野生馬とオーストラリアンエコシステム

      2019/06/14

皆さん、こんにちは。AJWCEFスタッフ、Yukoです。
このお部屋に集まってくれる皆さんと同じ、動物大好き、幼い頃からオーストラリアのワイルドライフに憧れ、何度かこの国で自分なりの野生動物探検旅行を実践。最終的にはクィーンズランド大学でEquine Studies(馬学)を専攻し、オーストラリアに落ち着きました。野生動物に関わるお仕事をきっかけに今回は、ウマは馬でも、視点を変えて野生馬に目を向けてみようと思います。
数回に分けて更新していきますので皆様、末永く宜しくお願いしますね。

オーストラリアンブランビー

オーストラリアの野生馬って何???

オーストラリアにはBrumby(ブランビー)と呼ばれる野生馬が全土に棲息しています。まとまった分布が見られるのが肉牛の放牧地が広がるノーザンテリトリー州の荒野地帯をはじめ、西オーストラリア州や南オーストラリア州、この国では一番高いとされる標高2000mの山々が連なる地域、オーストラリアアルプス(ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、オーストラリア首都特別地域)になります。国立公園内にも生息しているんです。

オーストラリアブランビー分布図

ただ野生馬って何?牧場にいる馬とどう違うの?と疑問に思われるかもしれません。確かにそうです、、、私達が日常的に目にできる馬達は主に乗用、運搬、農耕など家畜化されて飼育されているものばかりですよね。

オーストラリアでの野生馬の定義はFree-Roaming Feral Horse と言って、飼い主・帰る場所もなくフラフラしているウマと説明されています。これには理由があり、オーストラリアにはもともと野生馬はいないと言われているからです。

1780年代ヨーロッパからの入植、開拓を機に既に家畜化された馬達が人や物の輸送、農耕目的に持ち込まれたのが始まりです。ヨーロッパからオーストラリアまで長い時間掛けて、とてつもなく遠い距離を船で渡り、生き抜いてきた馬達はスタミナがあり、足腰が強く、健康な家畜動物として重宝されました。これらの馬が時代と共に品種改良され、気性が穏やかで、持久力に優れ、機敏性のある馬として現在はAustralian Stock Horse(オーストラリアンストックホース)と呼ばれています。 ヨーロッパから運ばれた頭数は1800年にはまだ200頭ほどだったのが1810年頃から競馬レースが開催されるようになり特にイギリスからサラブレッド種の馬を輸入する数が急激に増え、1820年までには3500頭、1850年までには16万頭と、急激にウマの人口が増えたと言われています。

その一方、開拓が進むにつれて馬の繁殖/需要数も増える一方、フェンスなどで飼育されていた馬達が逃げ出し、野生化したのが野生馬Brumby(ブランビー)の始まりだと言われています。逃走の報告が初めて記録されたのは1804年のことでした。 第一次世界大戦後、機械革命が起こると同時にそれまでヒトやモノの輸送、戦争に駆り出される騎馬隊としての需要が激減、野放しにされる家畜馬が野生馬として荒野で生き残り、数が急激に増えたのがこの時期です。

2000年に豪政府から公表されたオーストラリア国内で野生化した馬たちの数は40万頭、現在はさらに上回り100万頭以上と推測されています。

ブランビー達は1860年代頃から初めてオーストラリア特有のエコシステム(生態系)を破壊するペスト(害獣)として主に政府・環境問題研究家・環境保護主義者などから扱われ始めました。一方、オーストラリアの歴史の一部、国遺産として動物保護活動家や愛好家、団体からサポートを受け、非人道的な扱いや駆除されないよう再家畜化する動きもあります。

次回はブランビー達がオーストラリアのエコシステムに
どのような影響を与えているのか一緒に見ていきましょう!

 

<参考文献>
◇Feral horse (Equus caballus) and feral donkey (Equus asinus)
Australian Government Department of Sustainability, Environment, Water, Population and Communities, 2011

https://www.environment.gov.au/biodiversity/invasive-species/publications/factsheet-feral-horse-equus-caballus-and-feral-donkey-equus-asinus
◇Australian Brumby Alliance Inc
http://australianbrumbyalliance.org.au/
<写真>
◇https://coastbeat.com.au/saving-the-australian-brumby/
◇Distribution of feral horses in Australia. Adapted from: Clarke GM et al (2000). Environmental Pest Species in Australia. Internal report, Department of the Environment and Heritage, Canberra.
https://www.americanfarriers.com/articles/814-brumby-research-in-australia?v=preview

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