クジラの胃袋がプラスチックゴミでいっぱい ー クジラが餓えている

      2016/10/31

The guardian 2016年3月30日
『Whales are starving –their stomachs full of our plastic waste』(英文PDF)

担当者:Togy94

《要約》

German coastに打ち上げられた13頭のマッコウクジラは膨大な量のプラスチックを摂取していた。我々にとって衝撃的であり、海洋生物を軽視していたことを意味する。最近、13mの漁業網や70㎝の車のプラスチック片などが座礁したマッコウクジラの胃袋から見つかった。

1月、29頭のマッコウクジラが北海の海岸に打ち上げられていた。ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のテニングの町から近い海岸で発見された13頭の検死の結果(動物解剖)が公開された。クジラの胃はプラスチック製のごみでいっぱいだった。長さ13mの漁業網、70㎝の車のプラスチック部分や、その他プラスチックごみは、主食であるイカなどと勘違いし、クジラが口に吸引し誤って食べてしまったものだ。

シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の環境大臣であるRobert Habeck氏は、“これらの事実は、我々のプラスチック型社会の結果を突き付けている。動物が不注意にプラスチックやビニール製のごみを食べてしまい、それは彼らに苦痛を与え、最悪なことに、胃をプラスチックだらけにして餓死させている”と話した。

イルカとクジラの保護活動を行っているNicola Hodgins氏は “大きなプラスチックには明確な問題や胃腸を詰まらせてしまうという問題があるが、小さなプラスチックでも、吸引式で採餌するクジラだけでなく全てのクジラ目に慢性的な問題を与えていることを我々は放置してはいけない。”と加えた。

巨大で、知覚のある静かなマッコウクジラが、我々の排出するごみによって苦しめられているという概念は、人間とマッコウクジラの不平等な関係を充分に象徴している。後者が最大の脳を持っているという事実は、この分断の根底にある。

悲しいことに、未だ進行中である私たちがクジラへ与える影響、ドイツのクジラの酷い苦境は、ここ最近の話ではない。2011年、浮遊していた若いマッコウクジラの亡骸がギリシャのミコノス島で発見された。そのクジラの胃はかなり膨らんでおり、科学者はおそらくダイオウイカを飲み込んだのではないかとした。しかし、解剖により4つの胃を見たところ(マッコウクジラは捕食者であるが、反芻動物に似た消化プロセスを持つ)約100個のビニール袋やその他のごみ片が見つかった。あるビニール袋には(訳注:ギリシャの)セサロニキにあるスブラキ(訳注:ギリシャの串焼き肉)レストランの電話番号が書かれていた。科学者たちはこのクジラは彼らの製品が引き起こしたダメージに関する文句の電話なんて掛けられないですよねと、苦笑した。

北海のクジラの悲運は、写真家のChris Jordan氏によって痛烈に記録されたミッドウェイ島に巣を作るアホウドリを思い起こさせる。親鳥によって誤って餌として与えられたプラスチックによってかなり膨らみ、白骨化した若い雛たちの死骸に関する記録だ。それらの異物は、缶ビールを固定するプラスチックの輪や、ボトルの蓋、ライターなどで、栄養不足で飢えてしまった。

我々の動物の利用や虐待は、それらを保持するために掲げたほぼ儀式のような敬意に反比例しているようだ。クジラは海における環境迫害を象徴する存在となった。我々は彼らの壮大さに敬意を払っている。しかし、時折私は錯覚ではないのかと思う。捕鯨を減らすことができたことはうれしく思う。まだ何千頭ものクジラ類が、わたしたちが海に排出してしまった汚染物によりダメージを受けているか、死んでいる。私達は、プラスチックボトルの飲料水と、その根本的な供給源(水)に対して、プラスチックが与えている影響の直接的因果関係から目を逸らしている。クジラたちはかつてのように直接的に利用されることはなくても、人間の何を犠牲にしても成し遂げたいという飽くなき成長への渇望、工業化の犠牲者である。

最近、ロンドン自然史博物館の秘密の保管ユニットをたずねると、展示することができない(もしくは出来れば展示を控えたい)数千もの標本が保管されており、脊椎動物のキュレーター(学芸員)であるRichard Sabin氏は隅にあったなんの変哲もない段ボール箱を見せてくれた。彼は中を見るよう勧めた。箱の中身を見てみると、固形の、混ざりけのない、マッコウクジラの頭部から作った固形オイル、鯨蝋の塊が幾つも入っていた。

箱の中のクジラ ―私たちにとってのクジラはこれに過ぎなかった。アメリカとイギリスの捕鯨船が南海へ航海した理由はこの物質のためだった。この原料は、液状であるとき、ロンドン、ニューヨーク、ベルリン、パリで町の明かりとして使用されていた。キャンドルや化粧品の材料となり、産業革命では工場の機械の潤滑油として使われた。NASAが宇宙でも凍らないオイルとして任務で使用するほど鯨脳油は素晴らしい。

私を悩ませるのはクジラの物質性だ。知らず知らずではあるが、クジラが持つものは、私たちの生活を活き活きとさせた。マッコウクジラの排泄物すらそうで、我々が知る中では最も貴重な天然物質だとされ、竜涎香という形で、ハイファッションの香水の固定剤として未だ利用されている。私たちは今、クジラが深い家族の絆をもつ文化的な動物であると知っており、その使用方法を定めている。(訳注:家族の絆をもつという点において)私たちは似ていて、つまるところ、それが私たちの心に触れる。そしてそれはおそらくどちらをも救うだろう。

先日、私はMeera Syalさんとラジオ4(訳注:ラジオ局)で会ったとき、クジラの社会は完全な女社会(母系)であり、ある種では、雄クジラは生涯、母クジラと生活を共にすると話した。彼女は驚いて、“彼らはインディアンクジラね(訳注:インド社会と同じ)”と言った。

~感想~

自分たちが放棄したごみは巡り巡って海洋生物をこれほどにも苦しめています。身勝手なごみの放棄が引き起こしている現状を改めて突き付けられました。クジラに限らずカメやマナティなど多くの海洋生物に被害が及んでいる事例は多々耳にします。一言で「かわいそう」や「放棄した人はひどい」といったように片づけてしまうのではなく、自分にできることに積極的に取り組んでほしいと思います。世の中あふれるほどの人が住んでいるため、撲滅は無理に等しいとは思いますがせめて自分たちだけでも気を付けることができたらと願います。

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