツネやイエネコに脅かされている事実は消えません。
今後も持続的な観察や取り組みが必要となりそうです。

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