赤い海藻が牛から排出されるメタンガスの削減への解決になりうると研究 2023年6月28日

   

『Red seaweed could be the answer to slashing methane emissions from cows, study shows』(英文PDF)

ABC News
Harrison Tippet記
2023年4月3日

担当:橋本 瑛麗菜

【要約】

フェアトレード認証のコーヒー豆や牛乳の代用品のことは忘れてください、ガス排出量の少ないラテがあなたの周りのカフェで次の大きな話題になるかもしれない。

酪農業介においての最新の研究により、酪農産業は、アスパラゴプシス・アルマタという自生する赤い海藻を牛に与えることで、メタン排出を劇的に削減する道が開かれました。この研究は酪農家に二酸化炭素排出量を削減する明確な機会を提供したうえに、産業業界にとって排出量削減商品という収益性の高い新たなマーケティング手段をもたらすはじめのきっかけになるかもしれない。 

 

3月に発表されたインターナショナルジャーナルアニマルフィード サイエンス&テクノロジーの研究が、キャノーラオイルに浸された海藻は牛乳生産の質と量に影響せずに酪農場におけるメタンガス排出量を大幅に減少させるということを示した。CSIRO(連邦科学産業研究機構)の分室であり、飼料添加物としてのアスパラゴプシスに関する知的財産権を持つFutureFeed社の研修者であるRob Kinley博士は、この発見は未来を変えたと述べた。

 

「規制の観点から、研究は酪農産業で初めてアスパラゴプシスを使用した研究である。」「酪農システムと酪農飼料市場においてアスパラゴプシスを添加したものを売ることや利用することはこの商品を大規模に利用可能とする最初の一歩だろう。メタンガスの排出量を削減することは酪農産業にとって大きな機会である。」とKinley博士が述べた。アスパラゴプシスは牛や羊やヤギなどの有蹄の家畜におけるメタンガス排出を抑制するブロモフォルムを豊富に含むため、牛からのメタンガス排出も減らす。

 

海藻を飼料に添加することは温室効果ガス排出を減らすことに貢献する可能性がある

10年以上にわたって行われた多数の研究が、牛の飼料にアスパラゴプシスを添加することは80~98%のメタンガスを削減する可能性があると示した。ビクトリア州の温室効果ガスの約五分の一を農業が占めていて、農業からの排出量のうち70%は家畜のゲップによって放出されるメタンガスが原因である。その州で家畜のゲップが原因の排出ガスが80%削減されたら、車200万台分と同等の900万トンの二酸化炭素を削減することになる。

 

Immersion Groupはビクトリア州で唯一、FutureFeed社からアスパラゴプシスの養殖と販売をする許可得た会社で、ジーロング近くのポートフィリップ湾にある、ポートアーリントンの海で行っている。この会社の管理チーフであるScott Elliott氏は、「ビジネスを設立するための長い時間は2022年に報われました、つまり、その年は、初の商業的な洋上収穫を達成し、鉱業関係者を含む富裕層の投資家を次々と魅了しました。」と述べた。

 Elliott氏はさらに「牛の飼料に添加する少しの海藻はインパクトが必要とされていた」と述べる。凍らして乾燥させて飼料にふりかけるか、キャノーラオイルに浸したものを飼料に注ぐ。

「私たちが語っているのは、わずか60グラム程のこの驚くべき赤い海藻なのです、それが乳牛や飼育上の肉牛へ与えられると約80%、いくつかの研究では98%もの腸内で発生するメタンガスを削減することできます、ゲップが止まれば、メタンガスも止まり、それに伴い気候変動も止まればと願います。」と述べた。

 

酪農家はアスパラゴプシスのトライアルを開始しつつある

アニマルフィード サイエンス&テクノロジーの研究はごく最近発表されたにも関わらず、農家の中にはすでにアスパラゴプシスのトライアルを始めている人もいる。

 

10頭の牛で28日間のトライアルを引き受けているApostle Whey Cheese の農場経営者である Luke Benson氏は「排出ガスを削減することに努めることは時代相応のシンプルなものである。私たちは酪農の未来を見据え、二酸化炭素排出や環境について考え、積極的に行動していくことが必要である。二酸化炭素排出量を減らすことができればその分、未来により持続可能な社会になる。今の酪農の仕組みを続ければ、将来に持続可能とは限らない。つまり、他の産業も同じように、将来を見据えて時代を先取りしていく必要がある」と述べた。

 

有名なスーパーマーケットやファーストフードのチェーン店を含むビジネスは二酸化炭素排出量を気にかける客を引き付けるマーケティング市場において、商品をブランド化された、低公害排出商品をすでに売り始めている。

そして、アスパラゴプシスのトライアルは酪農業界で始まったばかりであるが、今後は同じような持続可能社会に向けた試みがこれに続くだろうと推定される。

 

【感想】

牛から排出される温室効果ガスについては人間側の食事を変えることしか改善策はないと思っていましたが、考えていたよりも大幅に重大な問題であることと海藻を与えることで80-98%ものメタンガス排出を削減できるということに驚きました。家畜のみでなく人間でも海藻を食べることで二酸化炭素排出量は減るのか気になりました。これまでこの問題について日本のニュースなどで取り上げられていることをあまり目にしてこなかったので日本ではなにか対策をしているのかなどが気になりました。

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