クイーンズランド州のカメから高濃度の金属元素が発見された2017/8/25

      2017/08/25

『Elevated metal levels found in QLD turtles』 (英文PDF)
TheVeterinarian 2017年2月号
担当者:a.k.

《要約》

ある研究プロジェクトは、クイーンズランド州のカメの血液から、有害となる可能性のある濃度の天然鉱物のコバルトを検出した。コバルトは、環境汚染物質にもなりうるものである。

クイーンズランド州は世界最大のコバルト輸出地の一つである。

研究者C.Alex Villa氏はQueensland Alliance for Environmental Health Sciences(クイーンズランド環境保健科学同盟、クイーンズランド大学とクイーンズランド・ヘルス(訳注:州政府の機関)とのパートナーシップ)に所属しており、沿岸地域に生息するアオウミガメ中の金属元素に関する論文の代表執筆者だ。

クイーンズランド州のグレートバリアリーフ北部、ホウィック島に生息するカメたちは、局所的な人為的環境汚染から免れており、研究者たちがクリーブランド湾やアップスタート湾、ショールウォーター湾(いずれもクイーンズランド州に位置する湾)に生息するカメの個体群と比較するための基準となっている。

「クリーブランド湾やアップスタート湾で調査されたカメたちは外見は健康に見えたが、彼らの血中コバルト濃度はグレートバリアリーフの金属元素の基準濃度(先述したホウィック島のカメの血中濃度)と比べてはるかに高かった。アップスタート湾のアオウミガメでは私たちの研究で確立した基準値よりも4~25倍も高い血中コバルト濃度を検出した。」とVilla氏は述べた。

「基準値より高い他の金属元素もクイーンズランド州沿岸のカメから検出された。具体的にはモリブデン、マンガン、マグネシウム、ナトリウム、ヒ素、アンチモン、鉛である。」

アップスタート湾は田舎の沿岸部にあるが、バーデキン川はオーストラリアで最も大きい流量を誇る川の一つで、130,000km²もの集水域を取り囲んでいる。

クリーブランド湾はタウンズビル(クイーンズランド州の都市)に隣接しており、そこでは金属加工が主な産業となっている。一方ショールウォーター湾は断続的な水中破壊や爆発物処理が行われている軍事エリアとなっている。

共同執筆者であるクイーンズランド大学のVet-MARTI unitの獣医師Mark Flint氏は「アップスタート湾で調べられたカメの44%は、システマティックなストレス因子の兆候や活動性炎症反応を示していた。」と述べた。

彼は「コバルトやアンチモン、マンガンの濃度の上昇は、臨床的な炎症マーカーと、毒素の浄化に必要とされる臓器へのストレスを示すマーカーに大いに関係している。」と言う。

今年アップスタート湾で調査された161匹のカメの4分の1は、軽度から重度の眼病変を有していた。

「私たちはなぜこのような事態が起こっているのかわからない。この感染は細菌性であり、ウイルスではなかった。だから、それはこれが危機にさらされている個体群だというもう一つのしるしである可能性がある。」とFlint氏は述べた。

共同執筆者のCaroline Gaus氏は去年、クイーンズランド州沿岸に生息するアオウミガメは、未知の影響を持つ数千もの化学物質にさらされているという調査結果を公表した。

【感想】
上にあげられている金属は、現代には欠かせないものです。この金属を消費しているのはクイーンズランド州の人たちだけでなく、世界中の国々であり、そこには当然日本も含まれます。私たちも無視できない問題です。
しかしながら、オーストラリアの産業を支えている金属工業をやめるというのは今更不可能に近いでしょう。地元の人たちに呼びかけることで解決する話ではないため、この問題はすごく難しいと思いました。この発見が公表されたのは比較的まだ最近のため、今後どのような取り組みが行われるのか興味深いです。

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