特別ニュース:コアラに関する口論巻き起こる 2012/7/11

      2016/05/25

Courier mail 2012年3月2日

『Koala stoush developing』

特別ニュース:コアラに関する口論巻き起こる (英文PDF)
要約および感想:HITOMI

要約

コアラの保護をめぐっての対立は、クイーンズランド州政府の動物の危険な状態への対応不足を非難している活動家たちによってますます激しくなっている。

オーストラリア・コアラ基金の代表、デボラ・タバート女史は昨日「クイーンズランド州首相であるキャンベル・ニューマンが、連邦政府環境大臣トニー・バーカー氏によるコアラを危急種として登録するという動きをたかが環境基準でしかないと認識したことに対してぞっとした。」と話した。

ニューマン氏は、このコアラの保護が土地開発の妨げとなり、経済成長を抑制するであろう、そして(連邦政府によるコアラの危急種としての登録は)(クイーンズランド州政府与党である)自由国民党(LNP)のコアラを守るという約束の不要な重複であると、昨日、この問題を大きく取り上げた州の副首相のジェフ・シーニー氏も同様に口を合わせた。
「(クイーンズランド)州政府は常にコアラの個体数の保護、またその生息地の維持を保証しています。」と、シーニー氏は言った。開発者には既に環境影響アセスメントの実行が求められており、コアラの保護は州政府計画の規制条項の下でのプロセスの中で保障されてきた。

タバート女史は「25,000匹のコアラが計画規定の下で死んでおり、環境基準は開発者からの更なる証拠書類の提出を必要としなかったのだから無意味だった」と言った。彼女は、連邦政府の態度は連邦政府の環境問題を解決する権限を州や市などの自治体レベルに任せる動きを反映していると話した。
「ニューマン氏のコメントは予測可能であり、私は激怒した人々から多くのメールを受け取りました。」「彼のコメントは時代遅れです。古い環境基準とともに州首相として出てきたことは素晴らしいことのよう聞こえますが、彼は近頃の多くの有権者がどれほど賢明であるかを知らないのです。」

クイーンズランド州資源委員会の最高責任者のミシェル・ロシェ氏は「産業界はコアラの保護の実績に誇りを持っています。」と述べた。
彼は、鉱山開発業者たちは既に生息地を避けたり、影響を埋め合わせているので、今回の連邦政府によるコアラのリストへの登録は余計な規制であるというシーニー氏に同意した。「これは明けても暮れても私たちが行うことです。」と彼は言った。

オーストラリア国立大学、気候変動法と政策センターの副所長アンドリュー・マッキントシュ氏は、「多くの開発が中止になるというのは起こりそうもない。」と述べた。
括弧内:訳者注

背景と客観的視点

今回の新聞記事は、現地の政界事情などの背景を知らないとわかりにくい部分が多いと思いますので、オーストラリアの方から聞いた情報を交えながら私の感想を述べさせて頂きます。
コアラはクイーンズランド州では以前から危急種とされており、コアラ保護の条例により開発には様々な手続きが必要だったそうです。その条例により開拓業者たちは様々な調査や埋め合わせの為の植林などをしなければいけませんでした。しかし、結局はそれを行えば開発は許可されるケースが多いという、コアラにとってみればあまり意味のない活動が続いていたようです。連邦政府レベルで絶滅危惧種に登録されると、その手続きを必要とする範囲が広がり、手続き自体も更に複雑化すると言われていました。今回やっと連邦政府レベルで登録されましたが、コアラ関係者たちは更なる保護に繋がるという期待と、いまだ「危急種」というレベルが変わらないのであれば大して状況は変わらないのではないかという不安が入り混じった複雑な気持ちでいるようです。
一方、開発を進めることで経済復興に繋がると、コアラ保護よりも開発に賛成の人々もたくさんいます。彼らからすれば、これまでと同じように複雑な手続きと埋め合わせによる(保護しているように見える)「コアラ保護」を続けて、うまく開発も許可されれば良いと考えているようです。経済復興の使命を持つ州政府としては難しい立場であり、連邦政府レベルでのコアラの危急種としての登録はあまり嬉しくないようです。
土地開発と野生動物保護の両立は非常に難しいと思われます。特にオーストラリアという国においてはなおさら深刻な問題だと考えられます。
オーストラリアにはコアラなどの有袋類をはじめとする固有種が多く生息しています。また、人間の生活域のすぐ身近に野生動物が生息しており、私は実際にオーストラリアへ行った時に、野生動物との共存が当たり前に受け入れられている、という印象を受けました。野生動物のための救急車があることからも、オーストラリアは野生動物保護に熱心な国だと言えると思います。
また、オーストラリアには広大な土地があり、資源も豊富です。それらもまたオーストラリア特有の強みであると思います。産業を優先にしないと多くの開発が停滞する事態になりえますし、一方で保護を優先させたとしても多くの開発を中止することに経済成長の妨げになってしまいます。最後にアンドリュー氏が述べているように多くの開発が中止になるというのは起こりそうもない、というのが現実だと思われます。
しかし、コアラ保護を望んでいる人たちは、経済成長を望んでいないとは思えません。そこに新たな妥協点が見つかるのではないでしょうか。オーストラリアには、多種多様な生物が生息しており、独特の環境に適応するために固有種も多く、世界遺産に登録されている地域もたくさんあります。こんなに多様性に富んだ生態系が開発によって失われてしまうのは非常に残念です。オーストラリアの固有種が失われてしまったら、地球上からその生物が失われることになります。今はまだ難しいですが、詳細な調査や研究を積み重ねて、土地開発を進めようとしている人たちにもその稀少性や有用性が認められることを願っています。そして、オーストラリアの野生動物保護活動と経済成長が両立していけることを願っています。

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