記事①「ペンギンが気候変動に苦しんでいる」と科学者は言う 記事②巨大な氷山がペンギンのコロニーを陸地で囲み、15万羽のペンギンが死亡する 2016/11/22

      2017/03/27

記事①The Guardian 2014年1月30日
『Penguins suffering from climate change, scientists say』(英文PDF)

記事②The Guardian 2016年2月13日
『150,000 penguins die after giant iceberg renders colony landlocked』(英文PDF)

担当者:Akane Shoji

記事①《要約》〈「ペンギンが気候変動に苦しんでいる」と科学者は言う〉

気候変動に伴う極端な環境状況によって、ペンギンが危機に瀕しているという研究が示された。
最新の2つの研究は、アルゼンチンと南極大陸における地球温暖化の影響にどうにか対処しようとしているペンギンコロニーの厳しい状況を取り上げている。どちらの地域においても、この魅力的な鳥は不確かな未来に直面している。

科学者たちによると、アルゼンチンのプンタタンボにある世界最大のマゼランペンギンコロニーでは、気候変動によって暴風雨と熱波の確率が上がり、雛が死亡している。

一方同じくして、南極のロス島のアデリーペンギンは、溶けつつある海の氷が断片化し、大きな氷山を形成するのにつれ、餌をとることが難しくなっている。

彼らのコロニーを暴風雨が襲ったら、産毛でのみで守られたマゼランペンギンの雛は自身で雷雨に立ち向かわなくてはならず、死んでしまうだろう。一方で、猛暑が襲ったら、防水に適していないために、水に浸し体温を下げることが出来ない。

アメリカ合衆国にあるワシントン大学のジンジャー・レブストック博士は、アルゼンチンにある40万羽強のペンギンコロニーの研究に27年間携わっており、「気象学者らが予測したように、もしも影響を受けやすい繁殖期に、気候変動の影響で、もっと大きな嵐がもっと頻繁にやってきたら、我々は雛が一羽も生きられないような年を目の当たりにすることになるだろう。」と言う。

研究によると、平均で65%の雛が毎年死亡し、40%ほどが飢餓によるものである。気候変動は平均して雛の死亡原因の7%であったが、いくつかの年においては最も主要な原因であった。ある年においては、すべての雛の死亡うちの43%が気候変動によるもので、他のある年では50%だった。

研究者によると、気候が変動するにつれて、飢餓と天候はより一層相互に影響するだろう。「飢餓状態にある雛は、嵐の中ではより死亡しやすくなる。」と、ジンジャー・レブストック博士と同じくワシントン大学で研究を行っているディー・ボエロスマ教授は言う。

ロス島では、雛を育成するアデリーペンギンの採餌能力についてのデータを科学者らが13年間集めており、ペンギンの採餌能力は通年の海の氷に依存する。科学者らは「通常の」状況においてはペンギンたちが氷の密度の変化に対応できることを発見した。

しかし、巨大な氷山がある場合は彼らが獲物(魚)を得る機会が減少した。もしもそのような状況が通常の状況になったら、一体どれほどのペンギンたちが生き残れるだろうか。

「もしも、このような極端な状況がよく起こるようになれば、その際にペンギンたちがどのように将来的な海の氷の変化に対処するのかを予測するのはとても難しくなるだろう。」と、フランスにある機能及び進化生態学センターの主任研究者であるアメリー・レスクロエル氏は言う。

どちらの研究も、オンラインジャーナルのPublic Library of Science ONEの最新号に掲載されている。

記事②《要約》〈巨大な氷山がペンギンのコロニーを陸地で囲み、15万羽のペンギンが死亡する〉

南極のデニソン岬のペンギンたちは、ローマほどの大きさの氷山に囲まれ、餌を捕るために往復120㎞の旅をしなければいけない状況にある。

南極に住む想定15万羽のアデリーペンギンがローマ程のサイズの氷山がコロニーの近くに漂着した後に死亡しており、これによってペンギンたちはエサを探して60㎞の苦しい旅を余儀なくされた。

デニソン岬のコモンウェルス湾のペンギンたちは、かつては大きく開けた海水面のそばに生息していた。しかし、2010年に、2,900㎢の巨大な氷山が湾に漂着し、ペンギンのコロニーは氷山よって周囲を陸地に囲まれた。

餌を探しまわるペンギンたちは、今や魚を求めて60㎞の距離をよたよたと歩かなくてはならない。何年にもわたって、無謀な旅がペンギンのコロニーの大きさに破壊的な影響を与えてきた。

オーストラリアのニューサウスウェルズ大学にある気候変動研究センターで行われた研究によると、2011年以降は、16万羽いたペンギンコロニーが1万羽に減少した。科学者らは、海の氷が割れるか、B09Bといわれている巨大な氷山が取り除かれない限り、ペンギンのコロニーは20年以内に消滅すると予測している。

ペンギンたちは100年以上にわたって、この地域で記録されてきた。しかし、デニソン岬に残っているペンギンの見通しは、悲惨なものである。

「東南極大陸のコモンウェルス湾におけるB09B氷山の到着と、その後に起こった氷の早期拡張によって、デニソン岬で繁殖するアデリーペンギンが餌を探して旅をしなければならない距離が劇的に増加している」と、『アンタークティック・サイエンス(Antarctic Science』という雑誌の記事の中で科学者は言っている。

「B09Bが移動するか、湾にある氷が割れない限り、デニソン岬のペンギン数の生息数は20年以内に根絶するだろう」

「このことは、東南極大陸沿いでの氷山の漂着や海の氷の拡張の影響を調査するための、自然実験を提供している。」

一方で、研究者曰く、コモンウェルス湾からたった8㎞のところに位置するペンギンのコロニーは繁栄している。

氷山は、氷河にぶつかって湾に漂着するまでに、20年間かけて岸のそばまで漂ってきたようだ。

<感想>
記事を読んで… AKANE SHOJI

この記事を読んで、2,900㎢という氷山の大きさにも、それによって死亡した15万羽というペンギンの数にも驚きました。自然の現象は私たちの想像の規模をはるかに超えています。人間の想像を超えた規模ではありますが、地球温暖化には人間の活動も原因の一つとして深く関わっています。長い年月でみると地球の気温は変化していますが、産業革命以降、化石燃料の使用の増加や森林の伐採等によって、自然現象のみでは説明できない速度で気温が上昇しています。
地球温暖化によって、様々な野生動物に影響が出ます。WWFによると、餌が取れなくなったり、海水面の上昇によって生息地を失ったり、ウミガメのように温度で生まれる雄雌が決まる動物は、一方の性別しか生まれなくなるなど、野生動物が大きな影響を受けることになります。「One in six of world’s species faces extinction due to climate change-study」という記事では、気候変動に何らかの手段を講じないと6種中1種の割合の種数が永遠に絶滅してしまうと言われています。特にオーストラリア、ニュージーランド、南米など、そこにしか生息していない種が多くいる場所では、大きな影響を受けます。比較的小さな島では、気候変動の影響から逃れるために、生物が他の場所へ移動することもできません。例えばオーストラリアでは、white lemuroid ringtail possum というポッサムが気温上昇によって、今にも絶滅しようとしています。また、グレートバリアリーフの露頭に生息するBramble Cay melomy というげっ歯類は70年代には100匹ほど確認されていましたが、2014年の調査では確認されませんでした。これは温暖化による海面上昇によって、餌と生息地を奪われ、初めて絶滅が記録された哺乳類となっています。
このように現に温暖化によって絶滅している動物がいる中、私たちはなにができるでしょうか。巨大な氷山を人間の手で砕くことは不可能かもしれません、しかし、そのような悲劇が起こらないように、一人ひとりが何らかの意識をもち、行動につなげることはできるのではないでしょうか。

<参考文献>
・パンフレット「STOP 温暖化2015」 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/stop/2015/
・WWFホームページトピック https://www.wwf.or.jp/activities/2009/09/720414.html
・記事「One in six of world’s species faces extinction due to climate change-study 」https://www.theguadian.com/environment/2015/apr/30/one-in-six-of-worlds-species- faces-extinction-due-to-climate-change – study
・記事「Australian Rodent Is First Mammal Made Extinct by Human – Driven Climate Change, Scientists Say」
https://mobile.nytimes.com/2016/0615/world/Australia/climate-change-bramble-cay-ru0dent.html

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