ルムホルツのツリーカンガルーの失明は専門家を惑わせるが、それは毒性のある葉のせいかもしれない 2020/1/21

      2020/01/21

『Lumholtz's tree kangaroo blindness mystifies experts, but toxic leaves could be to blame』(英文PDF)

ABC Far North 2019年1月17日

担当者:中村 浩太郎

≪要約≫
Kristy Sexton-McGrath 記

ルムホルツのツリーカンガルー(キノボリカンガルー)は北Queenslandにある熱帯雨林の小地区でのみ見つかっている。

そしてほとんどのオーストラリア人はこのツリーカンガルーの存在を知らない。

通常この動物は梢の上端に身を寄せているが、現在はCairnsの西部Atherton Tablelandsの学校や小屋、道の真ん中といった奇妙な場所で発見されており、見づらく、人々を困惑させている。

カンガルーの失明は、気候条件の変動に潜在的に起因するウイルスが原因のようだと研究者は言う。

Charles Sturt大学の野生動物衛生と感染症学の上級講師である獣医師のAndrew Peters氏は、感染した動物の組織編を検査し、視神経と脳への傷害の証拠を見つけた。

Andrew氏は「私達はこれが新しいウイルス感染、もしかすると新しいウイルスによるものかもしれないことを示唆するいくつかの証拠を見つけました。私達が現在分かっていることは、多数の野生動物疾患、とりわけ新しいウイルスの感染は環境の変化によるものだということです。」と述べる。

通常、発見は不可能に近い。

Karen Coombes女史は、Cairns西部に位置するMalanda付近の彼女の所有地で、怪我をしたツリーカンガルーのケアを20年にわたり行っている。

彼女はこの種についての博士号を持ち、Tree Roo Rescue and Conservation Centreの基礎を築いた。

「7年前、主人と私は年間で数匹助けました。殆どがイヌに襲われたあとと、車との衝突によるのものでした。そして、とりわけ私が注目したのは物に衝突する一匹のツリーカンガルーでした。」

そして合点がいきました。

ツリーカンガルーは通常木の上に住み滞在していることから見ることは通常難しいが、現在奇妙な場所で発見される、と述べ、「彼らは適切にものを見ることができないため、混乱し最終的にいるべきではない、学校や裏庭の小屋といった場所に行き着いてしまうのです」とCoombes氏は言う。

毒素が失明の原因となっているかもしれない

彼女は該当するエリアの継続的な乾季が種の眼病に寄与しているという。

有袋類は彼らが住む熱帯雨林の木の葉を過剰に摂食する。

「葉はかなり毒性がありますが、私達は過去7年で通常より乾燥した天候を経験しました。これにより恐らく葉は通常よりもさらに毒性が高いのです。なぜなら木は水分を失っているため、恐らくこれらの毒素はより濃縮されています。」とCoombes氏は述べる。

Andrew博士はこの理論は最もだとして以下のように述べる。

「これらはたしかに一見の価値のある提議です。最も大事なことはこれらをいち早く検知し、何が原因となっているか、背後に何が潜んでいるのかを努力して理解することです。そして私達は解決策を起こし、カンガルーの振る舞いを変える方法の手助けを始めるために地域社会とともに務めることができます。」

写真:不可解なウイルスが動物の失明の原因となっている。(提供:Dr. Karen Coombes)
写真:ほぼ知られていない有袋類はオーストラリアの中で最も独特な自然動物である。(提供:Dr. Karen Coombes)

 

【この記事のポイント】
・気候変動がツリーカンガルーの失明につながっていること。
・いくつかの原因が考えられるが、具体的な原因は解明されていないこと。

【この記事を読んでの感想】
オーストラリアでの実習でもツリーカンガルーの失明について聞く機会がありました。この記事でも言及されていますが、失明の原因は未だに判明しておらず、ウイルスや気候変動、葉のもつ毒性、加えて都市開発によるストレスなども原因とされているようです。現在も研究者の皆様が原因究明を急いでおられるようですが、動物園で飼育されているツリーカンガルーの一部は飼育開始後に視力が回復したケースなどもあるとのことで、非常に追究に時間がかかると予想されます。地球温暖化が叫ばれていますが、このように非常に複雑な疾患を引き起こしている可能性もあり、世界中で気候変動がどのような影響を与えているのか計り知れないことの具体例としてこのニュースを見ることができます。特にオーストラリアに特有の有袋類の失明について、といったニュースは意識的に情報収集しなければ日本国内で情報を得ることは難しいと考えられます。現状を知っていただくことの一助になれば幸いです。

 

 - AJWCEFブログ