NEWSLETTER Vol. 8 2013 年 10月

      2016/05/04

―プラスチックと海洋野生生物― BY モギルコアラ病院院長 アラン=マッキノン獣医師

bottle-on-beach-no-name2012年には、世界中で2億8000万トンのプラスチックが製造されました。2050年までに330億トンのプラスチックが生産されると予想されています。プラスチックのごみは非常に大きな環境問題です。私たちが廃棄するプラスチックの半分が埋め立てられますが、残りは風に吹かれて最終的には海の中に入ってしまうのです。

プラスチックが野生動物に脅威を与えていることから、科学者たちはプラスチックは有害廃棄物として取り扱われるべきだと主張しています。プラスチックは、汚染された海水にある毒素を濃縮するだけでなく、海洋生物に絡まったり窒息させたりします。

オーシャン クルセーダー オーガニゼーション(海洋十字軍協会)は以下のように主張しています。
「全世界で、買い物客は年間約5000億枚の使い捨てビニル袋を使用しています。これは、世界で毎分100万枚、または一人当たり年間150枚のビニル袋を使用していることを表します。そして、その数は増加しています。」

彼らの統計は1平方マイル(訳注:2.59平方キロメートル)毎に4万6000点のプラスチックが海洋内に存在する可能性があり、世界の水産資源のうち少なくとも3分の2がプラスチックの摂取に苦しんでいることを示しています。

絶滅危惧種インターナショナル(ESI)の会長であるPierre Fidenci氏は以下のように述べています。
「海は、殆どが人間の目には見えないプラスチックの破片で出来たスープのようなものです。生命を死に至らせ、危険なほどに私たちの健康に影響を及ぼしています。」

数百万トンのプラスチックの破片が、何百もの動物や魚によって飲み込まれており、それによって消化機構を詰まらせたり、体内に化学物質が入ってしまうなどの被害が起きています。180種以上の生物がプラスチック摂取で報告されています。

プラスチック製品がカメ、クジラ、アザラシ、ジュゴンや海鳥に絡みつくことも大きな問題です。大多数の生物への絡みつきは、廃棄された漁網(ゴーストネット)whale2010によって起きています。

昨年、オーストラリア放送協会(ABC)の「カタリスト(Catalyst)」という番組は「プラスチックの海」を放送しました。以下はその番組からの引用です。

動物学者Jennifer Lavers博士は過去5季に渡って、プラスチックによって引き起こされた水鳥の死亡について研究してきました。微細なプラスチック(ミクロプラスチック)による深刻な影響が分子レベルで起こっていることを発見しました。

Lavers博士は次のように述べています。
「プラスチックは目に見えない有毒な作用を持っています。検出するのはより大変ですが、恐ろしさは他と同じです。
プラスチック自体は本質的に製造やプロセス中に使用される幅広い化学物質を含んでいます。プラスチックが海洋環境に放り込まれると、それは海の中を実に長い間10年もしくは40年もの間浮遊し続けます。そうしたプラスチックは基本的に小さな磁石かスポンジのような役割をし、海水で希釈されている海洋内の全汚染物質を取り込み、海面で濃縮します。
プラスチックの表面には、周囲の海水に比べ、最大千倍もの濃縮された汚染物質がついています。そしてカメだろうと海鳥だろうと、動物がその汚染物質を体内に取り入れてしまうと、それは血流に浸出して組織に取り込まれてしまいます。
現在、膨大な研究がなされており、ほぼ毎月発表されていますが、それらの研究は食物連鎖の絶対的な基盤である海洋生物種がこれらのプラスチックと汚染物質を摂取している事を示しています。
海洋由来のものに関しては、もはやオーガニックであるなどと証明することはできない事態になっています。」

この問題について私たちは何ができるでしょうか?
簡単な答えは「海にプラスチックを捨てるのをやめる」です。

個人で出来ること:dolphin
1. 包装の使用を控えてゴミを減らすこと
2. 使い捨てプラスチック製品を購入しないこと
3. 容器を再利用すること
4. 可能であればリサイクルすること(多くのプラスチックは現在リサイクルすることはできません。)

予防は治療に勝る、転ばぬ先の杖ということです。

ニューズレター全文を読む(PDF)

 - ニューズレター