NEWSLETTER Vol. 4 2011 年 10月

      2016/05/03

モギルコアラ病院のコーナー 彼らの帰る場所。

lunarモギルコアラ病院に舞い戻って来てしまうコアラは少なくありません。ルナ(LUNAR)もそんなコアラの一頭でした。
一度モギルコアラ病院に来院し森に帰された事のあるコアラには必ずマイクロチップが付けられています。コアラが運ばれてくる度に、獣医師がセンサーでマイクロチップの有無を調べ、見つかった場合はデータベースでそのコアラの履歴を確認します。新規のコアラが重病や重傷で運ばれてくる事も、もちろん悲しいことですが、自分達が看病したコアラたちが、また病院に戻ってきてしまったと知ることは、とても残念で胸の詰まるものです。
ルナが最初にモギルコアラ病院に来た7月の下旬は繁殖期真っ盛りで、ルナのような若いオスのコアラが最も活動的になる時期です。結膜炎で目から膿が出ていた為救助されました。しかし、この時には既に彼の目は盲目でした。救助されるのが遅かったのかもしれません。救助時も何者とも知れない人間という生物に囲まれ、救助が救助であるという事も分からず、ルナはストレスでいっぱいでした。こちらは救助のつもりでも、ルナはとても怖がり、防御的になり、時にはとても攻撃的にさえなりました。目の見えるコアラにとっても、大きなストレスです。目の見えないルナにとって、この日はとても衝撃的な一日だったでしょう。
盲目のコアラでも、その生息地が平和で安全である限りにおいては、手に取るように分かり、何とか生きていけているのだろうと考えられています。しかし、来院時に盲目である上に老齢や病気で筋肉が衰えている場合には、治療後に森に帰っても長く生きられる可能性がとても低いのが現実です。ルナの場合は筋肉の調子が良くまだ若かった事もあり、結膜炎の回復と将来の森での成功を信じて入院することになりました。盲目のコアラの治療はスピードが肝腎です。目の見えないコアラが知らない環境に置かれることは、それだけでストレスになり免疫力が低下する恐れがありますし、生息地が更なる土地開発などによって変化してしまわないうちに一刻も早く帰してあげる必要があるからです。ルナは目の手術を受け、日に日に回復していきました。結局ルナが毎日の点眼に慣れることはありませんでしたが、ケアラーたちの努力とルナの忍耐力によって、入院から僅か2週間で退院の日を迎えたのでした。
「無事だと良いなぁ…」とルナの去った病室を掃除したばかりのその夜のことでした。モギルコアラ病院の皆の心を引き裂くような出来事が起きてしまったのです…

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