タスマニアデビルの交通事故死を防ぐための装置が盗まれ、破壊されている。2017/11/21

      2017/12/05

『Devices to prevent Tasmanian devils becoming roadkill being stolen and vandalised』(英文PDF)
Mercury 2016年7月22日 (記者クリス・ピッポス筆)

担当者:RM

《要約》OLYMPUS DIGITAL CAMERA

絶滅危惧種のタスマニアデビルや他の野生動物が、田舎の道で車に衝突され殺されている。それは、彼らを守るために設置された革命的な装置が盗まれ、壊されているからだ。

道路わきに設置する野生動物達を交通事故に遭う前に高い警告音とフラッシュライトで驚かす装置(virtual fencing)の技術を持つワイルドライフセイフティソリューションズ社は、『破壊に伴う重大な問題』が起こっていると述べている。

ジャック・スワンポール部長は、マーチソン・ハイウェイ(Murchison)では『15あるいはそれ以上の装置』が盗まれたり破壊されたりしていると言った。そこは、ウエストコースト(地方自治体:West Coast)の鉱山会社MMGが、ローズベリー(Rosebery)採掘場で使用するトラックによるタスマニアデビルの交通事故死を減らすために、その技術に45,000ドルを投資した所だ。

「人々は車で通りかかり、装置を壊して取り外し、粉々にする」とスワンポール氏は言った。「この場所は明らかに大問題だ。」ウエストコーストに住む人の家の庭で、装置が見つかったとローズベリーの警官から直接連絡があった。また、「いくつかの装置は確かに盗まれた。」「我々は何らかの対策を取らなくてはならない。なぜなら事態は悪くなる一方だから。」とも言った。

MMG社の報道官は、ワラタ(Waratah Road)の分岐点近くのフィンガーポスト(地名:Fingerpost)の交差点に設置されていた装置が盗まれ、壊されてしまったのは非常に残念であると述べた。また、警察が小型トラックの運転手を止めた際に壊された装置を見つけたという話を聞いたとも語った。いくつかの装置が破壊されたり、外されたりしていることに、MMGは気付いている。装置の目的がタスマニアデビルを守り、その個体数の増加促進であることを考えると、当然この行為は残念である。MMG社は、運転者たちに装置の目的を知らせるための道路標識を検討している。MMG社は向う数週間に装置を置き換えるつもりである、と述べた。

北西部のアーサー川(Arthur River)近隣でも、野生動物を交通事故から守るための装置が破壊されている。そこで使用されている議会(自治体)が援助した装置は、タスマニアデビル救助プログラム(Save the Tasmanian Devil Program)と、最近の実験で交通事故死が延べ数の85%まで減少したという第三者機関による報告によって(効果が)認められていた。

公園および野生動物局(Parks and Wildlife Service)は、現在、破壊行為について詳細をモニタリングしている。これはアーサー川近隣での「破壊行為を止めさせる」ことに役立ったと報道官は言った。

スワンポール氏は、その技術の価値を説明した道路標識を立てることと、装置に手を加えて捕まった場合、重い罰金を課せられることを運転者たちに警告するよう運輸省の官僚に依頼したと言った。
しかし、政府はこの事にあまり熱心ではない。なぜなら道路標識の設置が視覚的な注意散漫を引き起こすのではないかと危惧しているからだ、と彼は言った。
さらに防犯カメラの設置には膨大な費用がかかる上、それも破壊される恐れがあると彼は続けた。

装置を道路に沿って25メートル以上の間隔で置き、タスマニアデビルを交通事故から守るためには1キロメートル当たり約7000ドルのコストがかかる。

最近の交通事故死の検証結果として、装置が壊されたり盗まれたりした地域で、野生動物との交通事故件数は急上昇したと、スワンポール氏は言った。

交通事故は、顔の腫瘍に次いで、絶滅危惧種であるタスマニアデビルの数を脅かす、2番目に大きな脅威である。

農林水産省(DPIPWE)からマーキュリー紙に今週発表された数字では、タスマニアデビル救済プログラムの交通事故死プロジェクトが2009年に始まって以来、2592件の交通事故死がデビルホットラインに報告されているとのことである。

「デビルホットラインについて留意しなくてはいけないのは、報告件数は一般市民からホットラインに報告のあったもののみということだ。―すなわちプログラムで把握していない事故死がもっとあるかもしれない。」と農林水産省の報道官は述べた。

野生動物を守るための革命的な装置は、現在、タスマニア州の南部、タスマン半島にあるイーグルホークネック(Eaglehawk Neck)の近くでも試験的に設置されている。

ワイルドライフセイフティソリューションズ社は、野生動物を守るためにこの装置をさらに増やすこと、また、野生動物の交通事故死がタスマニアを訪れる観光客の主な不満の一つとなっているため、その対策が観光面にも利益あるという事を州発展部門と話し合いを行っている。

タスマニアの主な幹線道路の殆どに野生動物を守るためにこの装置を設置するには約2000万ドルのコストがかかる。

しかし、もし装置がオーストリアからの輸入でなく国内で作られれば、そのコストは約20%削減できる。これは国内の調査会社や製造会社と交渉中のことであるとスワンポール氏は言った。

<感想>
心の痛む記事だった。タスマニアデビルや他の野生動物の交通事故死を防ぐために、研究開発し、コストをかけて設置した装置、しかもその効果を確認しているにもかかわらず、装置が人の手によって盗まれ、壊される。そのために救うことができた命が奪われている。何とかならないのだろうか。
この記事を読んで、疑問に思ったのは、なぜ車を運転する人たちは、装置を外して壊すのか。人に害を与えるものではないのに。考えられるのは、装置の傍を通るたびに、大きな音がし、まぶしい光が発せられるので、イライラしたり、その音や光を迷惑に感じるからか。であれば、記事にも書かれているように、人間の教育が重要だと思う。装置の役割を説明した看板の設置はもちろんだが、さらに、破壊が特にひどい地域では、運転者を対象とした講習会の開催も必要だと思う。運転者たちがどれだけ関心を持っているかにもよるが。野生動物に関する様々な記事を読むと、その保護には、人間の教育、人間の協力を得ることがどれだけ重要で必要かをひしひしと感じる。この部分が改善されれば、直接の影響だけでなく、様々な保護手段について、研究の発展、コスト削減にも通じると思う

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