オーストラリアは固有哺乳動物を救うための適切な猫の駆除、間引き処分する 2016/7/6

      2016/07/11

The Economists 2016年1月16日

『オーストラリアの野良ネコ
オーストラリアは、フクロアリクイ(numbat)、その他の固有哺乳動物を救うための適切な猫の駆除、間引き処分する』>

『Feral cats in Australia Felicitous felicide to save the numbat and other native mammals, Australia culls cats』
(英文PDF)

他の過去の記事を見る... http://ajwcef.org/category/blog

担当者:RM

《要約》

殆どのオーストラリア人はウォンバットについて聞いたことがある。しかしフクロアリクイを認識できる人は殆どいない。ウォンバットもフクロアリクイも、18世紀末にヨーロッパ人が初めてオーストラリアに来た時に生息していた315種類の哺乳類のうちの有袋類である。ウォンバットは無事に繁栄している。それより小さいフクロアリクイは、かつては広く分布していたが、今では西オーストラリアにいくつかの群れが存在するのみとなっている。野良ネコによる捕食のため絶滅危惧種として登録されているのだ。ただ少なくとも生き延びてはいる。オーストラリアは世界でも絶滅種の割合が最も高い国の一つである。過去2世紀以上の間に29種もが絶滅種として記録されている。その内、砂漠バンディクート(desert bandicoot)、ミカヅキツメオワラビー(crescent nailtail wallaby)、オオミミホップマウス (large-eared hopping mouse)を含む27種の絶滅に野良ネコが関与しているとみなされている。
ネコは、たぶん流刑囚を運んできたイギリスの船に乗ってオーストラリアに持ち込まれたと思われる。流刑囚と異なり、ネコたちの子孫は野生化し、さらなる脅威となった。今日野良ネコの数は、400万~2000万匹と推定され、その殆どは奥地を生息地とし活動している。彼らは体重15kgになる大きいものも多い。そして、彼らはおそらく毎日7500万匹のオーストラリア固有種を食べている。

議会質問や哺乳動物についての科学レポートは、政府の介入を要求した。連邦環境大臣のグレッグ・ハント氏は昨年、哺乳類の減少を食い止めるために『絶滅危機に瀕した種の戦略』を起こした。火事、生息地の減少、キツネ、その他の外来捕食動物が哺乳類減少の役割を担ったが、野良ネコが「1番の殺戮者」であるとハント氏は述べている。

今後4年間で、オーストラリア全土に10か所のネコがいない保護区を作ることが計画されている。「オーストラリア野生保護(The Australian Wildlife Conservancy)」というNGOは、ノーザンテリトリーの北部の砂漠にあるNewhavenに最大の保護区を作るため、4月に650平方キロメートル(250平方マイル)を塀で囲もうとしている。NGOリーダーのアティカス・フレミング氏は、この地域を『絶滅危機の中心』と名付けている。彼の同僚たちは、いくつかの絶滅危惧種をそこに再導入するつもりである。それにはマラ(mala)という小さなワラビーに似た愛嬌のある動物も含まれる。マラは25年前にオーストラリア本土からいなくなった動物である。またこのプロジェクトは、地元のンガリア ワリピリ(Ngalia Warlpiri)アボリジニ 部族に仕事の機会を与えている。部族の年長の女性たちは「素晴らしいネコ狩り名人である」とフレミング氏は言う。

政府は2020年までにオーストラリア全土で200万匹の野良ネコの駆除を期待している。そのため、ネコ駆除用の特別な餌の試験に対して、また危険をおかして奥地へ行く人々が、ネコを見つけ報告するためのアプリにも同様に資金を用意している。ハント氏はエサによる方法の方が人道的だと主張する。もし特別な餌により、結果的に野良ネコの半分が死んだら、「過去100年のオーストラリアの野生保護の歴史上、最も重要な活動となるだろう。」

この計画的な野良ネコの駆除は、一部の猫愛好者たちを非常に動転させた。フランスで以前性的女神のような存在であったブリジット バードットや不愉快なイギリス人歌手のモリッセイは明らかにその仲間である。しかし環境保護論者は、野良ネコの駆除や塀での囲い込みにより、西オーストラリア州に住むギルバートネズミカンガルー(Gilbert’s potoroo)やニューサウスウェールズ州のタヅナツメオワラビー(bridled nailtail wallaby)など、すでにいくつかの絶滅危惧種が救われたと述べている。フレミング氏は、オーストラリアから野良ネコを完全に駆除するには長い年月を要することを認めている。「それでも塀で保護する方法は決定的な方法が見つかるまでの時間を稼ぐことができる」ことも確信している。

<感想>

とても考えさせられる記事だと思う。オーストラリア固有の動物を絶滅から守るのは非常に重要なことだ。その天敵である野良ネコに対して何らかの対策を取るのは必ず行わなければならないことだ。ただそのネコをオーストラリアに持ち込んだのが人間であることを考えると根本的な原因は人間にある。それをやみくもにネコを駆除するというのは考えてしまう。
この記事を読んで、数年前講義で聞いた小笠原の問題を思い出した。小笠原島でも人間が持ち込んだネコが野生化し、島の固有種であるアカガシラカラスバトを捕食し、その生息数を劇的に減少させた。そこで東京都の獣医師会は現地でネコを捕まえては去勢、避妊手術を行い、一時的に保護施設で人に慣れさせた上で東京都内を中心に飼い主を捜し、数年かかって全てのネコを回収した、というものだ。この活動中フェンスも設置してハトをネコの脅威から守ることも同時に行った。この話を聞いた時、獣医師たちの地道な努力に感動したのを覚えている。
オーストラリアと小笠原ではその広さ、ネコの数で規模が全く異なり、小笠原の方法を取り入れることは難しいが、記事でも述べているようにフェンスの設置による対策が少しでも効果を出している間に、駆除以外の方法を見つけることを期待したい。

 - AJWCEFブログ