小さく、毒性も比較的弱いヒキガエルを、オーストラリア固有動物の餌とする 2017/4/4

      2017/04/04

「リック・シャイン教授の考えが、首相科学賞を獲得。
小さく、毒性も比較的弱いヒキガエルを、オーストラリア固有動物の餌とするというもの。」

『Professor Rick Shine’s idea to feed small, less toxic cane toads to Australian animals wins Prime Minister’s science prize』(英文PDF)
News.com.au 2016年10月19日 (オーストラリアネットワークニュース記者筆)

《要約》担当者:RM

<写真> 2016年首相科学賞を獲得したリチャード(リック)シャイン教授。本日キャンベラにて
ブラックヘッドパイソンを持って。撮影:レイ・ストレンジ

「最初、この考えは気違いじみていると思われるかもしれませんが、やってみせます」
本当に思う通りにうまくいくでしょうか?

有毒なヒキガエルを、有毒とは知らないオーストラリア固有種である動物達に捕食させるという考えが、首相による国民科学賞に選ばれてしまった。

シドニー大学の爬虫類研究家であるリック・シャイン教授は、野生のヘビ、トカゲ、有袋類のフクロネコを守るために、ヒキガエルがいない地域に、子供のヒキガエルを計画的に放すつもりなのだ。

非常識な計画に思われるだろうか?
「一見してこの考えは気違いじみていると思われた。-しかしやってみせます」シャイン教授のウェブサイトではこのように述べられている。

『私たちはヒキガエルの本格的な侵入に先立って、子供のヒキガエルを放すことができる。そうすれば捕食動物(訳注:ヒキガエルを食べるオーストラリアの固有種)の、ヒキガエルとの最初の出会いは、大きなものとではなく小さなものとなる。』

『これにより多くの捕食動物は、ヒキガエルは有毒であることを学ぶ機会を得る。- それ以降はヒキガエルを避けるようになる。』この考えはシャイン教授と彼が所属するシドニー大学のチームに今年の首相科学賞として250,000ドルをもたらした。

その理由は?

<写真> シドニー大学の研究室でヒキガエルを持つリック・シャイン教授。提供:ニュースリミテッド

子供のヒキガエルは大人のヒキガエルに比べて有毒性が少ない。
小さなヒキガエルを捕食した動物は、急激な腹痛と不快感に苦しむが死には至らない。
これは彼らにとって忘れない学習となる。

シャイン教授は、2005年にダーウィン近くのアデレード川氾濫原にある、彼の熱帯研究地にヒキガエルが現れて以来、ヒキガエルの影響と行動を詳細に研究してきた。

その間教授はヒキガエル問題に対する提案された多くの『最終的な解決策』の直接的な影響(あるいはその欠けている点)を観察した。

彼のチームのウェブサイト、Cane Toads in Aus.comは、ヒキガエルについて、その習慣や生理、ヒキガエルの管理方法に関する都市伝説が偽りである事を証明するものまで、豆知識を得るのにわかりやすい情報源である。
大量間引きでは、とてもじゃないがもう役に立たない。

<写真> 考えられる餌・・・オーストラリア固有動物にヒキガエルの子供を餌として与える。提供:ニュースリミテッド

『たとえ放出されたカエルのうち95%が殺されても、残りの5%が生き延びていく。』とウェブでは述べられている。とにかく、さらにそれらが次々に急速に増殖していくのだ。

『また別の問題もある。』とウェブ上の説明は続く。
『たとえヒキガエルの数が非常に少なくても、生き残った少数が大きな影響を及ぼす。』

『その理由は、通常のカエルと異なり、ヒキガエルは非常に目につきやすい - 彼らは捕食動物に見つけられやすい、見通しのよい場所で止まっていることを好む・・・捕食動物は、まさに特別大きく、特別愚かな食べられるカエルを見つけた、と思うだろう。』

シャイン教授の調査は次のことを示す。オーストラリア固有の捕食動物たちは、この見知らぬ外来生物を知らないかもしれない、しかし彼らは愚かではない。
1度目は食べようと口にするが、2度目は躊躇する。。。
もし彼らが1度目で生き残ればだが。

このような事象は、我々の期待以上の知性を、オオトカゲなどの捕食動物に要求するように思えるかもしれない。しかしチームBUFO(訳注:リック教授が設立したチーム ヒキガエル)の調査は、多くの固有種が早いスピードで学んでいることを明確に示してきた。

ヒキガエルの侵略が始まる少し前に、選ばれた戦略的に重要な地域に、小さいヒキガエルを放す事は、地元の捕食動物を教育するであろう。しかもより有毒な大人のヒキガエルがやって来た際に、生き残るチャンスを与えるであろう。

『私たちは子供のヒキガエルをあらゆる場所に放すつもりはない。私たちの考えは、(ヒキガエルをよく知る捕食動物がいる)小さな抵抗場所を作ることだ。そのようなヒキガエルに通じた動物たちは、やがてはその土地を再びコロニーにするかもしれない。』

<写真> チームの革新は、固有種の捕食動物へのヒキガエルの影響を排除し得るだろうとリック・シャイン教授は述べている。

<感想>
オーストラリアのヒキガエルのことは知らなかったが、シャイン教授の試みは非常に興味深いと思う。固有種の保護と外来種の駆除が同時にできるのは素晴らしいと思う。現在世界中で外来種が猛威を振るっていて、外来種のために絶滅の危険にさらされている動植物も多い。各国の専門家やボランティアがその対策や駆除に様々な試みをしているが、大きな成功例は聞かない。元を正せば人間が持ち込んだもの。また、外来種もその故郷では固有種。それが目の敵のように扱われるのは、かわいそうな気もする。しかし外来種は環境への適応力や繁殖力が強いから異なる環境でも生き抜き、子孫を増やしている。逆に外来種にならない固有種は適応範囲が狭いのだと思う。このような複雑な条件が絡み合っているので、固有種を守ることは難しい。それでも生物の多様性を守るため、人間が責任を取らなくてはならないと思う。

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