クオルがタスマニアンタイガーと同じように絶滅する危機にある ③ 2015/1/5

      2016/05/18

The Conservation 2014年6月30日

『Quolls are in danger of going the way of Tasmanian tigers』part3

"クオル (Quoll和名:フクロネコ) がタスマニアンタイガーと同じように絶滅する危機にある 3" (英文PDF)

担当者:YU KITAMURA

ウェスタンクオル

長期間にわたる保全への取り組みは、ウェスタンクオルの未来はより明るくなってきていると示している。 WA Parks and Wildlife:西オーストラリア州自然公園および野生動物局。

クオル(和名:フクロネコ)の種ではオーストラリアで2番目に大きいウェスタンクオル(別名:chuditch)は、今や自然にはオーストラリアの南西でしか見られない。ウェスタンクオルは、かつてはオーストラリア本土のあらゆる所に生息したが、他のクオルと同じく、ヨーロッパ人の開拓に従い、急速に減っていった。これはキツネやネコの捕食による所が大きいが、他の多くの要因も影響を与えている。

しかしながら、ウェスタンクオルの将来はかなり心強い。西オーストラリアにおけるWestern Shield(訳者注:自然保護プログラムの名前)の特色であるキツネ管理計画で顕著だが、ウェスタンクオルは長期にわたる保全マネージメントによく反応してきた。ウェスタンクオルは、かつて姿がみられた場所へと再導入も行われており、現在、この再導入は、南オーストラリアのフリンダーズ・レンジズにおいて進行中である。

これらの活動のおかげで、個体数は現在安定しており、場合によっては増加してさえいる。
ウェスタンクオルの運命は、我々が種を衰退させ絶滅させる力だけでなく、我々が起こした被害を修復する力も持っていることを示した。

絶滅への滑りやすい坂

ヨーロッパ人が開拓を開始した際における、クオルの有り余る頭数および命取りとなる家禽への嗜好は、クオルが現在、衰退していることへ関与してきたかもしれない。一般的に多くみられる種は、しばしば象徴的であったり、希少である種よりも注目されづらく、資金を充てられづらい。しかしながら、世界中の絶滅危惧種のリストは、かつては一般的にみられた種で埋め尽くされており、普通に見られる状態から絶滅へ陥る可能性は、思われているほど起こりづらいことではない。

ウェスタンクオルの復活への心強いサインは、個体数の減少に歯止めをかけることができ、増えてさえいることで表されている。しかし、大胆な対策、新しいアプローチ、大規模な実施および長期にわたる計画が、この絶滅の危機に瀕する種への主要な脅威に取り組むために必要とされる。我々のクオルは、引き返すことのできないポイントに達しており、もし、クオルがタスマニアンタイガー(訳者注:1930年代に絶滅したと考えられている)と同じ道を歩むのを見たくないのであれば、我々は今行動することが求められている。

この記事を読んで

この記事を読んで、一般的に多くみられる種は、しばしば象徴的であったり、希少である種よりも注目されづらく、資金を充てられづらいという部分がとても印象に残りました。この記事を訳していて思い出したのが、昨年盛岡市の動物園でみたツシマヤマネコです。ツシマヤマネコは、その名の通り、長崎県の対馬にのみ生息するヤマネコであり、白い斑点模様の丸い耳が特徴的な生き物です。その個体数は40年前に比べて3分の1程度に減少しており、環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類(CR)に分類されています。ツシマヤマネコを実際にみた時、どこにでもいそうなただのネコだなと思ってしまいました。この印象は、オーストラリアに暮らす人々のクオルに対する印象と同じようなものなのではないでしょうか。ツシマヤマネコの保護活動は、対馬野生生物保護センターが中心となり、現在活発に行われています。保護活動の中の興味深い試みとして、“木庭作(こばさく)”とよばれる伝統的な焼き畑農業の復活があります。木庭作を行った土地は、ネズミなどが多く暮らし、それらがヤマネコの餌となるのです。その結果、木庭作の周囲でヤマネコの糞をみることが増えたばかりでなく、この活動からヤマネコに関する関心も高まりました。
身近にいた動物の保護は確かに行われるまでに時間がかかってしまうかもしれませんが、その土地にいる人々の協力とその土地にあった方法を適切に用いなければ、どんなに個体数を人工的に増やそうともその土地に戻すことはできません。それには、資金もそうですが、その動物に対する理解が欠かせません。クオルに対するキツネの管理、日本のツシマヤマネコに対する木庭作の取り組みといったように、その土地にあった方法を用いて、その土地の人々の理解を得ながら、昔からいたなんのへんてつもない動物達がそのまま暮らしていけるような活動が盛んに行われていってほしいと感じました。

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