【記念すべき第一回目の投稿】
2019/06/14
はじめに
動物大好きの部屋へようこそ!
より皆さんに動物についてもっと身近に考えていただけるように新しい投稿ページを開始する機会をいただきました、AOMIです!
AJWCEFホームページ“スタッフメッセージ”にも書かせていただいておりますが、
オーストラリアで開催されるトレーニングコースやスタディーツアーなどで皆様のお世話をさせていただております。
参加された皆様からはきっとただの動物好きの人と思われていると思いますが、究極の動物好きを目指しております。
さて、この投稿ページには海洋生物から陸上動物まで様々な事について書かせていただこうと思っており、
目的は動物の生態と今の現状を知ってもらうこと、そして動物達に何ができるかを考えてもらうきっかけになることです。
それでは、これから定期的に投稿をしていきますので、皆さんどうぞよろしくお願いします!
8月の中旬から海洋生物保護トレーニングコースも開催されますので、今回はウミガメについて話していこうかと思います。
皆さんウミガメが泳いでいる姿を見たことがありますか?
水族館ではなく、野生のウミガメですよ。
海を悠々と泳ぐ姿は、何とも言えない美しさを持っていますよね。そして目が大きくってかわいい! ツンデレな顔立ちで、“フン”と投げ捨てるように言って泳ぎ去っていく感じもたまらないんです…
ウミガメは全世界で7種類 (亜種を入れると8種)いるのですが、オーストラリアでは、そのうち6種類のウミガメが見ることができ、全6種とも産卵がオーストラリアの浜辺もしくは島々で確認されています。日本でも3種のウミガメが日本の浜辺で産卵が確認されています。
さて、オーストラリアに生息、そして繁殖しているウミガメの種類はこの6種
- アカウミガメ(Loggerhead sea turtle)
- アオウミガメ(Green sea turtle)
- タイマイ(Hawksbill sea turtle)
- ヒメウミガメ(Olive Ridely sea turtle)
- オサガメ (Leatherback sea turtle)
- ヒラタウミガメ(Flatback sea turtle)
上3種(アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ)が日本でも繁殖が確認されている種になります。
悲しいことにウミガメ全種類は絶滅危惧もしくは絶滅危急種としてICUN(国際自然保護連合)に登録されています。
絶滅危惧種・絶滅危急種というのは、簡単に言えば個体数が何らかの原因で減少していて、近い将来に絶滅の危険性があるということです。
この個体数の減少の“なんらかの原因”についてはまた次回話すとして (長くなってしまいますので…)
まずはウミガメの生態について紹介していきます。
Q1ウミガメって何を食べているのか
ウミガメの種類にもよりますが、基本的に大きく分けると草食 (海藻や海草を食べる)のウミガメと肉食 (クラゲ、甲殻類、海綿動物など)のウミガメに分かれます。タイマイとヒラタウミガメに関しては雑食になります。
- アカウミガメ(Loggerhead sea turtle) :肉食 (軟体動物やクラゲ)
- アオウミガメ(Green sea turtle) : 草食
- タイマイ(Hawksbill sea turtle) : 雑食 (軟質サンゴや海綿動物など、生息地による)
- ヒメウミガメ(Olive Ridely sea turtle) : 肉食 (甲殻類)
- ヒラタウミガメ(Flatback sea turtle) : 雑食 (軟質サンゴ、甲殻類や海綿動物など)
- オサガメ (Leatherback sea turtle) : 肉食 (主にクラゲ)
Q2ウミガメってどこに生息しているのか
これに関しても種によって変わってきますが、基本的に熱帯・亜熱帯の海 (暖かい海)を中心に、南極海以外の海に生息しています。
- アカウミガメ(Loggerhead sea turtle) : 熱帯・亜熱帯地域の海洋全域 (南極海・北極海を含まない海域に生息)
- アオウミガメ(Green sea turtle) : 太平洋・インド洋・大西洋及びメキシコ湾・地中海
- タイマイ(Hawksbill sea turtle) : 熱帯地域沿岸の海
- ヒメウミガメ(Olive Ridely sea turtle) : 熱帯地域沿岸の海
- ヒラタウミガメ(Flatback sea turtle) : オーストラリア北東から北西部の沿岸の海
- オサガメ (Leatherback sea turtle) : 海洋全域 (南極海含まず)
Q3 ウミガメの成長の過程
ウミガメの成長過程について様々な研究や調査が現在でもされ、さまざまなことが解明されてきています。
卵 | Egg | 母ウミガメは産卵をするとき、自分が生まれた浜辺に戻ってきて産卵します。産卵の際、浜辺に穴を掘っても海水が出てこないところまで上がり、穴を足ひれで掘り、種にもよりますが約50~200のピンポン玉の大きさの卵を産み入れます。
ウミガメの性別は卵の時の環境の温度によって決まります。約30℃を上回るとメスになり、以下だとオスになりますが、もし温度が25度以下もしくは34度以上の温度になってしまうと、卵は孵化することなく死んでしまいます。これを温度依存性決定といいます (Temperature dependent Sex determination). |
羽化したウミガメの子 | Hatchling | 卵から孵化までの期間は約45日から70日間です。孵化したウミガメの子は海面に反射する光 (月光)を目印に海へ向かいます。海に向かう間に多くは捕食者によって食べられてしまいます。海に向かう間、子ウミガメは生まれた浜辺の磁界・磁気をインプリント (刷り込み)をします。
海にたどり着いた子は、最初は海に潜れないので、最初は海面に漂い、同じく海面に漂っているもの (海藻など) を餌にしています。 |
若いウミガメ | Juvenile | 現在でも孵化して一年目のウミガメはどこに行くのか、どのように生存しているのかはっきりとは解明できていません。
しかし研究者によるとほとんどの種類のウミガメの子は海流に乗って外洋を漂っていると考えられています。しかし、ヒラタウミガメに関しては、外洋への海流には乗らず、陸から比較的近い海域で過ごしているといわれています。 |
亜成体のウミガメ | Sub-adult | 海底に潜れるようになると、陸から比較的近い海域で海藻などを食べ始めます。食べるものについては種により違いますが、この時期は一か所にとどまらず広範囲を移動します。 |
成体のウミガメ | Adult | 性的に成熟 (Sexual Maturity)をした個体はメスを求めて、もしくは、産卵場所を目指して長距離を移動します。ウミガメの性的な成熟は種により変動がありますが、約3年から30年かかり、個体によっては50年以上とも言われています。産卵の時、メスは自分が生まれた浜辺を孵化した時にインプリントした磁界・磁気をもとに生まれた浜辺に向かいます。産卵時、浜辺にはメスのみが上陸し、オスは浜辺に上がってくることはありません。
ヒメウミガメのメスは産卵期になると一斉に一か所で産卵を行います。これを “アリバダ(arribada)”といいます。 |
それでは今回はウミガメの生態を紹介しました。
次回はなぜウミガメの個体数が減少しているのかについて書いていきたいと思います!