可愛いだけのオシリじゃない! ~危険からも身を守るウォンバットのお尻〜 2021年3月2日

      2021/03/02

『wombat bums: There's more than meets the eye Not simply designed  for sitting , wombat bums is its best defence against attack(英文PDF)

Australian Geographic  2020年11月03日

 担当:Julie

《要約》

アリス・スウィンボーン博士はウォンバットのお尻に関してちょっとした物知りだ。彼女はウォンバットの繁殖に関する研究を通して有袋類の形態を近くで観察する機会が多くあった。ウォンバットのお尻は、その柔らかくぽっちゃりした形からは想像できないような役割を持っている。

ウォンバットの臀部は、4つの融合した板状の骨を軟骨組織、脂肪、皮膚、毛皮で覆われ、交尾、穴掘り、そして防御に使われる。事実、臀部の表面の最も重要な役割は、巣穴を塞ぎ、捕食者や他のウォンバットから身を守ることだ。

 

お尻ガード

これまで、多くのキツネやディンゴの頭蓋骨がウォンバットの巣穴の外で見つかっている。このことから、ウォンバットのお尻ガードによって敵を鎮圧したことがうかがえる。

アリス博士は、“これを裏付けるようにウォンバットのお尻はとても丈夫です。捕食者から身を守る大事な防御システムなんです”、という。

“ウォンバットはお尻で巣穴の通路を侵入者からブロックします。なので、もしキツネが巣穴に入ってきたら最初に遭遇するのはウォンバットのお尻です”

それだけでなく、アリス博士が言うにはウォンバットは“大掃除”として残っている動物の死骸を巣穴から取り除くこともできるという。

“これはよくあることです。ウォンバットは異なる巣穴間を移動し、キツネが以前使っていた巣穴に移住することもありますので”、とアリス博士はいう。

ウォンバットは幼い頃から自分のお尻を使いこなせるように学ぶという。

アリス博士は、“ウォンバットの子どもがお尻を振り回したりくるくる回ったりお尻からどこかに突っ込んだりキックしたりする様子は今まで見た中で一番可愛くて可笑しかったです。私はこのことを‘ズーミーズ(zoom=疾走するの造語)’と呼びます。彼らが幼い頃からお尻を強力な武器だと学ぶのは一目瞭然です”

 

噛み付いたり蹴ったり

アリス博士はウォンバットのメスが交尾相手となるオスのお尻を噛んだり蹴ったりする行動を観察し、ウォンバットの交尾テクニックに関する重要な研究をまとめた論文を2017年に発表した。

彼女はウォンバットの尿からホルモンの計測も行うため、尿の採取方法を工夫する必要があった。そして、ウォンバットに害を与えずに尿を採取する方法を確立した。それはなんと、ウォンバットのお尻を激しくくすぐるという方法だというのだ。

アリス博士の夫であり同じくウォンバットの研究者であるマイケル博士は、最近、ウォンバットの繁殖行動の様子を撮影した。”ちょっと見ればウォンバットの繁殖期がはじまっていることがすぐ分かります”、とアリス博士。”ウォンバットは繁殖期に気性が荒くなるんです”。

オスはメスを追いかけ、背中に飛び乗り、お尻に噛みつき、爪をたてがっちりとつかむ。”かなり激しいように聞こえますが、大抵はメスの方からオスを追いかけて交尾を始めます。主にメスが主導権を握っているのです”

“メスが、オスが寝ている巣穴の一部屋に入り、オスに噛みつき自分を追いかけさせるように誘うのを見たことがあります”

お尻に噛み付くことは交尾を始める大事なきっかけです。”体力があることを示すため、オスはメスの体力を消耗させて交尾を成功させなければなりません。また、比較的大きなメスはオスにダメージを与えることが多く、その逆もあります。両者とも自分の力を出し切らなければならないのです”

【感想】

ウォンバットのお尻は丈夫なことで有名です。

他の個体のウォンバットだけでなく、捕食者に噛み付かれても動じないと知られていますが、この記事に出てくるディンゴとキツネはどちらも移入種です。

ディンゴは約3500年前にオーストラリアのメインランドにニューギニアから連れてこられ、キツネは1800年代中頃にヨーロッパからの入植者によって連れてこられました。

しかしウォンバットは約250万年前から存在していたとされますので、強靭なお尻はディンゴやキツネの牙から守っていたわけではないことがうかがえます。

実は、タスマニアの固有種である現存する最大の肉食有袋類のタスマニアンデビル はメインランドにも生息していたことが知られており、また、タスマニアンタイガー(和名:フクロオオカミ)というオオカミに似たような有袋類もメインランドに生息していましたが、タスマニアンデビル がメインランドから絶滅した時期と同じ頃の約3200年前に姿を消したと言われています。

ウォンバットはもともとそのようなタスマニアンデビル やタスマニアンタイガーといった肉食獣から身を守る必要があったことがうかがえます。(フクロネコも肉食ではありますがウォンバットを狩ることはほとんどないようです)

 

おっとりしたイメージのウォンバットが荒々しくなる様子は興味深いです。

YouTubeで追いかけ周りやっと交尾にこぎつける様子を発見しました。

https://www.youtube.com/watch?v=opC6JP7YtQ4

ウォンバットのお尻も注目してみるともっと面白いことが知れそうですね。

 

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