未だ販売され続ける絶滅危惧種 2013/1/8

      2016/05/18

Courier Mail 2011年4月23日

『Endangered still for sale』

"未だ販売され続ける絶滅危惧種"(英文PDF)
要約/感想:AKANE SHOJI

要約

インドネシア最大の鳥市場に着いてから5分もしないうちに、私たちはサルを買わないかといわれた。私たちが興味のあるふりをすると、販売人はそのサルを見せるために、ジャカルタのプラムラマーケットのうるさくてごちゃごちゃした路地を通って、私たちを裏の小さな角に案内した。そのサルは小さく悲しげで、大体8カ月齢、カリマンタンから来たのだと聞かされた。そのサルは250万ルピー、つまり約270ドルで売られていた。このかわいそうなサルはケージの中でとても気の毒に見え、明らかに怯え、びくびくして、同種の仲間に飢えていた。悲しげな眼の周りにはブロンドの毛が生えており、売り手はこれがなんという種類のサルなのかは正確には分からなかった。私はそのサルを買えという売り手の誘いに乗らないことにしたため、そのサルが取引を厳しく禁止されている多くの霊長類の中の一種なのか、もしくはジャマイカでよく大道芸に使われているもっと一般的なサルであったのかは定かでない。
そのサルの珍しい容貌をみて、そのサルは保護対象のサルで、それを捕まえて売ることは違法となっているのではないかと私はいっそう思う。そのサルは他の一般的なマカク類とは全く似ていなかった。
プラムカ、ジャマイカにある他の二つの主要な鳥市場、そしてインドネシアの各主要都市にある鳥市場で、取引が違法とされている野生動物、特に絶滅の危機にある野生動物を調達したり買ったりすることができるということは、公然の秘密である。
これらの動物(煌びやかなスローロリス、ヒョウ、オランウータンでさえ)は、以前は市場でおおっぴらに陳列されていた一方で、現在はこれらの動物は依然として売られているものの公衆や法の目からは遠ざけられている。ほとんどの動物は市場の裏やその近くに住む販売者の家におかれている。
適切な値段と適切な興味を示せば路地の迷路を通り、それらの動物のところまで連れて行ってもらえる。その路地には様々な種類の鳥であふれたケージ(あるものは悲しげで疲れた様子をしている)、白ネズミのケージ、その日誰かの夕食になるであろうカブトムシの幼虫やバッタの入った箱などが並んでいる。買ってくれそうな人が本当に適切で、警察や野生動物管理局の覆面捜査官ではないことを確かめるために、売り手は値段に合意した後にのみ、その高い動物を見せに連れていくという。
ある販売者は私たちに、自分は650000ルピーつまり約70ドルで手に入るスローロリスを家にもっているといった。スローロリスは夜行性の霊長類であり、絶滅が危惧される霊長類のリストに載っていてインドネシアでは完全に保護されている。これを取引するのは違法なのだ。
ジャカルタ動物援助ネットワークによると、スローロリスはしばしば酷い状態で取引され、咬まれると有毒なため販売業者は彼らの歯をペンチで抜いたり鋭い歯の先を切ったりする。
ヒョウの取引もまた違法であるのだが、その販売者は自分は3頭のヒョウを家にもっていると言っていた。それらは1頭700000ルピー、つまり約76ドルで売られており、もしペアで買うと値引きして買うことができた。やはり、販売者は私たちが値段に合意し、そのうちの一部を支払うまでそのヒョウを見せたがらなかった。
私のブロンドの髪と明らかな西洋人風の姿にもかかわらず、プラムカ市場の販売業者たちはなんの遠慮も示せないようすで、私に近づき野生動物の違法売買を持ちかけてきた。「小さいサルは欲しくないですか?」ある男はいった。「スラウェシのやつで、百万でいいよ。」
他の販売業者はヘビ、ヤモリ、トカゲ、フクロウなどを私たちに見せてきた。

保護されている動物を自宅でペットとして買うのは、高い地位の証である。

ジャカルタの動物援助ネットワークの熱心な創設者の一人であるプラムディア・ハザニ氏はプラムカへ行く前に、カメラをこれ見よがしに見せたり違法な野生動物取引を探しているのを明らかでないように注意しなさいと私たちに忠告する。彼によると、違法取引を行う者たちはマフィアやギャングの類いに保護されており、もし私たちが本当に興味をもった購入者ではないと疑われた場合、私たちは彼らの暴力の一端を被り得るということだった。
プラムディア・ハザニ氏と彼のネットワークは市場で定期的な内密の監視を行い、違法取引者の数を把握している。保護動物の中で最も多い違法取引はスローロリス、リーフモンキー、次いでギボンである。プラムディア氏はオランウータンの取引はますます秘密裏に行われてきていると言う。オランウータンは数千ドルで売られている。
インドネシアの社会における多くのものと同様に、保護対象の動物を自宅でペットとして買うのは自分の地位を示すことになる。なので、一般的に中間層以上の階級が野生動物を買い、気前よくお金を払う。
プラムディア氏によると、保護されている野生動物をペットとして家で買うのは大いに地位の象徴となり、それを友人や客に見せられる。スマトラトラやオランウータンを見せびらかすことは、全て自分の地位を示す為なのだ。
去年の一例として、プラムディア氏の友人は裕福な会社員の家のガス供給業をやっており、その時にトラの鳴き声とはっきりと分かる唸り声を聞いたように思った。そこで彼はプラムディア氏を呼び、プラムディア氏は警察とともにやって来た。4メートルの高さのフェンスの奥には、ケージに入った4頭のスマトラトラ、つまり母親と3頭の子どもがいた。
このスマトラトラたちは救出され、そのうちの2頭は現在アネット・パイプ氏のところにいる。アネット・パイプ氏は、ほぼボランティアを基盤とし、ほとんどない寄付で成り立っているアニマル サンクチュアリ トラスト インドネシアを運営している。
カナダ市民であるパイプ氏は17年間インドネシアに住んでおり、トラの救助といった動物を助ける活動に打ち込んできた。
しかし、それは苦労を伴う戦いである。プラムディア氏が言うように、汚職は動物の保護を意図するシステムにまで広がっており、5年の懲役という法律がある一方で、それを破る人々は十分な富をもつため、そもそも捕まらないように多大な賄賂を払えるのだ。

記事を読んで

今回の記事は野生動物の違法取引についてでしたが、調べてみるとその規模の大きさに驚かされました。2012年のNatureによると、野生動物の取引は世界の闇市において、麻薬についで2番目に大きいとされています。違法貿易についても2012年12月のWWF(世界自然保護基金)の報告によると、野生動物の違法取引は年間190億ドル(約1兆5000億円)以上の市場であり、違法貿易の中では麻薬、偽造品、人身売買に続く第4の規模となっているということでした。
これに対し、どのようなことが行われている、もしくは行えるでしょうか。NGO団体であるWWFは、IUCN(国際自然保護連合)と共同で、野生生物の国際取引を監視し、市場での野生動植物の流通を調べる国際的な機関であるTRAFFIC(トラフィック)を設立しています。TRAFFICは、国内法および国際法や協定に基づき、調査・モニター・報告を通じて、特に動植物にとって有害な野生生物の取引をなくすことを目的として、野生生物の取引状況について調査を行っています。現状や改善のための提言もワシントン条約事務所に対し行なっているということです。このような活動によって地域のデータを集約することで、どのような種が危機にあるのか、どのようなルートで取引が動いているのかなどの情報を明らかにし、より正確な現状把握および対応の助けになるのではと思います。
また、調査のみではなく調査内容を実際に還元し実行するにあたって、政府の介入も必要になるのではないかとも考えます。違法取引業者や販売者にとっては調査や罰則よりも自身の商品の喪失の方を危惧し、今回の記事にあったように査察のかわし方を心得ているなど、実際の法的拘束力が機能していないという例があるようです。このようなことを考えると政府の法によるしっかりとした取組みも重要だと感じます。実際にガーナでは象牙の販売が昔から行われていたそうですが、政府の法的拘束力強化によってその数が減少したという例もあるようです。もちろん野生動物の取引については調査や法のみでは抑えきれない問題もあります。野生動物の違法取引はその国や地域の環境、経済、社会的問題も含んでいるようです。実際に地域資源の枯渇は政府の野生動物違法取引の法的枠組みを揺るがせていますし、地域政府はそれを、多様性や、人間福祉においてさほど重要ではないと考えているという場合もあるようです。やはり、広く問題に注目し人々の、そして政府自身の認識も変えていかなくてはいけないのでしょう。このような点において、民間と政府の相互関係が取組に対する正のサイクルを回すうえで重要になるように思います。もちろん、個人でできることもあるように感じます。個人でできることとしてはやはり、買わない、ということが一番にあると思います。日本においてワシントン条約では生きている動植物としてオウム類ではミカドボウシインコ、コンゴウインコ、植物としてパフィオペディルム属のラン、そのほかにアジアアロワナ、マダガスカルホシガメなどの輸入が禁止され、今回の記事にもあったサル類ではテナガザル、チンパンジー、キツネザル、スローロリスなどの輸入が禁止されています。しかし、日本においてもその条約違反は例外ではなく、実際に一般の旅行者のトランクの中から巾着袋や靴下から旅行先の市場で買った小さなサルが見つかるということもあるそうです。保護されている野生動物の違法取引は日本においても決して遠いものではないということなのでしょう。一人一人が知識を持って、そのような認識を人に伝えていくということも小さなようで重要ではないかな、と思います。
現状ではこのようですが、様々な立場、様々な規模でできることはあるように思います。皆さんはどうお考えですか?

参考

Luís Felipe Toledo et al. (2012). Crime: track illegal trade in wildlife. Nature 483
Rodrigo Farias Silva Regueira et al. (2012). Wildlife sinks: Quantifying the impact of illegal bird trade in street markets in Brazil. Biological Conservation Volume 149, Issue 1
Rosen, Gail Emilia et al. (2010). Summarizing the Evidence on the International Trade in Illegal Wildlife. ECOHEALTH Volume 7, Issue 1 24-32
Esmond Martin. (2010). Effective law enforcement in Ghana reduces elephant poaching and illegal ivory trade. Pachyderm No. 48
TRAFFICホームページ http://www.trafficj.org/
税関ホームページ http://www.customs.go.jp/

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