絶滅が危惧されるオーストラリア野生生物に関する規則緩和について 2014/1/15

      2016/05/13

Environmental News Network 2013年9月11日

『Loose laws threaten Australia's wildlife』

"絶滅が危惧されるオーストラリア野生生物に関する規則緩和について" (英文PDF)
担当者:Yubi

<要約>

オーストラリアはワライカワセミ、コアラ、カンガルーなどの動物や、広大で自然が残る場所として有名である。しかし国全体を通して、これらのユニークな動物や生態系が守られている国立公園や保護地区は危機的状況にある。新しいルールや緩い規則が即時的な経済成長を支える形となり、すでに危機的状況にあるオーストラリアの生物多様性に圧力をかけている。

趣味の狩猟許可がNSW州に導入された。VIC州では国立公園内でのホテル建設が許可される。国立公園内での乾季における家畜の餌やりと、以前は失敗に終わった、試験的放牧を再開させる新しい法律がQLD州政府で通過した。これらの例は、州立法府において、生態学的に無責任な方向へと流れる不穏な傾向を示している。

自然財産への脅威となるものに抗議するため、新ルールを危惧したオーストラリア全土から集まった21の科学者からなるグループが協力し、2013年6月「規制緩和はオーストラリアの野生生物を危険にさらす」という報告書をネイチャー誌にて公表した。

オーストラリアは過去数世紀において世界で最悪の保全記録を持つ国で、莫大な数の固有の哺乳類を失っている。他の大陸と繋がっていないことから、オーストラリアは離島などと同様の絶滅率に悩まされている。さらに、生息地の消失や変異、気候変動、山火事の不適切な管理形態、猫やアカギツネなどの外来生物により、オーストラリアの生物多様性は脅かされている。

「多くの脅威が公共地、私有地で見られているため、危険視されていない生態系を探すのは難しい」と報告書の中心的な著者であるEuan Ritchie氏は言う。
「優先順位の面では、緊急に求められている事とは、既存の自然保護区のより良い使用であって、伐採や家畜放牧などによって新たな圧力を加えて更に弱体化させる事ではない」
「不適切な使用を許可することによって、私たちの絶滅を食い止める為の最前の保全活動(自然保護区)を損なうことは、無謀で筋が通っていないように思う」

タスマニアデビル、leadbearter’s possum、spot-tailed quoll、キタケバナウォンバット(northern hairy-nosed wombat)はIUCNのレッドリストにおいて、最も絶滅リスクが高いとされている哺乳類のごく一部である。何百もの哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、海洋生物がオーストラリアでは絶滅の危機にさらされており、適切な生息地保護なしでは、現存している多くのオーストラリアの貴重な生物たちを絶滅のリスクから守る事はできない。

感想

この記事を読んで驚いたのは、オーストラリアが世界でも「悪い保全」の記録を持っているということである。
日本人から見るオーストラリアは自然に富み、たくさんの固有生物が生息しており、環境保護も盛んに行なわれているイメージである。
しかし実際には種の減少、生息地消失、生物多様性の低下が指摘されているようだ。
(※この「最悪の保全」に関する他の情報を得る事ができなかったので、具体的な評価については知る事ができなかったのが残念である。)
そこへさらに追い打ちをかけるかのように、既存ルールの改訂によって保護されている自然に危険が及ぶ可能性がでているようだ。
前回私が読んだのは、オーストラリアのグレートバリアリーフにおける新たな港の建設中止が決定した、という記事だった。
一方では自然保護の意見が尊重され、こちらでは既に保護されている自然なのにも関わらず、消失される危険が及ぼうとしている。
文中にもあるように、危機に対する対処だけでなく、そもそもの自然保護の体制が重要だと思う。
しかし、その保護ですら、無意味になってしまうのはどうしたらいいのだろうか。

世界の、多くの意見として、自然保護の回復は長期的であり、簡単なものではないことがわかっている。
だからこそ、今、危機的状況にある自然環境の回復を目指して保護を進めるルール作りを尊重すべきときだと考える。
特にオーストラリアは固有生物に富んでいて、失ってしまえば二度と戻らないものが多い。
この新ルールが実行されないよう、今後の動向にも注目したい。

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