ワクチン未接種の馬がヘンドラウイルス で死亡、クイーンズランド州で3年ぶりの 感染例を確認
英文 Unvaccinated horse dies from Hendra virus as Queensland records first case in three years
記事発信元: ABC オーストラリア放送協会
2025年7月6日
担当 古茂田佳子
(図) クイーンズランド州南東部で、1頭の馬がヘンドラウイルスに感染して死亡しました。
クイーンズランド州南東部で馬がヘンドラウイルスに感染して死亡しました。州当局によると、これ は2022年以来となる同州での初の感染例です。クイーンズランド州バイオセキュリティ局によると、 ワクチン未接種の馬が7月4日(金)に感染検査で陽性反応を示し、その「容体は急速に悪化した」とされています。同州でヘンドラウイルスが最後に確認されたのは2022年、マッカイでの事例でした(リンク*1)。 それ以前は2017年以降、記録された症例はありませんでした。
*1 https://www.abc.net.au/news/2022-07-10/hendra-virus-detected-inmackay-for-first-time-in-fiv e-years/101225428
(図) 過去のヘンドラウイルス流行時に治療を受ける馬
ヘンドラウイルスは馬と人の両方に感染し、いずれにとっても致死的となる可能性があります。 このウイルスは、オオコウモリから馬へ、馬から馬へ、馬から犬へ、そして馬から人へと感染することがあります。 馬は、感染したオオコウモリの体液や排泄物で汚染された物質に接触することで感染すると考えられています。その後、感染した体液との直接的な接触や、汚染された器具を介した間接的な接触によって、 馬から馬へ広がる可能性があります。
(図) 馬の飼い主には、ヘンドラウイルスに対するワクチン接種を行うよう推奨されています。
ワクチン接種の推奨
フィオナ・トンプソン主席獣医官は、ウイルスの拡大を防ぐため、担当官が馬の飼い主と連携して 対応していると述べました。
「敷地内のほかの馬や動物に対して、追跡調査や接触状況の確認 を行いました」とトンプソン博士は述べました。
「また、感染した馬と接触した可能性のある人については、ク イーンズランド保健当局と協力 し、専門家が健康管理を行っています。」
馬の飼い主には、病気から守るためにワクチン接種を受けさせるよう呼びかけられています。
人間にはヘンドラウイルスのワクチンはなく、人への感染はまれではあるものの、起こり得るとされています。
クイーンズラ ンド州主席保健官のハイディ・キャロル博士によると、保健局は感染した馬と接触したすべての人 に連絡を取ったとのことです。
「過去の事例から、馬と接触した人のほとんどは健康を害さず、感染しないことが分かってい ます」とキャロル博士は説明しました。
「ただし、感染した馬と密接に接触したと判断された人については、ウイルス検査を優先的に実施します。」
また、オーストラリア馬獣医師会(EVA )とオーストラリア獣医師会(AVA)も、馬の飼い主に対してワクチン接種を改めて呼びかけました。
AVAのジェンマ・チャック会長は、この稀なウイルスの影響は「甚大な被害をもたらす恐れがある」と警告した。 「獣医師と馬の飼い主が協力し、ワクチン接種とバイオセキュリティ対策を徹底することが、動物と人の健康を守る鍵となります」と述べました。
「獣医師と馬の飼い主は、動物と人間双方の健康を守るために、ワクチン接種の推進とバイオセ キュリティ対策を協力して続けていかなければなりません。」とチャック博士は述べました。
(図) 馬に触れた後は、石けんと水でこまめに手を洗うよう推奨されています。
馬と関わる人には、次のような衛生習慣を徹底するよう呼びかけられています:
- 馬に触れた後は、特に食事、喫煙、目・鼻・口に触れる前に、石けんと水でこまめに手を 洗うこと
- 傷口は防水性のある絆創膏などで覆うこと
- 馬の体液に触れる可能性がある場合は、個人用防護具(PPE)を着用すること
- 馬の体液や排泄物が素肌に付着した場合は、石けんと水でしっかり洗い流すこと。
1990年代にブリスベンでウイルスが発見される
ヘンドラウイルスが最初に確認されたのは1994年、ブリスベンのヘンドラ地区にある競走馬の厩 舎で発生した集団感染でした。このとき調教師1人と馬13頭が死亡しました。
それ以来、オースト ラリア全土で66件の感染が確認されており、人では4人、馬では90頭が死亡しています。
人での 直近の死亡例は2009年に発生しました。
馬においては、発熱、心拍数の上昇、落ち着きのなさなど、さまざまな症状が現れる可能性があります。
クイーンズランド保健当局によると、人が感染 した場合にはインフルエンザに似た症状のほか、脳炎(脳の炎症)を発症することがあり、 後者 の場合は頭痛、発熱、強い眠気といった症状を引き起こす可能性 があるとされています。
感想
ヘンドラウイルスは馬だけでなく人にも感染し、致死的となる可能性があるにもかかわらず、人にはワクチンが存在しないという点は非常に重く受け止めるべきだと感じました。
そのため、馬へのワクチン接種が単に動物を守る行為ではなく、獣医師や飼い主、地域社会全体の安全を守るための重要な公衆衛生対策であると思います。
馬の飼い主に対するワクチン接種の重要性だけでなく、日常的な衛生管理やバイオセキュリティ対策の徹底が、動物と人の命を守る鍵だと思いました。 (古茂田佳子)