ウミガメに発生している疱疹の激増はグレートバリアリーフの汚染を示唆する 2016/12/20

      2016/12/20

ニューサイエンティスト 2016年7月5日
『Turtle herpes outbreak hints at Great Barrier Reef contamination』(英文PDF)

担当者 RM

《要約》

これはウミガメに起こっている悲劇の記事である。オーストラリアのグレートバリアリーフで、腫瘍を発症するアオウミガメが増加している。汚染がその第一原因として調査されている。
それらのアオウミガメは、カメ特有のヘルペスウイルスを持っている。これはフィブロパピロマ(Fibropapillomatosis)を起こし、その症状として、目や足ひれ、尾、甲羅あるいは内臓にひどい腫瘍ができる。

「腫瘍は良性だが、30cmにまで成長し、ウミガメの視界を妨げる恐れがある。ということは、ウミガメはエサを見つけることができない上、自分の捕食者やボートにも気がつかない。」とオーストラリア、タウンズビルにあるジェームスクック大学のカリナ・ジョーンズ氏は述べている。

彼女はさらに、腫瘍のあるウミガメは他の感染症にもよりかかり易いと述べている。重症のウミガメはかなり痩せていて、他の病原菌にもかかっている。だから死んでしまうと言う。

まだ公表されてはいないが、ジョーンズ氏とそのチームによる今年の調査では、ヘルペスウイルスが最も流行しているのは、マグネティック島にあるコックル湾の狭い区間であるという結果がでた。ここはグレートバリアリーフの真ん中にあり、観光客に人気のスポットである。コックル湾の他の場所で調べたウミガメでは、フィブロパピロマを発症しているのは、サンプル数の10%以下であったのに対して、この特定地域のウミガメは、約半数が発症していた。

その理由は不明確であるが、考えられる原因の一番に挙げられるのは、環境汚染物質である。ジョーンズ氏によれば、ウミガメの腫瘍は、世界でも非常に局所化されたホットスポット、つまり人間活動が活発に行われている所に見られる。

健康的な海域に住むウミガメもウィルスを持っていることはある。しかし多くの場合、症状は現れず、ウィルスは潜伏しているだけである。従って腫瘍を発症させる何らかの外部的要因があるにちがいない、というのがジョーンズ氏の見解である。

フィブロパピロマはフロリダやハワイ、特に近くの陸上に農場がある地域のウミガメにもよく見られるようになってしまった。たぶん農場が汚染の原因だ。フロリダ、マラソンにあるウミガメ病院のダグ・メイダー氏によると「過去20年以上の間に、以前は月6~8匹だったウミガメの治療数が週6~8匹に増えてしまった。」とのことである。

人間による汚染が責められるべき原因であるという説に、メイダー氏は同意する。彼は、汚染がウミガメの免疫システムを弱め、病気により感染しやすくしていると考えられると言う。

「次のステップは、その原因となっている汚染物質を(もしあるとすれば)突き止めることだ」とジョーンズ氏は言う。彼女のチームは、過去からの水質検査データに手がかりを探している。さらに重金属、肥料、殺虫剤成分を含む様々な化学物質を対象に水のサンプリングテストを予定している。

この分野は多くの疑問点があり、非常に難しい分野である。しかしジョーンズ氏は、「重要な問題を挙げることは、常に良いことだ。」と述べている。

《感想》
非常に痛ましい記事だと思う。以前ハワイでシュノーケリングをしながら沖に向かって泳いでいる時、私の下をウミガメが泳いでいき、とても幸せな気持ちになった。しかしこのような観光客の行動が、ウミガメにとっては脅威になり得る。人々に野生動物との共存を知らせるためには、広くその存在を知らせなくてはならない。一方では頻繁な人との接触は、環境汚染を招き、動物の生存地域を狭める。どこで線引きをするかとても難しくかつ重要な問題だと思う。
農場のような日常の人間生活の改善はさらに難しい。
まずはデータを示し、ピンポイントではない、農業方法の改善も含めた、国ぐるみの対策が必要だと思う。手遅れになる前に、効果的な対策が取れるとよいが。そのためには、研究チームへの人的、資金的援助も重要だと思う。全ての野生動物保護に共通の課題だと思う。

 - AJWCEFブログ