夜間、木に登るキツネが現れる!コアラを追い詰めて食べるためか 2017/8/4

      2017/08/04

『Foxes seen climbing trees at night to track down and eat koalas』(英文PDF)
New Scientist 2017年2月10日 By Alice Klein

担当者:つるちゃん

《要約》

ずる賢いキツネには注意が必要だ。初めて、オーストラリアにいるアカキツネが木に登るのが確認された。コアラの赤ちゃんや、その他の無防備な獲物を探すためだ。
ヨーロッパアカキツネ(学名Vulpes vulpes)は1800年代の半ば、狩猟を楽しむためにオーストラリアへ持ち込まれた。キツネはすぐにビルビー、ワラビー、ナンバットなど地上性のオーストラリア在来種を捕食することを覚え、それら在来種の生息数を残酷なまでに減らしている。

これまでのところ、樹上性の動物は安全であると考えられてきた。しかし、オーストラリアシドニー大学のValentina Mella氏による最近の研究では、樹上性でも安全とは限らないことを提唱している。

2016年の半ば、Mella氏は、シドニーから約250Km北にあるリバプール平原でコアラの調査をしていた。その調査の一環として、彼女は数キロメートルごとにカメラを設置して、ユーカリの木々の間にある水辺に水を飲みに来る動物たちを撮影していた。

彼女がその撮影した映像を見たとき、アカキツネが木によじ登る事例が多数あることに驚いた。「とてもショックでした。私はヨーロッパ出身ですが、これまでは木に登るキツネを一度も見たことがなかったのですから。」と彼女は言う。
調査した土地の所有者によると、アカキツネが木に登ることは珍しくなく、時には地面から4メートルの高さにまで登っているそうだ。

映像からは実際に捕食している事例は得られなかったが、キツネたちが、木にいた他の動物たちの臭いを追ってあたりを嗅ぎまわる様子は見られた。これは、キツネが狩りをしていたという十分な証拠になる。
キツネたちが水飲み場に行くことはなく、これは彼らがその付近にいたのは、喉が渇いていたからでないといえるだろう。

オーストラリアビクトリア州にあるディーキン大学のEuan Ritchie氏は語った。「他のエコロジストたちからアカキツネが木に登るということは、事例証拠(訳注:科学的には確証のない逸話的情報)として聞いていましたが、これは我々が思っている以上にふつうのことなのかもしれません。アカキツネはとてもすばしこい動物だから、合点がいきますね。」

「キツネは、おそらく(捕食者である)キツネに対してなじみのある地上にいる動物よりも、こっそりと近づきやすい樹上性の動物たちを狙っているのでしょう」、とMella氏は語る。
「たとえば、キツネにとって、ウサギをつかまえることは難しい。なぜなら、ウサギはキツネのことをよく知っていて、逃げるのはお手のものです。でも、ちいさなチビフクロモモンガ(訳注:小型のネズミサイズのモモンガ)や赤ちゃんコアラがただそこに座っていたならば、簡単に餌食にされるでしょう。」

「そのうえ、ユーカリの木には足場になるコブがたくさんあります。キツネにとって、オ
ーストラリアの木に登ることはヨーロッパの木に登るよりも簡単なのです。ユーカリは、小さな枝しかないヨーロッパの松のような木とは違います。本来の生息地であるヨーロッパで、キツネが木に登るという記録は殆どないのです。」

「もし今後の調査が、アカキツネが樹上性の動物を捕食していることを裏づければ、それはとても壊滅的なダメージになるでしょう。キツネは、好奇心が強くてすばしこいうえ、日和見主義です。この性質は、オーストラリア在来種にとって恐ろしい組み合わせなのです。」

<感想>
先日、房総半島のニホンイシガメがアライグマによって生息数を減らしており、絶滅を防ぐために保護対策を開始した話を聞きました。ペットだったと思われるアライグマが野生化し、川にいるイシガメを食べてしまうとのこと。元気なイシガメを動物園で保護・繁殖させて、アライグマを駆除した後の生息地に戻す計画だそうです。
このような、外来種によって在来種が犠牲になり生態系が脅かされているという事例は、日本でもよく聞きます。オーストラリアや日本のように固有種が多い地域では、その影響も大きいと思われます。多くの人が関心を持つことで、少しでも被害が防げたらと願っています。

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