試験的にケープ・オットウェイのコアラたちがローン周辺に移される 2016/4/27

      2016/07/06

Geelong Advertiser 2015年9月21日

『Cape Otway koalas to be relocated around Lorne in trial』

「試験的にケープ・オットウェイのコアラたちがローン周辺に移される」(英文PDF)

担当者:Atsushi.T

〈要約〉

ビクトリア州政府は今週にも、健康状態の悪いコアラを安楽死させると同時に、飽和状態のケープ・オットウェイ(Cape Otway)に生息するコアラをローン(Lorne)周辺地域へ試験的に移す。

(訳注:ビクトリア州ケープ・オットウェイの)国立公園では、コアラの数が大発生ともいえる割合に到達し、ついに自然の均衡が失われてきており、数ヘクタールものマンナ ガム(manna gum)という種類のユーカリを食べ尽くして丸裸にし、生息地に大きなダメージを与え、彼ら自身を飢えさせ、死に至らしめている。

環境関係各省庁(The Department of Environment, Land, Water)によると、獣医師や野生生物管理官は地元の他の生息地の適応性を調べるため36匹を移住させ、健康なメス個体の避妊去勢を行い、不健康な個体は“苦痛から解放するため”に安楽死させる。

2013年と2014年に行われた三度の調査により686匹ものコアラが処分されたという事実が3月に摘発され、オーストラリア・コアラ基金は“非公表の殺処分”だと主張した。これを受け、動物福祉の調査が今後2週間にわたり300~400匹の個体に対し行なわれる。

ディーキン大学の野生生物及び保全生物学講師であるデズリー・ウィッソン博士(Dr.Desley Whisson)はジーロング・アドバタイザー紙に、過去数年に植えられた70,000本のユーカリが、コアラの飢餓を食い止めることに失敗した今、この試験的な移住によって、移住が解決策となりえるかどうか明らかになるだろうと語った。

さらに彼女によると、ビクトリア州での過去数回行われた試みでは上手くいっていないが、カンガルー島から南オーストラリアの南東部へのコアラの移住は成功してきたと言う。

「“遠すぎないこと”こそが鍵だろう。既存のコアラ生息群のない場所と適応可能な環境、他に絶滅危惧種がいない場所を見つけることが大切である。政府はそうしたことに多大な労力を注いできた」とウィッソン博士は話した。

「私は移されたコアラたちが生き延び、彼らの後に続いていくことができることを指を交差して願っています。」(訳注:幸運、成功を祈るときに人差し指と中指をクロスさせる習慣がある)

環境大臣のリサ・ネヴィル氏(Lisa Neville)によれば、この試みではコアラがマンナ ガム(manna gum)というユーカリ以外の木の葉を食べてくれるかを確認するため、ローン周辺地域にコアラを送る。

「私たちは長期的な解決策を構築しようとしている。」と彼女は言った。

ネヴィル氏は個体数が減少している他の州へコアラを移すという提案を退けた。調査結果によると、コアラたちは地元の環境に適応していて他の環境では生き抜くことができなく、その提案は良い影響よりも害を及ぼす恐れがあると判断したためである。
さらにネヴィル氏は、孤児で健康な幼獣を栄養不良や病気を持った母親と一緒に安楽死させるのではなく、野生動物公園に搬送するよう規則を改めたと話した。

オーストラリア・コアラ基金の最高責任者のデボラ・タバート氏は移住の取り組みに関して一層の透明性を求めた。

「私が分布やガイドライン、調査結果、調査計画、倫理、生息地の管理等について(環境省)に訊ねた質問はどれも回答を得られなかった。」と彼女は言う。

「私たちは数年にわたり助言を呈してきたが、不幸にも無益だったようだ。恐らく今、世界が見ているのだから、今後の動向はより一層慎重になるだろう」

【所感】

日本を含めオーストラリア以外の国では非常に珍しがられ、人気の高いコアラ。そんな動物が今、人間活動等で減少している地域がある一方で、過密になり問題化している地域もあるのである。固有種による問題は日本も例外ではない。ツキノワグマやニホンカモシカ等に関しても類似した問題が起きている。このような野生動物問題は様々な問題や価値観が複雑に絡まりあい、未だ議論の余地があるが、官民それぞれがしっかり問題に目を向け連携していくことが不可欠である。この記事をきっかけに、今一度私たちが多大な恩恵を受ける動物たちの現状について認識し、考えていただければ幸いである。

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