洗顔スクラブ中のプラスチックマイクロビーズ 2015/6/12

      2016/05/18

The Sunday Morning Herald誌 2014年4月6日 Neil McMahon記

『Plastic microbeads in facial scrubs causing damage to environment』

"洗顔スクラブ中のプラスチックマイクロビーズの環境に対するダメージ" (英文PDF)

担当者:sawa

《要約》

せっけんの泡に含まれる、洗面用品の微小なプラスチック粒子は海洋の環境に入り込んでいく。
見栄え、そして広告の力に対する我々の弱さは消費者の一日の習慣を変化させ、深刻な環境の乱れを助長している。その犯人は、マイクロビーズである。

洗顔フォームから歯磨き粉に至るまで私たちが日々使う製品にはプラスチックがわずかに含まれ、健康を増進するものとして声高に広告されているが、これは既に起こっている恐ろしい問題を更に加速的に悪化させている。排出されたプラスチックにより世界の海洋、湖沼、河川が汚染されているのだ。

マイクロビーズが特に脅威的であるのは、最初から殆ど目に見えない微細プラスチック(microplastics、0.1~0.5mmと定義される)の状態で、お風呂場の排水溝から流れ出て環境中に侵入していくからである。

細粒状で浮遊性があり下水システムにより取り除かれないため、マイクロビーズは海洋生物に素早く飲み込まれて、捨てられたペットボトルよりも即座に危険な存在となる。微粒子は食物連鎖にも入り込む可能性があるため、自分で洗顔フォームを食べるわけがなくても、魚を食べればそれを口にしているかもしれないのだ。

さてここで、マイクロビーズは私たちの肌に何の利益があるというのか。

それは、ほとんどないのだ。オーストラリア皮膚科学大学特別研究員Greg Goodman准教授によると、近年私たちが肌を洗うことに固執することは、殆どの人にとって良いことではなくむしろ悪いことであるという。

「人々はすべて洗い落としているが、私たちは床ではないのだから磨き上げ、仕上げをし、ゴシゴシこする必要はない。ほとんどの皮膚科専門医は皮膚の角質を落とすことを好まない。それは皮膚のバリアー機能がそぎ落とされ、皮膚にとって良くないことだからである。ゴシゴシこすって角質を落とすということは、肌を良い状態に保っている最表層を取り除いているのだ。」と彼はいう。

化粧品のマイクロビーズを使うことは最近のことであるが(Goodman博士いわく殆どの特許は5、6年前からに過ぎない)、すでにその悪影響に対する反発運動が起こっている。アメリカにある5 Gyres 協会(5 Gyres Institute)は昨年アメリカ五大湖における微粒子汚染が深刻なものであったためそれらを禁止するキャンペーンを行った。

オーストラリアでは、マイクロビーズにより引き起こされる害についてほとんど研究がされていない。しかし、セントラルクイーンズランド大学グラッドストン校の海岸管理の専門家であるScott Wilson博士は海洋生物への危害が起きており、人間に対しても害を及ぼす恐れがあると述べている。

「我々は潜在的な害がどんなものなのかを明らかにしようと研究し始めたばかりだ。微細プラスチックが摂取されている事は分かっている。我々がこれらの微細プラスチックを消化管の内部に持っていることを確認した多くの生物種がある。さらに組織中に微細プラスチックが取り込まれるものもある…つまり、食物連鎖を通じプラスチックの栄養輸送が起きている。突き詰めていけば最終的には、もし私たちが魚や海洋生物を食べたら、潜在的に輸送があり得る。海洋生物だけでなく人に対してもどのようなリスクが存在するのかを理解する必要がある。」

ニューサウスウェールズ大学の気候変動研究センターのErik van Sebille博士は、マイクロビーズの影響は人口の多い都市部の中心でみられると述べている。

「食料供給の観点から言うと、プラスチックが小さければ小さいほどその害はより大きくなることがわかっている。マイクロビーズのようなものに関する私の仮説は、下水道システムがまさに海に合流する地点で害が起っているのではないかということである。」と博士はいう。

有名化粧品製造業者は今後3~5年にかけてマイクロビーズの使用を段階的に廃止すると言っている。ザ・ボディショップ社はその先端を行っており、広報担当者は今年の末までに自社製品をマイクロビーズフリーにするとフェアファックスメディア(訳注:オーストラリア最大手のマスコミ)に宣言している。Goodman博士は、消費者にとってより簡単な解決策があるといっている。それは自然物(オートミール由来の石鹸が良い)を使う、または全くゴシゴシ洗わないことだと指摘する。

「私たちは肌のキュッキュッという感触を健康的だと取り違えているが、それは全くの誤りであり、その状態は極めて乾燥しているひどい肌なのだ。健康的な肌がどういうものなのか理解していない。」と彼はいう。

《感想》

環境破壊の原因は人間の利己的な生産活動によるものが大半を占めています。例えば、工場で製品を作る過程でたくさんの汚染水が生じてしまったが、正規の手続きで処理を行うとコストがかかるため川に流してしまえ、というような具合です。
今回の記事では化粧品やせっけんに含まれるマイクロビーズによる環境汚染について論じられていましたが、その根底にある原因は人間の感情です。その感情とは「せっけんを使ってごしごし体を洗わないと気持ちが悪い」という須らく多くの人が抱いているものです。先に挙げた汚染水の垂れ流しとは原因の種類が幾分異なり、ある意味厄介な問題だと思います。
この問題を解決するためには、多くの人(せっけんや洗剤を製造する企業も含めて)が正しい知識を身に付けて環境にやさしい使い方を実践するしかありません。しかし科学的に間違っていると言われても、はいそうですかすぐにやめます、と即座に切り替えられる人は少ないと思います。人間は多かれ少なかれ感情で動く生き物であるからです。この記事を読んで、今までの習慣を変えようと感じる人が少しでもいれば幸いです。

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