モートン湾の貝類礁の復元 2023年2月22日
2023/02/22
『Morton Bay Shellfish Reef Restration』(英文PDF)
OzFish ホームページより
(Moreton Bay Shellfish Reef Restoration - Queensland | OzFish Unlimited)
担当:Y.M.
【要約】
The Central Moreton Bay OzFish Chapterは、今後10年以上かけてモートン湾の100ヘクタール、さらには何百ヘクタールにも及ぶ貝礁を再生するという野心的な目標を掲げています。
Moreton Bay Shellfish Recycling Centre
モートンベイ貝類リサイクルセンターの設立は、モートンベイの貝類礁を再生するための過程の一部に過ぎません。
使用済みの貝殻は、ブリスベン市内の水産会社やレストランから回収されます。使用済みの貝殻は、生きた牡蠣が戻ってくるのを促し、自然に定着するという研究結果があるため、これらの貝殻は礁の復元に必要なものなのです。リサイクルされた牡蠣殻は、サンゴ礁の再生に適した場所に戻されると、最大で10個の稚貝の住処となります。リサイクルセンターでは、使用済みの貝殻を湾に戻す前に、病気や害虫から最大4カ月間殺菌しています。
失われた生息地の復元
これらのモジュール式礁の復元構造は、牡蠣礁が以前存在していたグリーンゾーン外のエリアで、海草、水鳥、商業漁業者、蝟集者に悪影響を与えず、ボートの航行障害や快適性をもたらさない場所に設置される予定です。
私たちは、大学の研究者とともにこれらの試験結果を監視し、今後10年間で最も効果的な復元方法を拡大し、10年間で100ヘクタールの牡蠣礁を復元することを目指します。これにより、年間最大250トンの水産物を生産できる可能性があります。
牡蠣養殖場
ウィナム マンリー シーフード フェスティバルで集められた資金と継続的な地域からの寄付により、オズフィッシュ協会は牡蠣の養殖場を購入し、稚貝(スパット)を育ててを岩礁を活性化させ、貝の岩礁再生をスタートさせることが出来ました。
2019年11月に養殖場上にバスケットが出され、何千ものリサイクルされた貝殻で埋め尽くされました。数カ月もしないうちに、牡蠣やムール貝など、新しい貝が育っていることが示された。最近の調査では、200個の貝殻に付着した生命を数えたところ、1,123個の新しい牡蠣と457個のムール貝がありました。
時間の経過とともに牡蠣やイガイは成長し、互いに結合して畝のような構造物ができる。この牡蠣とムール貝は、その後、試験地に移され、新しい礁を形成する予定である。
ロバスト・オイスター・バスケット
牡蠣礁の形成は、地域社会、企業、ボランティアの協力が必要なことが多く、厄介な仕事です。
そこでOzFishのメンバーは、牡蠣が群れをなして成長する性質を利用し、ロバスト・オイスター・バスケット(通称ROB)を作りました。このバスケットを使えば、使用済みの殻を簡単に養殖場へ運ぶことができ、また、ボランティアも重機なしで礁を展開することができます。
ROBは分解可能なスチールメッシュでできており、その中にボランティアが貝殻リサイクルセンターで洗浄した牡蠣殻を詰めて使用します。このメッシュは約2年で分解され、牡蠣やその他の貝殻に栄養を与えることができます。
【感想】
日本の食用牡蠣を育てる養殖場ではホタテの貝殻を利用しているようだが、この記事にあるように牡蠣の貝殻が生きた稚貝を呼び寄せるなどという点が興味深いと思った。また、このケースでは牡蠣だけではなく、ムール貝も生息するということで牡蠣だけではなく海の生態系の回復に少しでも役に立つようになることを切に願います。また、分解可能なスチールメッシュを使用する点でも、人の手が入る事での自然界への影響を抑えることができるのではないかと思い、素晴らしいと思います。
牡蠣は海水を浄化する働きがあると言われているのようなので、日本でも食用に養殖するだけではなく、汚れた海を復元する目的で牡蠣礁を作るということは有効なのであろうかと考えさせられました。