オーストラリアで賞を取った写真に隠されたメッセージが明らかになった 2023年10月11日

   

『Story reveals hidden message in award-winning Aussie photo』(英文PDF) 
Yahoo news
Michael Dahlstrom記
2023年6月20日 

担当:橋本 瑛麗菜

【要約】

「私は彼女がウォンバットにミルクをあげる美しい姿を見ていた。あげ終えると、彼女はウォンバットに鼻を摺り寄せた、私は2つの側面があるその光景を撮った。」オーストラリア人野生動物フォトグラファーのDoug Gimesy氏は、オーストラリアのyahooニュースでそう述べた。

親がいなく、まだ小さくてかわいいウォンバットにアニマルケアラーが哺乳瓶でミルクを与えた後のつかの間の瞬間を撮影した9月のことを思い出していた。6月、彼の写真『Bare nose to Bare-nosed wombat』はカリフォルニアを拠点とし7000以上の応募がある国際的なコンテストで人類/自然部門賞を取った。彼はこの賞を取ったことに大喜びしたが、賞を取ったことは物語の半分でしかなく、彼は写真の中のウォンバットに再注目してほしかった。この写真には彼女の人生を知らなければ気づかないだろう隠れたメッセージがある。

 

ウォンバットのモーデをどこに放すか問題

今日、世界中で有名になったこの写真が撮られたときモーデは生後4ヶ月だった。しかし、その数日前にモーデの母親がメルボルンの郊外で交通事故に遭い、彼女の人生は劇的に変わった。運が良かったことに、運転手は車を止め、母親の袋の中を確認した。数ヶ月後、モーデは今大きくなって、野生に戻る準備をしている。通常であれば、見つけた場所の近くに返そうとすることが、Doug氏はそこに問題を見つけた。「モーデはWhittleseaから運ばれてきたが、そこは今住宅地になっているため戻りたくないだろう。いろいろな意味で胸が張り裂けそうた」とDoug氏は述べた。

 

オーストラリアの野生動物は地域開発で住処を失っている

 町の北部に位置し、かつて緑に覆われていたWittleseaのパドックは急激に都会が広がっていて、この地域の野生動物は住む場所を失い、交通量増加の犠牲になっている。2月Yahoo!は、郊外で交通事故にあったわが子を必死に生き返らせようとするカンガルーの母親について報じた。この問題はオーストラリア中で頻発していて、コアラのような希少種までゴールドコーストやシドニーで住処を失っている。かつては数の多かったヒメウォンバットは景観から姿を消しつつある。「ヒメウォンバット(bare-nosed wombat)はCommon Wombtともいわれているが、common(どこにでもいる)という名前は少し勘違いをさせる名前で、それほど何処にいるわけではない。そして、減少の重大な要因の一つは生息地の破壊である。」とDoug氏は述べる。

 

写真に隠された重要なメッセージ

コンテストに応募することはDoug氏にとって、オーストラリアの野生動物の現状についての意識を高める重要なことだった。彼の写真は2つの写真を共有したが、オーストラリアの野生動物が直面している危機にハイライトを当てるためである。カギとなるメッセージは有袋類が死んだ場合は常に袋の中を確認することが大切であり、不可能な場合は少なくともそれができる組織や他の誰かを呼ぶことである。もし誰もモーデの母親の袋を確認していなければ、モーデはたった一人で高体温または低体温、脱水、飢餓、あるいは捕食動物に襲われるなどの残酷な死を迎えていただろう。」とDoug氏は述べる。

 

彼は野生動物の死をロードキルと表すのではなく、交通事故でのトラウマいうフレーズを用いる。「それは自動車と衝突した動物たちの約50%は即死ではないということを私たちは知っているからである。つまり、残酷な状態でゆっくりと死ぬか、傷を負った状態で生きているかのどちらかである。もし、赤ちゃんカンガルーがお母さんのお腹の袋にいたとしたら、その赤ちゃんカンガルーはトラウマを抱える。また、怪我した動物を殺処分しなければいけない人々もまたトラウマを抱える。私はロードキルという言葉はその過程を無視した、結果を表すだけの野蛮で不適切な漠然とした言葉だと感じる。」と述べた。

【感想】

ロードキルという単語はよく耳にしますし、実際に普段の解剖では死亡理由にロードキルを確認することが多くあり、昨年見学したコアラの解剖でもロードキル・即死だと思っていました。しかし、実際は交通事故の半数は即死ではなく外傷で怪我をしたまましばらく生きているということを学び、事故の後放置される動物を考えるととても苦しく感じました。また、有袋類が多く生息するオーストラリアでの交通事故は日本とは別で、袋の中に子供がいる可能性があるということ、確認しなければいけないということは周知すべきことがらだと思いました。ただ、野生動物の死体を触るという行動は感染症などの観点から危険だろうという観点から確認せず放置してしまう人もいるのではないかと感じます。しかしそういった場合に頼ることができる野生動物保護団体が多く存在するのがまたオーストラリアの素晴らしいところだと思います。この事実を多くの人知ることで救われる命が増えてほしいと思いました。

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