まだいなくなってなかった!希少種のカエル 2011/7/1

      2016/07/06

Courier Mail 2010年3月5日

『Rare frog hasn’t croaked it』

(英文PDF)
要約・感想執筆者 庄司亜香音

記事要約

30年間のあいだ、絶滅したと考えられ続けてきたカエルであるYellow-spotted bell frogがNew South Wales Southern Tablelands(ニューサウスウェールズ州南部高原地域)で再び発見された。
ニューサウスウェールズ州環境大臣のFrank Sartor氏はこの緑色と金色の斑模様のカエルの再発見は自然生息地保護の大切さを思いださせてくれるものであると語り、「このカエルの再発見は、万が一タスマニアタイガーが再発見されたとしたら、それと同じくらい重要な発見であると言われています」、「この発見は、後の世代がこの土地固有の動物達の鳴き声や色を楽しむことができるようにこの環境を守ることの必要性を思い出させてくれます」と発言した。
漁場保全担当者のLuke Pearce氏が小川で絶滅の危機にある魚の調査をしている際に、このカエルを偶然見つけた。
彼は爬虫類・両生類の専門家と共に再びその場所に訪れ、多くのYellow-spotted bell frogの集団を見つけた。
国際自然保護連合は30~50%の両生類が現在絶滅の危機にあるといっている。
Sartor氏は種の存続のために、このカエルのいる場所は秘密にしておくつもりであると語った。
ニューサウスウェールズ州政府はシドニーのTaronga Zoo(タロンガ動物園)と共に、Yellow-spotted bell frogの飼育繁殖計画を進めることについて話し合っている。

動物たちに思いをよせて……(私の感想)

こんにちは!ブログメンバーとして参加させてもらうことになりました、東京大学獣医学専修の庄司です。様々なものを見て、知って、自身の視野を広げていきたいなと思う今日この頃です。
さて今回の記事についてですが、多くの種の絶滅が危惧されている中、既に地球上からいなくなったと思われていた種が再び発見されたというのは大変喜ばしいことであると思います。オーストラリアはコアラ、カンガルーなどの哺乳類が有名ですが、カエルもその多くが固有種となっています。しかし一方で、絶滅危惧となっているカエルも多く存在しています。世界各地でもカエルの数は減少していて、その原因としては捕獲、移入種の影響、生息地の分断化や劣化、環境汚染などの人間による環境の改変が考えられているようです。その他、ツボカビの感染によっても多くのカエルが数を減らしてきました。オーストラリアの東クイーンズランドでは90年代あたりの10年間の間に7種ものカエルが絶滅し、オーストラリア政府の資金提供のもとで調査が行われた結果、新種のツボカビが見つかったそうです。胃袋で子供を育てるという特殊な子育て方法で有名なカモノハシガエル(イブクロコソダテガエル)がかつてオーストラリアに生息しており、その絶滅のはっきりとした原因は分かっていませんが、このツボカビや生息範囲の狭さなどが原因ではないかといわれています。
今回の記事にあるYellow-spotted bell frogについて、この記事には詳しい数は書いてありませんでしたが、調べてみたところLuke Pearceさんが2008年にYellow-spotted bell frogを見つけた後、2009年に専門家と共に約100匹ほどの集団を見つけたそうです。この数を今後どれくらいまで増やせるかが重要になりそうです。カエルの飼育繁殖についてはその種のカエルに適した環境を整えることが大切で、それには生態や生息地の調査が必要であると思います。また、その数自体を増やせたとしてもそのカエル達が生育・繁殖していくことのできる自然環境が整えられていなければいけません。今回の件に関しては、カエルが発見された土地の所有者の方もカエルの保護に極めて協力的であるそうです。これにみられるように、生物の保護や土地の保全において人々の支持や協力を得ることが、その環境の多様性を守ることにつながっていくということを感じます。
今回の記事で「種の存続のためこのカエルのいる場所は秘密にしておく」との話がありましたが、私自身はこの方針に賛成です。Yellow-spotted bell frogを実際に見てみたいという気持ちはあります。しかし人々がその地にやって来て、カエルを捕獲しないとしても、知らないうちに土壌を踏み荒らしたり、病気を持ち込んだりすることもあります。その様なことを防ぐためにも、生息地を公表しないということはカエルの保護につながると感じます。様々な意見があると思いますが、皆さんはどう思うでしょうか?
カエルの減少は日本でも関係の無い話ではありません。平成18年の12月22日に見直された環境省のレッドリストでは、「両生類の絶滅のおそれのある21種のうち8種が南西諸島に生息するカエル類となった」と報告されています。
一つひとつの種はつながりあって生態系を形成しています。その中の一つの種が絶滅すれば、その他の種全体に影響を及ぼします。そして、一つの種を適切に守ることは、生態系全体を守ることになるように思えます。Yellow-spotted bell frogという種の再発見とその保護の成功が、生物全体の多様性の保護と維持につながることを願います。

世界各国での両生類の減少や保護についてはIUCN(国際自然保護連合)の特別委員会(DAPTF)のサイトhttp://www.canvamphibs.com/で見ることが出来るので、是非のぞいてみてください!

参考文献
『これからの両棲類学』 松井正文編 2005年発行 裳華房
『カエル―水辺の隣人』 松井正文著 2002年発行 中央公論新社
『カエルの不思議発見 「四六のガマ」の科学』 松井孝爾著 1999年発行 ブルーバックス
環境省ホームページ http://www.env.go.jp/index.html
日本のレッドデータ検索システム http://www.jpnrdb.com/

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