「帰ってきた女王」と呼ばれるアカウミガメが未知の解明に役立っている 2013/6/22

      2016/05/13

Courier Mail 2013年1月21日

『Comeback Queen helping uncover secrets』

「帰ってきた女王」と呼ばれるアカウミガメが未知の解明に役立っている (英文PDF)
担当者:Kazane

≡要約≡

この老齢のメスのカメは、一般の人々がカメについて知っていることを変えつつある。
『Comeback Queen(帰ってきた女王)』と名付けられたこのカメは、世界で最も長期にわたるカメの研究のメインの調査対象であり、1970年代からバンダバーグ(Bundaberg)の近くのモンレポスのカメの繁殖地(Mon Repos Turtle Rookery)に卵を産んできた。
この絶滅危惧種であるアカウミガメ(loggerhead turtle)は約65歳と考えられており、これまでに13000個以上の卵を産んできたが、その卵からかえった個体が大人になるまで生存していられるのはわずか1000匹のうち1匹である。
環境省の主任科学者であるリンプス博士(Col Limpus)は、これまでに、このカメが陸地で巣作りをする姿を107件記録している。3件を除く104件は全てMon Repos Turtle Rookeryで観測されたものであった。
このカメが最後に観測されたのは1週間前であるが、リンプス博士によれば、超音波がこのカメがまだ全ての卵を産み切っていないことを示しているので、今月末頃にはこのカメが卵を産みにまた海岸に戻ってくると考えられるようだ。
そのとき彼女は、カニや貝を食べるためにいつもの餌場に泳いでいくだろうと思われる。
この「長生き母さんカメ」の旺盛な繁殖力に関して、以下のような疑問が生じる。「卵を産んでいないときにこのカメがどこに住んでいるのか」と「なぜこのカメが生む卵の数が、年齢が高くなるにつれて約125個から最大165個まで増加するのか」である。
これらの2つの疑問が、衛星タグ(動物の体に張り付けることによって動きを観測するトラッキング装置の一種)によって明らかになることが望まれる。
「このカメは少なくとも33年間巣作りをしている。おもしろいのは、卵を産んだときに、卵が大体5個のグループに分かれていて、それぞれのグループは平均して128個ずつの卵からなっていることだよ。」とリンプスさんは言う。
このカメやその他の少数のカメは、私たちにカメという種について教えてくれる。たとえば、カメの寿命、どのくらいの頻度でカメが卵を産むのか、カメの産卵能力のレベルなどである。
「今、私たちはこのカメの孵化したての赤ちゃんカメの研究を始めているところなんだ。この母カメが年を取るにつれて、赤ちゃんカメに何か変化があるのかを知るためにね。私たち人間界では、両親が高齢であると身体が不自由で生まれてくる子供の確立が高いことが知られているけど、カメの場合だったらどうなのかを調べようとしているんだ。」
今季、350のカメがレポス(Mon Repos)に巣を作った。去年はわずかに増えたが、2009年と2010年では減少している。
カメの巣作りが減少した原因は、激しい洪水によるプルーム(河川などから沖へ流れ出た濁流)がカメの生息地を堆積物で覆った為、カメの繁殖が減少したとリンプス博士は話す。」

≡感想≡

野生動物保護にあたって「法的規制」は重要であると思いました。というのも、このloggerhead turtleが絶滅危惧種に指定されており、国と州の双方による法的な規制のもと(*)に守られているからです。特に国の法律によって定められていることは保護の面において大きな影響を持つと思います。なぜなら、州や市町村を超えて連携的な保護政策や保護活動が行いやすい上に、予算もそれだけ多く出るからです。Australian koala foundation がコアラの保護に関して、国による何らかの手段を打つ必要性を訴えているのもこのような理由からだと察せられます。(コアラに関して、国は各州に任せるというスタンスです)
このMon Repos Turtle Rookeryというアカウミガメの産卵所として重要な場所は、クイーンズランドの州が運営するMon Repos Conservation Parkによって保護・管理されているため、開発によりこの場所に家やビルが建つということはあまりないと考えられます。また、NGOやボランティアなどの野生動物保護活動でありがちな資金不足に関しても、国からお金が出るという点でだいぶ助けになるでしょう。とはいっても、国の予算において人々の生活にダイレクトに影響しにくい環境部門は日本でも海外でも予算が少ないことは確かです。
野生動物保護において、何でも法律で守ればいいわけではないですし、逆に法律になったせいで柔軟できめ細やかな活動ができなくなるというデメリットもあるでしょうから、法的に規制するものと、個人やある組織で自由に活動するもののバランスや連携が大切だと感じました。
(*)Australia's Environment Protection,Biodiversity Conservation Act 1999 and Queensland's Nature Conservation Act 1992.

≡参考≡

satellite tags http://www.eeliad.com/newsitems/news1.htm
The IOSEA Marine Turtle Memorandum http://www.ioseaturtles.org/pom_detail.php?id=19
オーストラリア政府―環境―海洋生物http://www.environment.gov.au/coasts/species/turtles/loggerhead.html
Australian koala foundationhttps://www.savethekoala.com/

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