NEWSLETTER Vol. 6 2012 年 10月

      2016/05/04

『助けを必要としているオーストラリアのオオコウモリたち』 BY副会長 デニス ウェイド (クイーンズランド コウモリ保護・救助協会)

flyingfox近年、オーストラリアのオオコウモリに関して否定的な報道がよくあります。今日の短絡的で利己的なメディアにおいては、私たちの固有の森林における授粉媒介者(オオコウモリ)の真実は殆ど明るみに出ないのです。固有種として、オオコウモリは此処にいるべきもので、私たちの環境において果たすべき重要な役割を持っています。彼らはその役割を約3500万年に渡って絶え間なく続けてきましたが、それに対して人間はますます不寛容な態度をとっています。

オオコウモリはオーストラリアの固有の森林における唯一の夜行性で長距離の授粉媒介者かつ種子分散者であり、計り知れないほどに森林の健康と多様性に貢献しています。科学的研究によって重要な堅木の種が花蜜の大部分を真夜中以降に出し、夜明け前に花粉受容体を閉鎖させてしまうと分かりました。ですから、森は長距離の授粉と種子分散に関してオオコウモリに大いに依存しているのです。この長距離の授粉媒介者なしには、オーストラリアの森林の健康は低下し、地球上の他の森林では見られない大規模の交雑をする能力、またはそれによる気候変動に対応する能力を失ってしまうことになるでしょう。またオオコウモリなしには、現存する森林の生物多様性は危うくなり、健康が損なわれ、シロアリなどによる被害をもっと受けやすくなるでしょう。河岸の種も種の分散においてオオコウモリに依存しており、またそれによって生えてくる木々が土壌の安定性の維持を助けます。オオコウモリが提供している必要不可欠な役割は他の動物には出来ないことであり、金銭的な観点で見れば、私たちの経済におけるその価値は計り知れないものです。

多くの人がオオコウモリは大発生していると思っていますが、決してそうではありません。オオコウモリは食糧が豊富な場所に集まります。冬にクイーンズランド州の多くの地域で大量のオオコウモリを見る理由は、その時期にクイーンズランド州東南部でこの国の他のどの地域よりも多くの開花する樹種があるからなのです。それで地域的な個体数が増加し、コウモリの季節的な数の変動に繋がっているのです。涼しい季節には、コウモリたちはビクトリア州やニューサウスウェルズ州から(クイーンズランド州に)この花蜜の恩恵を得ようとやってきます。開花期が終わってしまえば多くはまたそれら南の州に帰っていきます。

オオコウモリは繁殖速度が遅く、生後2、3年の頃に性成熟に達した後、毎年一子をもうけます。これは、天災や人災から生息数が回復するのに時間が掛かることを意味します。2007年と2010年には、通常の季節の開花が上手くいかず、オオコウモリは食糧不足に直面し、結果としてオーストラリアの東海岸沿いで何千頭も餓死してしまいました。

人間は海岸沿いの湿地帯や昔ながらのオオコウモリの生息地の土地開発を続けており、クイーンズランド州に生息する4種あるオオコウモリのうち2種は既に連邦政府によって危急種として登録されています。また、州や連邦政府が対応要請を無視し種の絶滅を加速させるような不適切な管理運営を行う中、ハイガシラオオコウモリ(Grey-headed flying-foxes)は2050年までに絶滅すると予測されています。

オオコウモリの生息数は、違法な銃撃、コロニーの迫害、生息地の破壊や農作物保護のための致死的方法の再導入によって益々追いつめられています。ハイガシラオオコウモリの個体数は連邦政府レベルで危急種であるにも関わらず過去10年で3分の1も減少し、おそらく2012年10月にはクイーンズランド州ではなおも合法的に銃撃が許可されるのです。ニューサウスウェルズ州では、何年にも渡って許可の下にコウモリを銃撃しており、悲しいことにこれの状況は継続されるようです。

2008年、動物福祉諮問委員会によりオオコウモリの銃撃は残虐であり非人道的であると証明されました。当時の政府はこの独立機関の所見を受け入れ、やっとコウモリは銃撃からの短い休息を享受しました。しかし、果樹栽培業者からの圧力下、動物福祉論評は断念され、新しく選出された政府は法律の変更を行いオオコウモリは再び政府の標的となっているのです。コロニーを追い払う条件はまた緩和され、地方自治体は繁殖状況に関わらずコロニーを追い払うという前例のない権力が与えられ得るのです。これは、妊娠している個体や扶養されている子供のオオコウモリが住む母子コロニーすら攻撃を受けたり強制的に除去することが許されることを意味しうるのです。政府は非致死的ないわゆる「被害軽減許可」と呼んでいますが、真実はこうです。もし母親オオコウモリが強制的に別の地域に移動されれば、多くの扶養されている若いオオコウモリは死んでしまいます。

クイーンズランド州環境大臣はコウモリの管理に対してバランスのとれた保守的な姿勢を支持しているにも関わらず、真実は現実から程遠い状態なのです。猟銃は区別せず、撃たれたコウモリのうちたった8%しか即死しないことが広く認められています。残りの92%は長引く痛みを伴う残酷な死を経験することになり、また無防備な赤ちゃんコウモリは飢餓、脱水、蛆虫、カラスの犠牲になります。射撃に変わる方法がありますが、その方法にも問題はあるものの、克服できない問題ではないのです。

減少するオオコウモリの生息数は既に、季節的な飢餓、極端な気候現象、有刺鉄線、椰子の木やネットに絡まれること、犬による攻撃、感電、生息地の破壊、人間の無知と迫害、そして天敵の攻撃によってかなり減少します。継続的な哺乳類の絶滅、気候変動のこの時代では、私たちはかつてない程オオコウモリを必要としており、国民や官公庁の人々に彼らの価値を理解してもらう必要があります。オオコウモリは病気の前兆ではありません。実は触らなければ、全く恐れることはないのです。彼らは3歳児の知能を有すると言われていますし、彼らは私たちの保護と思いやりを必要とし、またそれを受けるに値する絶対不可欠な感覚力のある固有の哺乳類なのです。

猟期はオオコウモリの出産シーズンに一致し、予定通りに果樹栽培業者のための実施規則がまもなく採用されます。赤ちゃんたちは撃たれるか、強打されるか、首をはねられるか、もしくはお母さんオオコウモリが無事に戻って来れなかった後にコロニーに残され無残にも死んでしまうでしょう。これはお母さんと赤ちゃんたちに対する許し難い故意の残虐行為です。今すぐ州もしくは連邦政府の議員に手紙を書いて私たちは黙ってこの惨事が展開するのを傍観するつもりはないと伝えてください。政府公認の残虐行為は決して認められるものではないというメッセージを政府は、はっきりと聞く必要があるのです。

ニューズレター全文を読む(PDF)

 - ニューズレター