オーストラリアのオウムが気候変動に対抗するために体形を変化させている 2022年2月1日

      2022/02/01

『 Australian parrots are changing their body shapes to cope with climate change』(英文PDF)

Australian Geographics

2021年9月08日

The conversation記

 担当:M.H.

【要約】

気候変動に対抗するために動物が耳や尾、嘴、その他の付属器の大きさを変えている方法が新たに調査された

 地球温暖化は、一定の体温を維持しなければならない恒温動物にとって大きな課題である。熱中症を経験したことのある人にはわかるであろうが、私たちの身体は過度に熱せられるとひどく負荷のかかった状態になってしまう。

 動物は様々な方法で地球温暖化と関わっている。より北極に近い土地やより標高の高い土地など涼しい地域に移動するものもいる。より涼しい時期に行えるように、繁殖や渡りなど生活上の重要な出来事の時期を変えるものもいる。その他、より早く体温を下げるために体の大きさを変えるものもいる。

 私たちの調査ではこの他の方法で地球温暖化に対抗する動物種が明らかになった。その方法とは耳や尾、嘴、その他の付属器の大きさを変えるという方法である。私たちは既に発表されている文献を再調査し、地球温暖化と平行して動物が体の一部分を大きくしていることを発見し、気温の上昇と結びつけて考えた。

 このようにして、私たちはオーストラリアの動物を含めまさに「変身」する数々の動物の例を特定した。変身の型は幅広く、私たちは地球温暖化が動物の形態の根本的な変化につながることを示唆した。

 

アレンの法則に従う

 動物が体温を調節するために付属器を使うのはよく知られている。例えばアフリカゾウは、大きな耳に血液を送り出し、熱を分散させるためにその耳をパタパタと動かす。鳥の嘴は似たような機能を果たし、暑いと血流が嘴に分散される。この熱を分散させる機能はキンショウジョウインコの保温機能に表れており、嘴はその他の身体の部分より温かい。

 これらは温かい環境における大きな付属器の優位性を意味する。実際に1870年代に遡るとアメリカ人の動物学者ジョエル・アレンは、温血動物は温かい気候では大きい付属器を持つのに対して冷たい気候では小さい付属器を持つ傾向があると記述している。

 これはアレンの法則として知られるようになり、鳥類や哺乳類の研究において支持されている。

 アレンの法則のような生物学上の法則は、動物がどのように地球温暖化に対して変化しているかを予測する手助けとなる。私たちの研究は動物が地球温暖化やアレンの法則に一貫して、ここ一世紀の間に変身してきた例を見つけるために始動した。

 

どの動物が変化している?

 私たちは鳥類における変身の例、特に嘴の大きさの増加の報告を一番多く見つけた。

 この報告はさまざまな種類のオーストラリアのオウムを含む。研究によるとアカサカオウムとビセイインコの嘴は1871年から4%~10%増大した。

 哺乳類の付属器も増大している。例えば、マスクトガリネズミでは尾と脚の長さが1950年から顕著に増加した。そしてGreat roundleafという種のコウモリでは、同様の時期に翼の長さが1.64%増加した。

 豊富な例は「変身」が異なる種類の付属器や様々な種の動物、世界中のあらゆる場所に発生していることを示している。しかしどのような種類の動物が一番影響を受けているかを解明するためにはより多くの研究が必要であった。

 

付属器の他の使い道

 もちろん、動物の付属器は体温を調節する以外にも使い道がある。つまり科学者はよく動物の体形の変化の説明につながるのであろう他の理由に焦点を当ててきた。

 例えばガラパゴスフィンチの嘴の平均の長さは、種子の雨による大きさの変化に伴って徐々に変化してきたことが研究によって明らかになった。私たちは気温もフィンチの嘴の大きさの変化に影響するのかを明らかにするために、過去の情報を調査した。

 これらの情報は雨が嘴の大きさ(ひいては種子の大きさ)を決定していることを証明する。乾燥した夏の後、小さい嘴の鳥が減少した。

 しかしながら私たちは、小さい嘴の鳥はより暑い夏を生き残りにくいという明らかな事実を発見した。この生存に対する影響は雨においてみられたものよりも強かった。これより、気温が付属器の大きさの変化において食餌など他の付属器の使い道と同様に重要であるということがわかった。

 私たちの研究は、気温の上昇に対してどの種が一番付属器の大きさを変える可能性が高いかについて予測できることも示唆します。すなわち、アレンの法則に従うもののことです。

 これらには少し注意が必要であるが、ムクドリやウタスズメ、ウミドリの群れ、オポッサムなどの小さい哺乳類を含む。

 

なぜ体形の変化が問題になるのか?

 私たちの研究は、野生動物がどのように地球温暖化に応えるかを科学的に理解するための手助けとなっている。これは私たちの地球温暖化の影響を予想する能力を向上させる以外に、どの種が最も弱く優先的な保護を必要とするかの判断をできるようにする。

 先月発表された気候変動に関する政府間パネルでは、破壊的な地球温暖化を回避するために残された時間は少ないとされている。

 私たちの研究で地球温暖化に適応している動物がいるのが明らかになっている一方で、多くはそうでない。例えば、ある鳥は特定の食餌を続けなければならず、これは彼らが嘴の形を変えられないことを意味している。他の動物はただ単に短い時間で進化することができないだけである。

 野生生物がどのようにして地球温暖化に応えていくかを予想することが重要である一方、将来へ種を保存するための一番良い方法は劇的に温室効果ガスの放出を減らして地球温暖化を防げるだけ防ぐことである。

 

<感想>

 フィンチの嘴の進化の話は以前から知っていましたが、それには雨、さらには気温が関係している可能性があることは知りませんでした。地球温暖化が進んでいる今、記事でも述べられているように、優先順位をつけて動物を保護していく必要があるのではないかと思いました。

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