“悲劇の展開”: オーストラリアの弱い(絶滅危急種の)コアラ個体群が絶滅と闘う 2017/12/12

      2017/12/12

『'An unfolding tragedy': Australia's vulnerable koala population battles extinction』(英文PDF)
SBS news 2017年5月19日

担当者:Emi

≪要約≫
コアラは2500万年前からオーストラリアの広い地域に生息しているが、都市化、気候変動や森林伐採などの混ざり合った脅威が、ニューサウスウェルズ(New South Wales)州とクイーンズランド(Queensland)州のコアラを絶滅のふちに向かわせている。

都市化、整地、気候の変化が脆弱なコアラの生息地を脅かしているため、オーストラリアのコアラ個体群はニューサウスウェルズ州やクイーンズランド州の広い範囲で絶滅に瀕している。

専門家はブリズベン南東に位置するコアラコースト(Koala Coast)や、ニューサウスウェルズ州北部のペリガ森林地帯 (Pilliga Forests)を含む地域でコアラが全滅してしまうかもしれない“悲劇の展開”を警告している。

ニューサウスウェルズ州のバイロンベイ(Byron Bay)、バリーナ(Ballina)、ポートマッコーリー (Port Macquarie) 、ガネダー (Gunnedah)も同様に脅威の下にあり、同時に、クイーンズランド州のマッカイ(Mackey)とトゥウンバ(Toowoomba) 付近ではコアラの個体数は80%までもの減少に直面している。

過去20年間の分析と今後20年間の予測調査によると、クイーンズランド州のコアラの個体数は合計53%減少している。

NSW州では、同様の期間でコアラの個体数は26%減少している。

絶滅危惧種の日 (Endangered Species Day) に、世界自然保護基金オーストラリア支部(WWF-Australia)が出版した論文は、“生息地の喪失は引き続き、コアラが長期存続にとっての主な脅威となっているが、他の数多くの脅威により一層悪化している” とした。

コアラは2500万年前からオーストラリアの広い地域で生息している。それらは現在のところ、ニューサウスウェルズ州、クイーンズランド州、そして首都特別地域(Australian Capital Territory)で、絶滅危急種としてリストされている。

ヨーロッパ人の入植のあと、数十万頭ものコアラが毛皮の貿易のために殺されたが、それは1930年代まで終わらなかった。そしてもう一つの初期の脅威は、農業のための整地であった。

クイーンズランドの大学の地球変動研究所(Global Change Institute)のクリスティン アダムス‐ホスキング(Christine Adams-Hosking)博士は、都市化による生息地の破壊、採掘、気候の変化によって、農業がもたらす脅威はより悪化してきているとSBS World News(訳注:主要テレビ局SBSの国際ニュース番組)で語った。

“いくつかの地域で[コアラの個体数の]激減が起きているが、まだ個体数がなんとか維持できている所もあります”と世界自然保護基金オーストラリア支部の出版した論文を書いたアダムス‐ホスキング博士は語った。

“コアラたちが何千万年の間この土地にいるのに、この短い時間でこのような速さで彼らを失っていることを考えると、これは本物の悲劇です。

“まさにすべての野生動物にとって悲劇の展開であり、コアラはこの悲劇をはっきりと表している。何らかの対策が必要です。”

“それは同時に、コアラをオーストラリアの象徴的な最重要種と考えるのであれば、私たちがやっている事はあらゆるレベルにおいて非常に間違っているという事を教えてくれています。”

いくつかの個体群の間で局所的な絶滅が将来起こるかどうかを問うと、アダムス‐ホスキング博士は、“それは間違いなく起こると思います”と答えた。

“歴史的にコアラにとっての真の本拠地だったクイーンズランド州南東部のコアラコーストを見てみると、1996年から2014年にかけて80%減少しています。この減少は持続可能ではありません”

コアラの生息地における都市開発の拡大は、道路交通量とペット(訳注:主に大型犬)の増加が原因で、たくさんのコアラの怪我や死亡を引き起こしている。

世界自然保護基金オーストラリア支部は、13年間に渡って、2000頭を超えるコアラが骨折によりクイーンズランド州南東部の野生動物病院に運ばれていると述べた。

骨折の原因の93%は交通事故と犬による攻撃であり、世界自然保護基金オーストラリア支部は、怪我をしたコアラのたったの2%だけが生存できたと付け加えた。

世界自然保護基金オーストラリア支部は、さらに、クイーンズランド州南部の森林伐採が2年間で179頭のコアラを殺し、この地域のコアラの個体群を更に絶滅の方向へと追いやっているだろうという分析結果を公表した。

世界自然保護基金オーストラリア支部の保全科学者であるマーティン・テイラー博士(Dr Martin Taylor)は、コアラたちは、ブルドーザーによる森林の生息地が破壊されたあとに死んだのだろうと語った。

“彼らの木をブルドーザーによりなぎ倒し、コアラにさよならのキスをする――コアラたちは新しい家探しを余儀なくされ、それから車や犬に殺されます”とマーティン・テイラー博士は語った。

“唯一の解決法は、州政府が法外な森林伐採を止めさせることです。”

広範囲で個体数の減少が起こっているにも関わらず、研究者達はいくつかの比較的まだよく調査が進んでいないコアラの個体群の将来については、慎重ながら楽観的でもあります、とアダム・ホスキング博士は語った。

南高原 (Southern Highlands) やシドニー西部のキャンプベルタウン(Campbelltown)で最近コアラが観察されており、そこでは個体数は安定もしくは、増加すらしていると信じられている。

しかし、アダム・ホスキング博士はオーストラリアのコアラを保護に対し統一された方法だけが、コアラの数の減少を止めることができると警告した。

“どうにかして全ての人に十分な意志を持って貰わなければなりません。(市町村から州や連邦政府までの)全レベルの政府組織、全コミュニティ、全業界が、野生動物に対して本当に十分に大切にするために。

“私たちには、立ち止って、考えて、計画するために全ての人の意志が本当に必要です。つまり、これまでの‶ちょっと分け入って、伐採して、その土地を私たちの好きなように使う”という200年しみついた考え方をやめるのです。

“私たちの生物多様性を守ろうとするその前に、変えなければならないのは、200年間のこの考え方なのです。

≪感想≫
コアラの個体数がどんどん減っているということが、比率や個体数の数字データとして書かれていたため、現実に起こっていることなのだと改めて痛感します。
ただ単にコアラの数が減少している原因がわかって死亡した個体数が把握できただけ、そして上辺だけの規制をするだけ、というのではだめで、人々のこれまで定着してしまった考え方から変化させる必要があるという主張は、少し難しいことだけれど確かにもっともであると感じました。
コアラを守る活動を通じて人々の考え方が変化して、コアラだけでなく他の絶滅の危機にある動物たちも守れるようになればとても良い方向に進んでいくだろうと思います。

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