駐車場建設の計画から救われたブリスベンのSwan Lake 2014/4/30

      2016/05/18

Brisbane Times 2013年11月3日

『Brisbane's Swan Lake saved from car park proposal』

"駐車場建設の計画から救われたブリスベンのSwan Lake"(英文PDF)

担当者:Kazane

《要約》

ニューマン氏率いるクイーンズランド州政府は、ブリスベン港の管理会社によるSwan Lakeを埋め立てて駐車場を建設する計画を却下した。Swan Lakeは人工の雨水の滞留池であり、黒鳥を含む143種類もの鳥類の生息地で、地元民からもその重要性は高く評価されている。

現在は民営化されたブリスベン港の経営者のトップは、Swan Lakeを埋め立て、さらに10000台の輸入車を駐車できるようにしたかった。
現時点で、その港地区は、複数の大きな駐車場に約30000台の輸入車を保管しているが、そのうちの1つの駐車場では800万ドル近くの収入をレンタル料として得ている。

キャンベル・ニューマン州首相は、民営のブリスベン港管理会社と協力し、より多くの駐車スペースを確保しながらSwan Lakeを維持していくことに自信を持っている。またニューマン州首相は、Swan Lakeの舗装に代るより良い案を見つけるべきだとも発言した。

運輸大臣Scott Emerson氏は、Swan Lakeの駐車場建設の是非の決断に責任を持つ州の商業開発省の大臣Jeff Seeney氏と共に、州政府の決断について次のように説明している。

"私は、このSwan Lakeの生態学的価値について、地元議員Neil Symes氏からのアドバイスだけでなく、環境省のアドバイスも考慮に入れた。それらを踏まえ、Swan Lakeは維持されるべきだと信じているし、私達はそのことをブリスベン港地区の管理会社に伝えた。" (Scott Emerson氏)

さらに、Scott Emerson氏はブリスベン市とブリスベンの港の管理会社間で、Swan Lakeに近接している観光商業地区を移転する計画が決まったことに理解を示した。

環境大臣Andrew Powell氏は、彼自身と彼の率いる環境省は、Swan Lakeの埋め立ての件について、常に多大な関心を寄せていたと述べた。
"Swan Lakeは約140種類の鳥類の住みかとなっており、その中には重要な渡り鳥も含まれている。このように重要な生物多様性を保持しているほか、雨水の保留流域として周囲の工業地帯からの雨水を集め、モートン湾へ流入する前に質を向上させる重要な役割を担っている。"

"こういった環境省側の懸念と地元民の懸念はSwan Lake埋め立て計画をはねのけるのに十分な理由だった。" (環境大臣Andrew Powel氏)

ブリスベン港管理会社は政府の決断を受け入れた。彼らはこの埋め立て計画の却下によって主に影響を受ける自動車産業界と協力し、消費者に対するコスト軽減のために他のより経済的で効率的な駐車場保持方法を追求する意向を示した。

Birds Queenland(バードウォッチング協会)の元代表者であり、Swan Lakeの埋め立て計画に異議を申すSave Swan Lake連盟のまとめ役でもあったMike West氏はこの政府の決断におおいに驚いていた。なぜなら、彼は、政府はこのSwan Lakeの存続を諦めると思っていたし、そのように伝えられてもいたからである。しかし、埋め立て計画に反対する根強いキャンペーンによって、結果が覆ったのである。

バードウォッチャーである彼は、Swan Lakeは非常に重要な場所であり、ブリスベン市が移転を検討中の観光情報センターはここに残すべきであると述べている。

次のキャンペーンのステップは、自動車製造会社に『そもそもブリスベンの港地区に車を保管しておくことが車を錆びさせることになる』という証明を示すことである、と彼は言った。
また、ブリスベン市に対して、観光情報センターを残し、そこを1つの観光センターとして促進するよう求めることが必要だと訴えた。

地元議員であるNeil Symes氏は、Swan Lakeにおける双方に有益な "win-win"の状況へ導いた議論によって、地元の生態を守ろうと鼓舞されたと言った。
また、野生動物保護協会(Wildlife Preservation Society)の代表者Simon Balthasis氏は、このような結果は、地元の人々にとっても野生動物にとってもすばらしいことであると、喜びを示した。

《感想》

日本でも、野生動物に関わらず、沖縄でのジュゴンの海を守ろうとか、ダムやカジノや空港の建設に関して地元民の人がキャンペーンやデモをおこすのはよくあること。そして、話し合いはするものの、利害関係が複雑だったりして、その結果決断が長引いていまだに決着はついていないみたいな件が多い気がする。政府の決断を変えるのには、時間がかかることが多いけど、この記事のように、みんなが納得できる合意形成に最終的に達せたのは、かなりの成功例であろう。この場合、民間の港会社がやや妥協した感がうかがえるが、それほどこの会社の代表者が生物多様性の重要性に納得させられたのか、もともと自然保護に関して意識が高い人だったのかは分からない。しかし、もし、この会社の人がかなり頑固で意思を変えなかったらこの湖は埋め立てられていたんだろうとも少し思う。政府など公的な立場の場合は、その職務上、なるべくどの関係者にも平等でいてくれるので、極端な決断をすることはあまりないが、民間や個人の場合は、たとえ他の立場の人から抑えが入っても、独断で決行する事は一応可能ではある。特に、ビジネス相手だと、キャンペーンではありがちな熱意や熱い気持ちだけでは通用しないと思う。だからこそ、きちんと科学的データを用いた、説得力のある政府の人の、交渉術って大事だなと思った。個人的に、この港区の会社に対して、政府や地元民がどのように説得にあたったのか、この会社が特にどのような点に心を動かされたのかに興味がある。

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