レッドランド市のコアラの個体数が80パーセント落ちていると政府が報告 2016/11/8

      2016/11/08

Brisbane Times 2016年5月12日
『Koala population in Redland falls 80 percent, government report says』(英文PDF)

担当者:つるちゃん

《要約》

クイーンズランド州の環境省の報告によると、レッドランド市におけるコアラの生息数は1996年から2014年で80パーセントという急激な落ち込みをみせていて、これはおそらく絶望的な減少であろうということだ。

レッドランド市報では、このコアラの急速な減少の陰には、病気や犬による攻撃や交通事故と並び、大規模開発があると考えられ、保護政策は減少の抑制に失敗していると伝えている。

ジョナサン ローデス(Jonathan Rhodes)准教授、ホーソン ベイヤー(Hawthorne Beyer)博士、ハリッエト プリース(Harriet Preece)博士、クライブ マクアルパイン(Clive McAlpine)教授らによるクイーンズランド大学の研究によると、コアラの減少は急速で、ブリスベンの東の地域で顕著なようだ。

パインリバーズ (訳注:地域名)とレッドランド市の違いは、20年前にはコアラの本拠地であったレッドランド市で、より大規模な開発が行われてきたことにありそうだ。

「その急速な減少は・・生息群がとても危険な状態にあることを示しており、個体数を安定させるには遅すぎるという危険がある」と報告されている。

スティーブン マイルズ(Steven Miles)環境大臣によると、政府はコアラのよりよい保護方法を緊急に調査する専門家を任命すると言う。 また、彼は現実的な短期間で実施できる方法を見つけるよう環境省に指示を出した。

コアラの評価は、(より悪い)絶滅危急種(VU)になりそうだ。

(訳注:オーストラリア連邦政府は2012年4月にコアラをクイーンズランド州とニューサウスウェルズ州、オーストラリア首都特別地域において危急種として登録しているが、国際自然保護連合レッドリストでは2016年に危急種とした。)

Koala Action Group(コアラ支援グループ)の後援者で元レッドランド市議会議員のヘレン マレー(Helen Murray)氏によると、農地を再緑化するのではなく、むしろ宅地として開発するべきだと決められた1980年代と1990年代から、コアラたちは危機にさらされたのだと言う。

元市長(Eddie Santaguilana)はコアラを救おうとしたが、それ以来、積極的にコアラ救済の姿勢を見せる議会議員は一人もいなかった。

1987年のレッドランドのコアラ生息数はおそらく1万頭以上であったが、今ではわずか数百頭。

ヘレン マレー(Helen Murray)氏は市議会議員として18年間を過ごしたが、その間、コアラを救うために戦った者は皆、誹謗中傷されたという。

マレー氏によると、カレン ウィリアムズ(Karen Williams)市長は、コアラに注意を促すための道路標識はお金の無駄だったと発言し、コアラのために戦っては来なかった。

それに対しウィリアムズ氏は、マレー氏のコメントは責任追及でしかないと、次のようにやり返した。

「事実として、マレー氏が議員だった頃も含めて、何十年もの間ずっとコアラの個体数の減少は嘆かわしい傾向だった。高価なコアラ注意の標識や、道端で死んだコアラをピンクに塗って目立つように置いておくことや、交通量の多い道路脇にコアラが食べるユーカリの大きな木を植えるなどの対策は失敗に終わっていて、続ける意味がないということをマレー氏も知っていたはず。」

「コアラが直面している脅威は、複雑で多様なもの。私たちには、科学に基づいたより広い地域社会に受け入れられるコアラ保護対策が必要なのだ。」

「報告は議会独自の統計データが私たちに物語ってきたことを裏付ける。-本当にコアラたちを救うためには、新しくて統一された方策をとる必要がある。」

マレー氏が言うには、コアラの絶滅を阻止する見込みはほとんどない。特にトゥーンダー(Toondah)港の開発が計画通りに進められていくのであればなおさらだ。

トゥーンダー計画は変更されるべきであり、オーミストン(Ormiston)、ヒリヤーズクリーク(Hilliards Creek)、そしてウエリントンポイント(Wellington Point)などの森(ブッシュランド)が繋がっていることを確実にするために都市計画を修正するべきだ。

ウィリアムズ氏は、レッドランドは他の議会よりもコアラの減少を食い止めるために頑張ってきたようだが、地方自治体が受けている財政上、法律上そして計画上の制約があることも明らかだ、と言う。

Koala Action Groupの会長デビー ポインティング(Debbie Pointing)氏は、特にコアラの失われた生息地の代償として、新しく木を植えて埋め合わせをするという規則が、(逆に)埋め合わせたのだから生息地の破壊をしても良いという理由になってしまった事を懸念しているという。

(環境大臣の)マイルズ(Miles)博士は、前政権が法律を弱め、森林伐採の率はほぼ二倍となったが、かと言って、それ以前のコアラ保護戦略が生息数の減少を食い止めるとは限らないとし、ウィリアムズ氏に同意した。

〈感想〉
昨年の8月、私は野生のコアラに会いたくてレッドランドへ民泊しに行きました。ところが、3泊しても1頭のコアラにも出会えませんでした。電車の駅からも近い住宅地だったので、なんとなく予感はありましたが、とても残念でした。今回の記事を初めて読んだとき、あのレッドランドのコアラの危機について書いてあったことには驚きました。そして、私がコアラに出会えなかったことにも納得がいきました。
今年の3月、どうしても野生のコアラに会いたくて、ビクトリア州のフレンチ島に行ってきました。フレンチ島は、ペンギンパレードで有名なフィリップ島のすぐそばにありますが、公共の電気・ガス・水道などはなく、いまだに昔の生活を送っているようなところです。島の約70%は国立公園で、入植されたコアラがたくさん棲息していました。今度は、念願の野生のコアラを20匹以上も見ることが出来たのですが、現地の人は増えすぎて困っているとのこと。このままでは、樹木にも悪影響がでているし、コアラも多すぎるとストレスで良くないのだとか。ビクトリアのコアラは、病気もなく、元気で幸せなのかと思っていましたが、そんなことはないようです。考えさせられます。

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