絶滅危機に瀕しているヌマヨコクビガメがいくつかの地域で生き長らえている。- しかもディンゴの助けによって 2019/12/23

      2019/12/23

『Endangered Manning River helmeted turtle thriving in some areas — and dingoes are helping』(英文PDF)

ABC Mid North Coast 2019年6月17日

担当者:RM

≪要約≫
Emma Siossian記

「生きている化石」と呼ばれている、小さな淡水ガメは、ニューサウスウェールズ州のミッドノースコーストにあるマニング川流域の中上流のみに生息する。

この種は2017年に絶滅危惧種に登録された。

そして環境遺産局の研究者、アンドリュー・スティード氏は、この種が生息環境破壊による生息地の消失、捕食動物、病気の危険にさらされていると言った。

「ヌマヨコクビガメは、その頭、喉、尾に山吹色のストライプがあり、オーストラリアの最も美しい淡水ガメの一つと見なされている。」とスティード氏は言った。

「その祖先は恐竜が消えた時期、つまり5~6千万年前に存在していた。」

「この種は事実上オーストラリアの全種類のカメの祖先である。」

「分類上では属の中のたった4種類のうちのひとつで、4種類のうち2種類もニューサウスウェールズで絶滅の危機にある。」

「ひとつはベリンジャー川カメで、ベリンジャー川にしか生息していない。しかも2016年にほぼ絶滅してしまった。もう一方はナモイカブトガメでニューサウスウェールズ北の大地に生息している。」

マニング川のカメはその川から絶対に離れないとスティード氏は言った。

「首が短いため甲羅の中に首を完全に引っ込めることができない。従って捕食により非常に傷つきやすい。」

調査によりいくつかのカメはその数を増やしていることが発見された。 

ニューサウスウェールズ州政府による固有種保護プログラムの一環として調査が行われている。

そして最近の調査で、マニング川の中上流でいくつかの良い兆候が見つかった。

スティード氏によると、2018年の調査で87匹のカメが発見されたが、今年3月と4月に行われた調査では、マニング渓谷の南にあるグロスター川上流の新しい生息地を含む47カ所で、188匹を超えるカメが発見された。

「これはカメたちが新しい場所で生きており、彼らが不利な条件をはねのけて、異なる流域に住み、絶滅しにくい種を作っているという良いサインだ。」と彼は言った。

「渓谷の西と北で私たちは、適切なサイズ範囲で様々なサイズのカメたちを多く捕獲した。それはその流域のある場所では健全な繁殖数がいることを示している。」

大きな脅威であるキツネ

いくつかの地域では将来を期待できる生息数がいるにも拘らず、懸念は残るとスティード氏は言った。

「全ての支流が合流する流域の中ほどでは、カメの数は非常に低い。」と彼は続けた。

「私たちは他の地域から来たマッコーリー川カメも多く捕獲した。そのことからヌマヨコクビガメがマッコーリー川カメと競合したり、また異種交配するのではないかという大きな懸念がある。」
一般的に一番の脅威はキツネによる捕食

「キツネはカメが川の土手に作った巣を襲ったり、巣作りをしている雌カメを食べてしまう。淡水カメの調査を短期間行っていたニューイングランド台地では、およそ97パーセントのカメの巣がキツネに襲われてしまったことが見つかっている。従ってこれは淡水カメにとって重大な脅威なのだ。野生ブタもまたカメの巣を襲う可能性がある。我々の生態学者が今年カメの調査のためシュノーケリングを行っていた間にも多くの野生ブタを見たからだ。」

ディンゴは意外なカメの味方

スティード氏によれば、ディンゴはヌマヨコクビガメを始め、他の淡水カメが生き残るために重要な役割を果たしている。

ディンゴはキツネを捕食することによってその数を適性に保ち、キツネがカメを襲う機会を減らしていると彼は言った。

写真:ディンゴはキツネを捕食することによりヌマヨコクビガメの生存を確実にしている。(提供:キース・コリア―)

「マニング川の特に起伏の多い、人里離れた源流では非常に多くのディンゴが生息しており、それがキツネの生存数を低くしていると我々は考える。」と彼は言った。

「しかしマニング川の中流に下ると、そこはより開けていてより農業が盛んな土地なのだが、そこではキツネがヌマヨコクビガメに大きな影響を及ぼしていると私たちは思う。もうひとつの示唆として最高位の動物による捕食が生態系にとっていかに大切かということだ。- つまりディンゴがいなければキツネが増え、より多くの野生動物がより多く捕食されるだろう。」

困難なブッシュ歩行と川でのシュノーケリング

 カメの調査は時には困難を伴うこともあるので、マニング川流域の住人が共に行動してカメの生息地に近付く手助けをしてくれているとスティード氏は言った。

「マニング渓谷は非常に起伏が多く、人里離れているので、カメの調査のために罠を仕掛けたり、シュノーケリングをするために川辺まで下りるには多くの困難を伴った」と彼は言った。

「地主たちは本当に協力的で、川まで下りるにはどの道を通ればよいか有益な情報を提供してくれた。」

「安全な生息数を確保するための繁殖プログラムとともにカメの長期的な将来を守るために運営戦略が現在展開されている。」

マニング渓谷住人のケリー・グッピーさんは最近ウィングハムで行われたカメ保護のワークショップに参加し、実際に活動が行われていることを知ることができて素晴らしかったと述べた。

「オーストラリアの殆どの淡水ガメは減少している。オーストラリアの主なカメ研究者の一人であるオーサー・ジョージ氏が素晴らしいコメントを述べた」と彼女は言った。

「『私たちは最も優秀な絶滅記録が欲しいのではない、危険を顧みず行動し関わることが必要なのだ。これらの動物が私たちの目の前からいなくなるのを何もせず見守ることではない。』と彼は言った。」

「彼は遺伝学を研究していて、マニング川のカメたちの祖先は8千万年と実際私たちが思っていたよりはるか昔にさかのぼる。従ってそこには長い長い歴史があるのだ。」

<感想>

ディンゴが間接的に淡水カメの生存を助けているというのは、とても興味深く、ほほえましい話だと思う。記事内にも書かれているように食物連鎖が適正に機能することは重要だと思う。ただ、ディンゴはこの記事では正義の味方として存在するが、家畜や人間を襲ったり、オーストラリア大陸でタスマニアデビルが絶滅した原因と言われたり、一般的には悪者扱いだと思う。野生動物が生きていくことの複雑さを垣間見た気がする。人間がさらに研究、調査を進め、全ての野生動物にとってより自然に生きられる環境を作れるとよいと思う。

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