絶滅危惧種シリーズ3 急速に消えゆく種たち 2012/4/29

      2016/05/25

Courier Mail 2011年3月19日

「Species die out at rapid rate」Fact file

絶滅危惧種シリーズ3 急速に消えゆく種たち (英文PDF)
感想・要約 AKANE SHOJI

調査ファイル

現在の種の絶滅率は、想定された自然的な絶滅率よりも10~100倍高い。
世界中には30ヶ所以上のホットスポットがあって、その中にはオーストラリアにある2ヶ所も含まれており、500万におよぶ種がこの1世紀で失われるかもしれないと予想されている。
最新版のIUCNレッドリストでは、知られている全ての哺乳類の21%、両生類の30%、鳥類の12%、爬虫類の28%、淡水魚の37%、植物の70%、そしてこれまで同定された無脊椎動物の35%が脅威に曝されている。レッドリストによると地球上の6285種の両棲類のうち1895種が絶滅の危機にあり、このことから両棲類は最も危機に瀕した種のグループとなっている。これらのうち、39種は絶滅種、484種は近絶滅種、754種は絶滅危惧種、675種は危急種に分類されている。
オーストラリアでは既に世界で最悪の哺乳類絶滅率をほこっている。過去200年での世界規模の哺乳類絶滅のうち、ほぼ40%はオーストラリアで起こっている。
1667種がオーストラリア政府の法令で絶滅危惧種として載せられている。更に103種が絶滅種として記録されている。
クイーンズランドでは、287種の動物が絶滅危惧種、危急種、もしくは近危急種に分類されている。
オーストラリアで最も古い公式の保護共同体として知られているものは、1901年に設立されたBirds Australiaであった。

記事を読んで……

今回の記事は絶滅危惧種シリーズの3段目ということで、具体的な数値データが書かれていました。これらの数値は分かっている範囲のものであるため、本当は私たちの知らないところでもっともっと多くの種が失われているのでしょう。生物の絶滅は、その生物自体が乱獲されたというケースとともに、開発や外来種の侵入など環境の変化によるものも多いように思われます。生物の保護について他のブログ記事でも言われているように、その一種類の種を保護・繁殖して野に放てばよいというわけではありません。一つの種が生きていくためには、多様性をもつ豊かな環境が必要となります。
この環境に関して、今回の記事ではホットスポットについての話が出て来ました。ですので、今回はホットスポット(生物多様性ホットスポット)について調べ、考えてみることにしました。
生物多様性ホットスポットとは「地球規模での生物多様性の価値が高いにもかかわらず、破壊の危機に瀕している地域」のことをいいます。これは、1988年にイギリスの生物学者Norman Myers博士が提案したものです。環境国際NGOの定義によると、具体的には「その地域の固有維管束植物種が1500種以上」かつ「原生の生態系を既に70%以上喪失している」という二つの基準を満たすものとされています。このように、ホットスポットとは固有種が多く生物の多様性に富んでいるというプラス面と、多くの種が失われているというマイナス面の両方を抱えているということが分かります。
世界には30以上のホットスポットがあると記事に書いてありましたが。その中には日本やオーストラリアの南西部も含まれています。日本は固有植物種数1950種、残された原生生態系比率20パーセント。湿潤な亜熱帯から寒帯まで変化に富んだ気候帯と生態系を有しているのが特徴で、約4分の1の脊椎動物が固有種であり、絶滅危惧種であるノグチゲラや、ニホンザルなどが有名です。また、オーストラリア南西部は固有植物数2948種原生生態系比率30パーセント。高・低木林、荒れ地などでは植物や爬虫類に高い固有性がみられます。フクロアリクイ、フクロミツスイ、ユーカリインコなどの固有脊椎動物も生息していますが、この地では主に、多くの肥料を使用する農地拡大による生息地の減少やキツネ・ネコなどの外来種の影響によって動物相が危機に陥っています。
では、このようなホットスポットの意義とは何でしょうか。私はそこには実質的な意義と、意識的な意義の2点があると思います。ホットスポットの分布図をみると、固有種や多様性に富んだ地域は局所的に存在していることが分かります。ホットスポットを定めることで、むやみやたらに行うよりも、より効果的に環境を保護し、絶滅危機にある生物の保護ができるように思えます。また、ホットスポットを定めるということは人々の意識をかえることにつながるようにも思います。生物や環境の保護はその地域の人々やその他大勢の人の意識も重要な要素になると考えるからです。ホットスポットのみを保護対象とすべきというわけではありませんが、生物の保護の指標となったり、その環境の大切さや重要性に意識を向かせるということは地球全体の生物環境保護に貢献しているのではないかと感じます。
レッドリストもホットスポットの特定も、その危機的状況が明らかになったというだけで、すぐに法的な保護下に置かれるわけではありません。しかしどちらも危機にさらされている世界の野生動物の現状を知る手がかりとなるものです。個々の種でとらえたレッドリスト、環境という広い枠組みでとらえたホットスポット、その両方を用いることでより現状にみあった保護につながるのではないでしょうか。
生物多様性におけるホットスポットという用語は1988年以降科学雑誌などでも使われることが多くなっているそうです。生物多様性ホットスポット、一般の中でも、もっともっと広まっていくといいですね。

参考文献

「Conservation International」(2012/04/22)
http://www.conservation.org/where/priority_areas/hotspots/Pages/hotspots_main.aspx

(財)日本自然保護協会編 (2008)『生態学からみた自然保護とその地域の多様性保全』
講談社 p.200~213

「WWF Webサイト」(2021/04/22)
http://www.wwf.or.jp/activities/wildlife/cat1014/cat1085

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