NEWSLETTER Vol. 7 2013 年 4月

      2016/05/04

『赤ちゃんコアラ ベイリー(Bailey)を育てた日々』 BY ヘレン ダーベレイ (イプスウィッチ・コアラ保護協会)

NT7日2013 APRIL 1bailey-pinky-resized何年も経った今振り返ってみれば簡単なことのように思えます。でも当時はとても大変でした。私が目覚める度に最初に考える事といったらいつもベイリーの事でした。(2時間おきにミルクをあげていたので100回、いや多分1000回は起きなければいけなかったでしょう。)節目になる出来事だけを記録してもいいのですが、それでは半分しかお伝えできないでしょう。だから、最初からお話ししようと思います。

最初にベイリーと出会ったのは、実は彼のお母さんを通してでした。お母さんコアラが6月21日にトゥーウンバという町で交通事故に遭ったのです。ボランティアでやっているレスキュー活動で、彼女をモギルコアラ病院に搬送したのが6月23日のこと。そこで彼女の袋の中に小さな赤ちゃんがいるのが判ったのです。お母さんコアラは一週間頑張って生きました。でも、ついに助からない段階に至り、思いやりを持って安楽死させる事となりました。

私は調度その時その場に居合わせたのでした。ベイリーは人間の手で育てるには小さすぎると思われました。でも彼は生きています。だから彼はチャンスを与えられなければなりません。90%成功しないという見込みを告げられた後でも、私は頑張ってみたいと思ったのです。

6月30日、彼は私の子になりました。彼の体重は56gで私の親指に比べてもそんなに大きい訳ではありませんでした。体毛はなく、目は閉じ、耳も頭部に平たくくっ付いていました。私は彼をとても素敵だと思いました。そしてすぐに私はベイリーと名づけ最初のミルクをあげたのです。1mlのDIVETELACTというミルクを彼は数秒で飲み干しました。保温ボックスが彼の母親の体であり、大きい靴下が育児嚢、そして湯たんぽがお母さんの体温の代わりをしました。温度計を持っていなかったので(といっても当時は何度で保ってあげるべきかよく分からなかったので、持っていても助けにはならなかったとは思いますが…)私は唇を使って彼の温かさを判断しました。

それから3週間の間、彼は順調に体重を増やしました。一週間ごとに、ミルクの量を0.1mlずつ増やしていきました。…そのあと本当の問題に初めてぶち当たりました。7月25日、温度調節が上手くいかずベイリーを温めすぎてしまったのです。彼が回復するのに20時間もかかりました。(これに関する日記の記述をここに入れようかと思いましたが、数年経って再度読みかえしてみてもその時に感じだ恐怖と絶望が蘇ってきます。)もちろん他にも歯が生えてきたり、(腸内細菌を与える為にコアラの便を食べさせる)パッピング(papping)などの幾つかの比較的小さな困難もありました。彼はただただそれらを乗り越え生き続けました。(2時間ごとにミルクをあげる時期が終わったあとの2,3週間といったら私はゾンビのようでした。2つの目覚まし時計を使う事になってしまった程です。)

ここからは冒険物語を短くするために節目となる出来事を記します。

7月10日、耳がしっかり立ちました。(体重76グラム)2-Bailey-in-pouch
7月16日、目が開き始めました。(体重94グラム)
7月21日、目が完全に開きました。(体重100グラム)
8月中旬までには、毛が生え始めました。(体重144グラム)
9月1日、初めてのパップを食べました。(体重190グラム)
9月4日、ユーカリの葉を食べ始めました。

翌年1月までには、彼の部屋に設置した止まり木で生活を始めました。(660グラム)
1.8キログラムになって離乳過程に入り、2.3キログラムで完全に離乳しました。

8月31日、およそ生後16ヶ月のころ、ベイリーは2.6キログラムになり、コアラ病院の幼稚園に入りました。
幼稚園で落第し、もう少し成長する為に私の家に戻ってきました。(臆病なママっ子ではなかったのですが)

1月13日に、二度目の幼稚園でめでたく合格し、クロウズネスト国立公園に放たれました。

しかし、そこで二度目になりますが、野生での生活にも失敗してしまいました。(本当に臆病なママっ子ではなかったのですけど)

そしてその後、とうとう無事に野生に帰り、それ以来会うことも彼の悪い報せを聞くこともありません。

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人の手で育てられたすべての孤児に関して言うと、便りがないのは良い知らせと考えるしかありません。私たちができる事といったらセカンドチャンスを与えることです。グッドラック、ベイリー。あなたは生きるために本当によく闘いました。長生きしますように。

彼が生き残れた秘訣は何だったのでしょうか?知っていたらなと思います。たぶん、彼は生きる運命だったのでしょう。これは、間違いなく経験や優れた管理のお蔭というよりも幸運なケースだったと思います。

現在ベイリーが生きていたとしたら、14歳になっているのですが、残念ながら通常、野生ではオスのコアラはそんなに長く生きられません。でも願わくば、この数年の間に何頭かの子供のお父さんになってくれていると良いなと思います。

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