タスマニアンデビルにおける重要な繁殖計画が、財政危機に 2015/2/17

      2016/05/18

Mercury 2014年7月31日

『Fight for Tasmanian devils as critical breeding program faces financial crisis』

「タスマニアンデビルにおける重要な繁殖計画が、財政危機に直面している」(英文PDF)

担当者:Sawa

〈要約〉

オーストラリアで最も抜きんでたタスマニアンデビル繁殖計画のひとつが、その将来を危ぶまれている。

The Devil Arkは病気のないデビルを繁殖させていることに専念しているが、財政危機に直面しており緊急の援助の願いを発している。

Devil Arkの統括マネージャーであるTim Faulkner氏は、先日の補助金申請の却下により将来的な運営が“恐ろしい危機”に瀕すると言っている。

「資金なしでは我々はDevil Arkで行っている保全活動を運営し実施し続けることができない。」とFaulkner氏は公に記した。

タスマニア州政府は、Devil Arkは個体数維持への主要な貢献者であり、いまや病気のないデビルはオーストラリア全土において600にのぼると伝えていた。

タスマニアンデビルの個体数はデビル顔面腫瘍疾患により減少しており、捕獲飼育下で病気のないデビルを増やすことが絶滅を防ぐための主要な戦略の1つとなっている。

タスマニアンデビルが絶滅危惧種のなかで、人気や政治的関心が弱まっているという状況に直面し、寄金集めに悪戦苦闘していることに、野生動物の専門家は不安を覚えている。

タスマニアンデビルの専門家であるNick Mooney氏は、その象徴的な動物は寄付金への“気まぐれで流行りものの”関心に振り回されているが、国際的な啓発活動により海外からの寄付を集められるかもしれないという希望がある、と述べた。

民間運営のDevil Arkはニューサウスウェールズ州のBarrington Topsに500ヘクタールの私有地を所有しているが、そこは120以上の健康で野生のままのタスマニアンデビルの家となっており、2016年までに個体数は360まで増えると期待されている。

しかし資金調達が徒労に終わることは、デビルの未来が危険にさらされることを意味しており、統括マネージャーTim Faulkner氏はArkの冬期回報で援助の訴えを発信した。

「タスマニアンデビルのブリーダーとしての成功は傑出し続けるが、資金調達者としての成功は素晴らしいと言えない。我々は最近ニューサウスウェールズ州政府の環境トラスト(訳者注:助成金制度)への寄付金の応募が失敗に終わったことを知らされ、これによりデビルの未来は恐ろしい危険におかれる。」とFaulkner氏は述べた。

The Devil Arkは資金不足に直面しているのだ。

タスマニアンデビル保護論者であるBruce Englefield氏、はこの状況を“悲劇的”だと述べた。

最も優れたタスマニア市民に選ばれた事があり、デビル島プロジェクトの創始者であるEnglefield氏は「タスマニアンデビルはもはやかつての高い政治的優先権を有さないように思える。」と言っている。

Faulkner氏は、オーストラリア爬虫類公園はDevil Arkへの主要な出資団体でありつづけており、100万ドル以上の資金を提供しているが、それでは不十分であると述べた。

「その公園は私立動物園で政府の継続した援助はなく、いまや政府は我々の応募を拒絶しているため、我々は本当の経済危機を目の当たりにしている。」と彼は言う。

Faulkner氏は研究やインフラ整備を行うための政府の補助金はあるが、運営費に対する援助はないようだと言っている。

「デビルの研究プロジェクトには何千万ドルもの予算が費やされているが、私はタスマニアンデビルが史上最も研究された絶滅種になることを恐れている。」

タスマニア州政府は、Devil Arkは保険となる個体数を増やすことに成功した重要な団体の一つであると述べた。

タスマニアンデビル保護計画(訳者注:タスマニア州政府の保護計画The Save the Tasmanian devil Program)は、2010年から2013年にかけてDevil Ark に49万6千ドルの補助金を与えている。将来的な支援はいまだ最終決定されていない。

Kelly氏は国内の繁殖計画に対するアドバイザーであるが、資金調達は確実に難しくなっていると言った。

「現時点での資金調達は本当に逼迫している。」彼はこう続ける。

Englefield氏は自分もまたデビルのために資金調達に勤しんでいたが、タスマニア州北西部のWoolnorthにおける100頭の病気を持っていない野生デビルを囲い込むのに十分な資金を創出できなかったと言っている。

Mooney氏は、世界中の動物園で国際デビル大使プログラム(タスマニアンデビルの存在感を上げるプログラム)が病気にむしばまれた種を救う資金を集められることを望んでいると述べた。

最後に彼は「これは国内のそして国際的な問題である」と綴っている。

感想

タスマニアンデビルの顔面腫瘍疾患は獣医学領域ではとても有名な疾患です。この病気を放っておけばタスマニアンデビルは確実に絶滅へと向かうでしょう。本文にも書かれていましたが、病気を根絶する主要な戦略としては健康な個体と病気の個体を隔離することが有効なようです。デビルの個体数はそれほど多くはないので、個体隔離はそれほど難しくはないのではと“この記事を読む前までは”考えていました。しかしデビルの保護において決定的な問題だったのが、悲しいことにカネの問題でした。政府側がデビルの保護に対してどれだけ真摯なのかはわかりませんが、少なくとも今目の前で起きている現状を把握しきれていないように思えます。Mooney氏が最後に言っていたように、この現状をオーストラリア国内だけでなく日本をはじめとする他の国々でも注目することが、政府を動かす力になると思います。一人でも多くの方がこの記事を読み、タスマニアンデビルの置かれている状況を知ってもらいたいです。

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