Queensland州のFitzroy川に生息するウスイロイルカ 餌の獲得のために危険な行動をする 2021年2月16日

      2021/02/16

『Humpback dolphins in Queensland's Fitzroy River use risky behaviour to catch prey』(英文PDF)

ABC News  2020年4月25日

Erin Semmler記

 担当:S.K.

《要約》

Queensland州中央部のFitzroy川で、ウスイロイルカの群れが獲物を捕らえるために珍しい危険な行動をとっている様子が目撃された。

Southern Cross大学の研究者であるDaniele Cagnazzi先生によると、体重250キログラムにもなるこのイルカは、ストランドフィードと呼ばれる手法において泥沼に自ら乗り上げるという。

Cagnazzi先生によると、2009年に初めてイルカがこの手法を使っているのを目撃し、この群れがオーストラリアでその行動を記録した初めての種であるという。「イルカは砂場で水から体を出し、そして泥の上にいる間に、体を弓なりにして魚を掴んでから水の中に戻るのです。」

「それは、野生で観察するのは非常に稀な行動です。平均的なウスイロイルカの体長は約2.7メートル、体重は約250キロなので、それは危険な行動です。考えてみてください、この大きさの動物が砂場に乗り上げて小魚を捕まえようとしているのです。砂場に乗り上げたままになってしまう危険が非常に高いため、その行動はわずかな見返りに対してハイリスクであると言えるでしょう。」

体の一部または全身が水面から出ている時間を含めて、全体のプロセスは数秒で終わる。「彼らは数秒、長くても5~10秒ほどその場に留まり、再び水に入ります。今のところ、同じ場所、同じ環境で一貫してこの行動をしているのは、この個体群だけであるようです。この行動は日常的に繰り返されているので、一日の必要摂餌量に対して重要な割合を占めているに違いありませんーイルカは一日に自分の体重の4~6%の魚を消費しなければならないのです。」とCagnazzi先生は述べた。

Cagnazzi先生は、次のようにも述べた。「その危険な手法は国際的にも数箇所でしか記録されておらず、オーストラリアでは初めてです。西オーストラリアのバンドウイルカ、非常に浅い水の中で魚を追いかけるという非常に似たような行動をしますが、一般的にはFitzroy川のウスイロイルカのように完全に乗り上げるようなことはありません。」

 

気候変動を注視する研究者たち

13年間この種を観察してきた研究者は、子供をもつメスが最もこの手法を使っていると述べた。

「時折、オスもいます。私たちは、この行動を母親が子供に教えているのではないかと考えています。気候変動と洪水頻度の増加に伴い、彼らの生息地は絶え間なく変化しており、イルカのストランドフィードの特徴も変化し続けています。イルカの生息地が変化し、日々の必要摂餌量を得るための餌を砂地に追い込む行動ができなくなる可能性もあります。もしそうなれば、他の方法を見つける必要があるかもしれませんし、より多くの食料源を見つけられる他地域に移動するかもしれません。」

Cagnazzi先生と彼のチームは、絶滅危急種が気候変動の影響にどのように反応するかを観察し続ける予定だ。

「この種の研究は、オーストラリアで最も長い期間行われています。これまで誰も行ったことのない、この種の個体群について研究することで、たくさんの答えが得られるのは明らかです。私たちはその個体群のほとんどの性別や多くの子供の年齢を把握しており、またその個体群の毒性に関する研究も行ってきたので、本当に多様なデータを得ることができています。特にこの行動は、これらの種と生息地のつながりの重要性に加え、彼らがこの行動を続けられるように生息地を保護することの重要性を示しています。」

<感想>

本記事に登場するイルカのように,本当に多くの動物たちが気候変動の影響をうけ,中には命を落としてしまう動物も数多くいます.2019年末から2020年にかけてオーストラリアで発生した大規模森林火災も代表的な1つの例です.人々のためだけではなく小さな命にも目を向けて,気候変動を抑えられるような行動を心がけなければいけませんね。

 

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