生息数を保つためにフクロネコ(クウォル)をペットに 2015/5/19

      2016/05/18

ABC NEWS 2015年5月19日

『Senator David Leyonhjelm urges Australians to adopt quolls as pets to preserve populations』

"David Leyonhjelm 上院議員は生息数を保つためにフクロネコ(クウォル)をペットとして引き取るようにオーストラリア人に勧める" (英文PDF)

担当者:KEN

《要約》

無所属上院議員David Leyonhjelm氏は固有の哺乳類の生息数を保つ取り組みの中で、クウォルを飼い猫と取りかえるべきだと主張した。議会での答弁の中で、自由民主党の議員はクウォルやビルビーといった固有の動物を飼育することを合法にすれば動物たちの生存を確かにするだろうと主張した。
「ある種のワラビーは素晴らしいペットになる。クウォルは飼い猫に取ってかわるかも知れない。」上院で彼は述べた。
「ビルビーは飼い馴らす動物の優れた候補としてよく推薦される。」「適切な環境の中では、ポッサムやタスマニアデビル、ウォンバット、固有のラット、アンテキヌス、バンディクートも素晴らしいペットになるだろう。」

Leyonhjelm上院議員はオーストラリア固有の哺乳類の11パーセントが絶滅危惧種に挙げられ、国は動物相の維持を上手く行う必要があると言った。
「ちょうど猫や犬が死に絶える危険が全くないのと同じように、もし固有の動物が個人的に所有されたら犬や猫と全く同じ事が起きることは明白である。それは価値があることを意味する。」

Leyonhjelm 上院議員はまた、いくつかの例では適切ではないかもしれないと認めている。「少なくともある状況では、いくつかの固有の動物は不適切なペットになるかもしれないことは反論の余地はない。」「例えば、多くが夜行性で、そのことはペットの飼育楽しむために私たちの睡眠の習慣を調節することを必要とするかもしれない。」

彼は海外のフクロモモンガやアオジタトカゲが野生下よりも飼育下のほうが長生きする例を挙げた。Leyonhjelm上院議員は固有の動物はペットとして繁殖される必要があるかもしれないと言った。彼はまたオーストラリア人は固有の動物を殺す数多くのペットを合法的に飼育できると述べた。

グリーン党環境広報担当官 Larissa Waters上院議員はLeyonhjelm上院議員の提案は国立公園への攻撃であると述べた。
「固有の動物をペットにすることによって絶滅の危機を止めることができるという提案は、国立公園を捨て去ると同時に、科学的な証拠に真っ向から反抗するものである。」彼女は言った。
「固有の野生動物を守る唯一の方法は飼いならすことだという提案はばかげている。」

Leyonhjelm 上院議員はこれまでに彼自身が動物愛護者だと明らかにしている。先週、彼の白猫を抱きしめている写真がLeyonhjelm上院議員のスタッフからツイートされソーシャルメディア上で好評だった。

感想

一般に飼育経験の浅い野生動物をペットとして飼うことはとてもリスクが高いことです。未知の野生動物由来感染症に人が罹ってしまう可能性があるためです。実際にオーストラリアではオオコウモリを自然宿主とする新種のリッサウイルスや、同じくオオコウモリが宿主になり馬を介して人に感染するヘンドラウイルスが、この20年間で新たに見つかっています。野生動物との濃厚な接触は未知の病原体も含めどんな病原体に触れるか分からないため十分な注意が必要です。また反対に人が野生動物へ、病原体や抗生物質耐性菌を曝露させることも問題になります。
さらに野生動物の保全という観点からみると、野生動物をペット化することは百害あって一利なしと言えます。本来の生息地から離して、家庭内に迎え入れて家庭内での個体数が増えただけでは意味がないからです。再び生息地へ戻すならば生息域外保全という考え方になるのでしょう。域外保全に関しては世界中の動物園などが積極的に取り組んでおり、施設内で繁殖した個体を生息地に戻す例も多くあります。
オーストラリアには固有の種が多く居て、それゆえに関心も高く、動物を愛する人も多く居ると思います。AJWCEFのスタディツアーでも本業のかたわら、野生動物のリハビリや救護に熱心に取り組む方たちや、地域内に棲むコアラをかわいがって見守る住民の方にも出会いました。この点は素晴らしい国民性だと思っています。しかしながら、この議員さんのように動物への愛が少し間違った方向に行ってしまうと、可愛いペットとしてそばに置いておこうとなってしまうのかもしれません。野生動物は生態系の中で、多くの種と相互作用をしながら生息しており、生態や生態系での役割、個体群の中での繁殖など、生息地から離して飼育下で管理してしまうと失われてしまう、野生動物として極めて重要な要素が多くあることを忘れてはいけないと思います。
クウォルを守るためにするべきことは何か?生息地の保全、野良犬や野良猫、外来種のキツネに襲われるのを防ぐ、交通事故に遭うのを防ぐといったことが挙げられると思います。

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