絶滅の危機に瀕しているオトメインコの営巣地の伐採、保全学者たちがショックを受ける

      2018/03/20

『Conservation scientists 'shocked' at logging of endangered swift parrot nesting site』(英文PDF)
ABCニュース 2017年11月14日(Harriet Aird記者)

担当者:T.I.

≪要約≫
タスマニア南部のオトメインコ(swift parrot)の営巣地として知られている場所の伐採について、この絶滅寸前種を救うために活動する科学者たちは、ショックを受け、苛立ちを覚えていると話す。

タスマニア南部のオトメインコの営巣地。

オーストラリア国立大学の保全生物学者Dejan Stojanovic博士は、彼と彼の研究チームはTyler's Hill(タイラーズヒル)の生息地を10年間モニタリングしてきたと語った。

先週、彼はフクロモモンガから鳥を守るために使用される防捕食者巣箱の設置を計画するために、その場所を訪問した。

到着時に、彼はその地域が切り払われたことを発見した。

Stojanovic博士は、「正直言ってとても衝撃的だった。」と語る。

「この生息地を改善し、オトメインコが繁殖するのにより良い場所にしていくのだ、というとてもポジティブな考えでそこに行った」

「到着したとき、私たちがモニタリングしてきた10年以上にわたりこの鳥が営巣してきた一区画の叢林全体が、なくなっていた。

その地域は、かつてForestry Tasmanianとして知られた Sustainable Timber Tasmania(訳注:タスマニア州政府保有企業)の登録伐採区画である。

2016年にSustainable Timber Tasmaniaは、絶滅危惧種の管理を含む多くの点が原因で、林業管理協議会(FSC: Forestry Stewardship Council)の認証を取得することに失敗した。

林業管理協議会は、Sustainable Timber Tasmaniaの森林が「環境、経済、社会的に信頼できる」と見なされる前に、全てを差し置いてまず、オトメインコの営巣地を特定する必要があると助言した。

Stojanovic博士は、「保全学者としてこのような地域に来て、明らかに基本的な保全規定さえ適用されていないことを知ることは、非常に残念だ。」と語る。

野生でわずか2000羽しか残っていない状況であり、これ以上伐採によって生息地を失うことがないようにタスマニア州政府が保証することが重要である、とStojanovic博士は述べた。

「オトメインコの保護は実はそれほど難しいことではない。私たちが知るオトメインコが必要とする地域で、成熟した樹木を伐採しないことだけだ。」

オトメインコは渡り鳥で、オーストラリア南東部で秋と冬を過ごし、春と夏にはタスマニアへ移動し、繁殖する。

Wilderness Society(訳注:タスマニアで創立された自然保護ができる社会作りを目指す地域密着型の非営利非政府組織)の広報担当であるVica Bayley氏は、この地域の伐採を許可することにより、タスマニア州政府はこの種の救助活動の成果を台無しにしていると述べた。

「オトメインコはこれ以上重要な営巣地を失う余裕はなく、州政府は緊急に介入しなければならない」
「この管理計画はどこにあるのか?Elise Archer環境大臣は、手遅れになる前にさらに力を入れ、全ての生息地域における伐採をやめることで、この種を支援する必要がある」

Archer氏は声明で、「環境省はオトメインコの生息地の適切な管理を確実にするため、森林局と密接に協力し続ける」

「Sustainable Timber Tasmaniaとの継続的な議論は、この種(オトメインコ)の管理に対する戦略的な土地活用方法を発展させることを目指している」と述べた。

「Sustainable Timber Tasmaniaはこのアプローチを発展させるために、オトメインコの研究者たちと協力しており、このプロセスは2017年末までに完了する可能性があると指摘している。

Sustainable Timber Tasmaniaは声明で、「特定・記録された営巣木」は伐採されていないという。

「Sustainable Timber Tasmaniaは絶滅危惧種の保護に全力で取り組んでおり、あるオトメインコの生息地がいくつかの公的生産林の地域と重なっていることを認識している」と述べている。

写真:研究者たちはこの森林で営巣するオトメインコを10年間追跡してきた。(提供:Dejan Stojanovic博士)
写真:研究者たちはその区画が切り倒されたことを知り、「ショックを受けた」。(提供:Dejan Stojanovic博士)
写真:Dejan Stojanovic博士の指にオトメインコが止まる(提供:Dejan Stojanovic博士)
写真:約2千羽のオトメインコしか野生に生き残っていない。(ABCニュース)
写真:自然保護活動家らは、この絶滅危惧種の救助活動の成果を台無しにしていると州政府を非難している。(地方ABC: Margot Foster)

<感想>
10年間研究していた地域があるとき突然伐採されていることを発見した研究者たちの衝撃とやるせなさをひしひしと感じた。絶滅危惧種の保護のためには、研究者、政府、森林業者が協力していかなければならないことを学んだ。記事には、プロセスが2017年末までに完了する可能性があると指摘されているため、その後の経過が気にかかるとともに、今後適切な森林業と管理計画が行われ、オトメインコの保護管理がうまくいくことを願う。

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