ルリミツユビカワセミ絶滅の危機、対応策がないことへの懸念 2024年2月5日
2024/03/04
ABC Online
Evan Wallace 記
2023年10月7日
担当:Sara
【要約】
タスマニア州北西にあるLeven川。その河岸でDean Hohnは青くきらめく鳥、ルリミツユビカワセミを探していた。
「いつも彼らを見れることは、素晴らしいことだ」
「深い青とオレンジ、目立つと思うでしょう。でも周りに溶け込むんだ。見つけた瞬間は心が踊るよ」とHohn氏は言う。
彼は、景色に紛れ込んでしまうこの鳥に惚れ込み、3年間に渡って50回以上、Leven川で観察を続けてきた。その間、この鳥の生息域と、僅かな個体数を守るための対応が十分にされていないことに危機感を募らせてきた。
「ここの環境は...とても美しい。保護し、管理する必要がある。」
絶滅危惧種、しかし回復計画はない
オーストラリア本土に生息するカワセミの亜種であるルリミツユビカワセミ、この種の危機的状況については20年以上も前から政府の注目を集めてきた。
2001年、タスマニア州政府は個体数減少によりこの種を絶滅危惧種に指定した。
その9年後、連邦政府もこれに続き、環境保護・生物多様性保全(EPBC)法の下で、絶滅危惧種、準絶滅危惧種の58種の1つに指定した。
野生の成鳥は約250~400羽と推定されており、限られた場所にわずかしか生息していない。
これだけ個体数が減少しているのにも関わらず、解決策は見出されていないのである。
これは絶滅危惧種、準絶滅危惧種に指定されているが州、国による回復計画が立てられていない14種のうちの1つである。
2012年、タスマニア州政府はこの種の「絶滅リスクを減らす」7つの勧告を受けた。
これには個体数のモニタリング調査、生息地の保護、飼育個体群の調査、カワセミの重要性やその生息地に関する情報を共有する地域社会との協議などが含まれていた。
これまでの所、ルリミツユビカワセミの個体群増加に対しての直接的な対応は限られており、正確な個体数調査の研究はされていない。また保護活動はより広範な生息地保護の取り組みに限られているようだ。
生き残れるかどうかの瀬戸際
鳥類学者で野生動物コンサルタントのMark Holdsworthは、ルリミツユビカワセミがタスマニア州で最も研究されていない鳥の1つ、という現状を変えようと必死だ。
「彼らは生き残れるかどうかの瀬戸際にいるんだ」Holdsworth氏は言う。
「私たちは彼らについてもっと知るべきだ。彼らの重要な生息域とは、そもそもどこに生息しているのか、個体数はどのくらいなのか。そして彼らにとってのリスクは何なのかなど調査する必要がある。」
「私たちは裕福な国であるにも関わらず、回復策を生み出すための資源が足りない。」
「私たちを動かすような策を作り出さなければ、暗闇の中を歩き続け、行き当たりばったりの策を生み出すことしか出来ない。」
「残念な事だが、ルリミツユビカワセミへの保護活動は後回しにされており、年を越すたびに優先度が下がっている。」
Dooley氏はEPBC法を強化し、鳥類が絶滅危惧種に指定された場合、適切な保護がされるよう求めている。
わずかな個体しかいない地域こそ、その場所全体に影響を与えられるような、連邦レベルのもっと強力な自然保護法が必要」
「彼らが目がくらむほど美しい生物であることを考慮すべきではないが、こんな美しい生物を守るために私たちが団結出来なければ、他の環境に対して希望など持てるだろうか」
全体像を把握するにはモニタリングが不可欠
ルリミツユビカワセミの個体数が安定したという情報が早くも示唆されている。
これにはいくつかの証拠があり、この鳥のほとんどが保護区に生息しているということ、また、以前よりも多くの地域に生息していると考えられることによって個体数が一定に保たれているとされている、それ故、ルリミツユビカワセミの個体数の調査は続いている。
例えば、非営利団体は2020年のオーストラリア鳥類行動計画リストの中で、この種は絶滅危急種と指定されている。
しかし、この行動計画は"亜種の範囲にまで種を絞って"モニタリングはされておらず、これは"種の個体数変化を調べるにはデータ量が乏しい"とされている。
タスマニア州天然資源環境局(Tasmanian Natural Resources and Environment Department)の広報担当者は声明の中で、「絶滅危惧種に指定されている種にとって、保護、管理することは政府、地域、研究者、一般人、産業界の全員に責任がある」と述べた。
そして「この鳥の生息数や分布についてもっと多くの情報が必要である」とも述べた。連邦政府の絶滅危惧種局長にもコメントを求めた。
【感想】
日本も生物、自然保護に関してまだ十分な対策がなされていないと思うが、国、地域に関係なく、種の存続が危うい生き物に対してはすぐに解決策を見出して行動するべきだと思う。私が知っている例として、オキノタユウ(アホウドリ)がある。元々100万羽いた彼らは、人間の乱獲により一時は絶滅したと考えられていた。しかし1951年に10羽が再発見されてから2023年現在では7900羽まで回復させることに成功している(長谷川博 教授)。
きっと私たちが気づかないうちに絶滅している生物もたくさんいるのだろう。
私も少しずつでいいから、どんな生物が危機にあるのか、何が原因なのか、どうすれば回復するのか、ヒトと自然が共生していくことについてもっと知識をつけていきたい。