コアラは新しい遺伝子検査法より恩恵を受けるだろう
英文 202506 Koalas set to benefit from new genetic screening tool
記事発信元: UQ Communications, The University Of Queensland
2025年6月13日
担当 坂本 響子
クイーンズランド大学が主導しているプロジェクトにおいて、保全や回復に大きく貢献するコアラ個体群の遺伝子検査法を標準化する方法を開発した。
同大学環境学科のリンダル・ハルス博士によると、標準化されたコアラの遺伝子マーカーパネルは、全国の研究者にコアラの遺伝的変異を収集・共有し、研究間の連携や統合を可能にする一貫した方法を提供するという。
ハルス博士は「野生のコアラは生息地の減少、病気や交通事故などの増えつつある圧力のもとにあり、それが彼らにますます狭くて孤立した、自分たち以外のグループの繁殖相手と出会う機会を限定する地域で生きることを強制している」と述べた。
「近親交配個体群は、彼らの健康において有害な影響を持つといえる。」
「遺伝子マーカーを直接比較するための標準化されたパネルは、研究者と自然保護主義者、政府機関がコアラ個体群の遺伝的多様性をより良く理解でき、コアラたちの生存の確保のためにより強く連携することを可能にする。」
プロジェクトパートナーであるオーストラリアゲノム研究所(AGRF Ltd)の上級アカウントマネージャー、サウラブ・シュリヴァスタヴァ氏は、新しい遺伝子スクリーニング・ツールは次世代シークエンス技術を用いた一塩基多型配列アレイであると述べた。
「コアラの一塩基多型配列アレイは質の良いDNAをに対応できるため、コアラの野生個体群の広い範囲のモニタリングに適している」とシュリヴァスタヴァ氏は述べた。
「重要なことは、全ての研究者や管理者がこれを利用できることです。」
ハルス博士は、この方法は理想的には特定のコアラの地域間移送を導くのに役立つだろうと述べた。
「コアラの移送には厳しい規則があるが、これは脅威にさらされている個体群の遺伝的多様性増加と改善への鍵となり得る」と彼女は述べた。
「これらの象徴的なオーストラリアの有袋類はクイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、オーストラリア首都特別地域で絶滅危惧種に指定されており、50年後には飼育下のコアラしか見られなくなっているかも知れない。
「もし私たちがコアラを絶滅から救おうとするならばコアラの個体群毎の遺伝的多様性を把握しておくことは、重要である」
ニューサウスウェールズ州立大学のオーストラリア野生動物ゲノミクスグループの研究者たちも、このプロジェクトに参加していた。
オーストラリアゲノム研究所は、生物医学や健康、農業、環境などの幅広い産業分野にわたる専門的なの補助と最先端技術への全国的なアクセスを通して、オーストラリアのゲノム研究を前進させる非営利団体である。