フレーザー島の島民は、観光客の撮影した「思慮の浅い」ディンゴ写真に警告を発する ~観光客が撮影する野生のディンゴ写真の危険性~  2019/10/1

      2019/10/01

『Dangers in focus as visitors snap wild dingos』(英文PDF)

Courier Mail 2019年4月22日

担当者:Akane Shoji

≪要約≫
Chris Clark記

オーストラリアクイーンズランドのフレーザー島において、ディンゴの顔からたった数ミリメートルの距離で撮影された画像を含む配慮の足りない写真がソーシャルメディアに投稿された。

これは眠っていた幼児がディンゴに襲われた事件の数日前である。

これら「思慮の浅い」画像は島民らを憤らせた。彼らは、野生動物がどれほど危険でありえるかということを人々は分かっていないのだと言う。

昨日ソーシャルメディアでざっと検索したところ、今年だけで至近距離からディンゴを撮影した写真が多数投稿されていることが分かった。

先週撮影されたある写真は、ディンゴが少女から1メートルも離れていない写真だった。

その写真のハッシュタグは、#yesthechildrenweresafe(子どもは安全でしたよ)というものだった。

ディンゴの気を引くことは大変よくない行為であり、罰則がある。

州政府は昨日、眠っていた幼児がディンゴに襲われた金曜日の事件に関して、ディンゴに対する正しい知識の再普及が急務であると発表した。

事件にあった生後14ヵ月の男の子は島の東側にあるユーロンという町で、キャンピングトレーラーに乗り込んできた野生のディンゴに15mの距離を引きずられた。

医療補助員によると、彼の父親がなんとかディンゴの群れから息子を救助した。

幼児は頭蓋骨を骨折し、ブリスベンで手術を受けた。彼の容態は落ち着いている。

保護官によると、家族がディンゴに襲われたとき、彼らは柵で守られたエリアの外でキャンプをしていた。

島にもともと住んでいるアボリジニの年配の住民は、ディンゴに関する正しい知識の普及のやり方が近年上手くいっていないと言う。

「私たちの伝統あるこの土地は、手つかずの荒野であることを皆様に知っていていただきたい。そこにはあなた方の愛する人を傷つける可能性のある危険な動物が生息しているのです。」と、Butchulla Aboriginal Corporation(クイーンズランドのオーストラリア先住民からなる地域団体)は言う。

「残念なことに、今年すでにディンゴによる事故が3件発生しています。そして、それらは本来なら避けられることができる事故でした。」

「人々が自分の行動について、もっと責任を持つ時がきています。人間の過った接し方によって、ディンゴを犠牲にしてはなりません。」

オーストラリア政府環境省の代表者は、「ディンゴに関する正しい知識の普及は、島の観光客の安全を確保するために重要なことです。フレーザー島の観光客と島民がディンゴと安全につきあうために、保護官は昔からの島民であるButchulla Aboriginal Corporationと連携して働いています。」と言った。

政府当局は、昨日も依然として幼児を噛んだディンゴの捕獲を試みている。今回の事故は、今年フレーザー島で起きた3度目のディンゴに関わる事故である。

~感想~

今回の記事では、野生動物と人との適切な距離感がテーマになっていました。私自身、野生動物と人との適度なバランスを保っていけたらよいと思い野生動物に関する仕事をしているので、これは、ずっと考え続けていきたいテーマです。

フレーザー島のディンゴの話と同様に、人の野生動物との誤った関わり方が問題になっているケースは日本でも様々な場所で見られます。例えば、近年集落にクマやサル、イノシシなどの野生動物が出没することがニュースになります。この要因は様々ですが、その一つとして人による意図的な餌付けや、意図的でなくてもゴミの放置により野生動物が近づいてしまうことが挙げられます。

また、昔から問題になっている餌付けのほかにも、最近ではSNSの普及により、めずらしくて注目される写真を撮影するために野生動物にむやみに近づいたりする例も増えています。例えば、最近では富山県側の北アルプスで、その保護のために捕獲が禁止されているライチョウのひなを手づかみした写真がネット上に投稿されていたり、知床では野生のヒグマにむやみに近づいて撮影した写真の投稿も見られています。

もちろん、野生動物と人間が完全に関係を断つということはできませんし、彼らの素晴らしさを様々な人が実感することは大切と思います。しかし野生動物はペットと異なり昔からその動物が自然の中で暮らしてきた営みがあるため、私たちがその営みを壊すことがあれば、人間側が危険に曝されることもありますし、動物の側の生態系を壊したり、本来なら殺されるはずのなかった動物を捕殺することにもつながります。

動物側にとっても人間側にとっても不幸な結末にならないように、自然の中に足を踏み入れる際は、野生動物の住処にお邪魔させていただくという気持ちをもって、お互いによい距離感を保って生きていけるようにしていきたいです。

<参考文献>

・環境省HP「野生動物の保護及び管理」https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs3/index.html

・盛岡市HP野生動物「野生動物との接し方」http://www.city.morioka.iwate.jp/kurashi/pet/yaseidobutsu/1001645.html

・朝日新聞デジタル2019年4月4日

「ライチョウ手づかみで…インスタ映え、動物たちの受難」

https://www.asahi.com/articles/ASM417X5PM41UBQU01M.html

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