生息地を失い、家畜によって踏み潰されているコアラについて専門家は語る 2017/10/20
2017/10/20
『Koalas being trampled by livestock amid habitat loss, wildlife experts say』(英文PDF)
ABC News 2017年6月17日
担当者:Saho
《要約》
コアラが生息地の喪失で苦しんでいる中、彼らは牛、馬やその他の家畜からの攻撃という更なる苦境に直面していると野生動物の専門家たちは言う。
コアラの赤ちゃんFraserは、去年ニューサウスウェールズ州の北部で、牛の攻撃により母親を亡くした。
彼の母親が殺された時、Fraserは攻撃により足と手を骨折した。
赤ちゃんは、クイーンズランド州のゴールドコーストにあるカランビンの野生動物病院で治療され、現在、ニューサウスウェールズ州の北部リスモアで世話人(訳注:野生動物の孤児を自宅でお世話をする免許を持つ人)、Susannah Keoghさんと住んでいる。
Keoghさんは、彼はとても小さいため、助からないだろうと考えていたと言った。
私たちが、彼についてもう諦めようとしていた時、いつも彼は戦い、非常に力強く生き抜きましたと彼女は言った。
彼が来た時、600gしかなかったが、現在は4kgもある。奇跡だ‼
Friends of Koala(訳注:「コアラの友達」というニューサウスウェールズ州北部のコアラ保護団体)の一員でもあるKeoghさんは、コアラに攻撃する牛は、ニューサウスウェールズ州北部では、かなり一般的で、過去15か月で8匹が殺されたと言った。
家畜は、コアラが自分達を脅かすものと誤解していると考えられます。
牛は著しくコアラより大きいので、攻撃された場合はたいていコアラにとって致命的である。
カランビンの野生動物病院の上級獣医師Michael Pyne氏は、牛から傷つけられるのは良くある事だと同意している。
「驚く事に、それはかなり多く起きている。報告されていないものもあると確信している。」
病気は、コアラにとって未だ最大の脅威であり、それは、去年病院の受け入れ理由の60%を占めている。
コアラは木を失ったため、地面でより多くの時間を過ごす。
クイーンズランド州のDaling Downs地域出身のコアラのレスキュー隊のClare Goverさんは、毎年、牛や馬によって傷つけられた多数のコアラを見ると述べている。
傷害はかなり恐ろしい。―踏みつけられ、放り出され、複数の骨折や内出血、臓器にダメージを与えられる。
Goverさんは、(複数の)馬によって猛攻撃されたコアラのHarrietと子供のTaylorを治療し、数ヶ月のリハビリ後、野生へ返すことに成功した。
コアラは、木(生息地)の損失と土地開発により、地面で過ごす時間が多くなったと述べている。
世界自然保護基金(WWF)の広報担当官、Martin Taylor博士は、彼らの生息地がブルドーザーで破壊される中、家畜の攻撃はコアラが直面するもう一つの障害なのである。
これはコアラたちが直面する(脅威、困難の)一つの例に過ぎない。なぜなら彼らの森は、倒されたり、壊されたりしているからである。そのスケールは計り知れない。
Taylor博士は、おそらく牛は、コアラを自分達の子牛を害する可能性のある小さな犬などの脅威と混同していると言う。
土地所有者たちは、いかなる傷害や死亡についても報告するように求められている。
《感想》
コアラが牛に攻撃されているという事実にまず驚きました。人間の利益だけを求めた結果が、コアラの生活環境を奪うことだけでなく、他の動物からの攻撃を受けることにも繋がってしまいます。コアラの生息環境を壊さないためには、どのような工夫が必要なのか今一度考え直すべきだと思いました。コアラや牛等の動物たちとヒトとがバランスよく共存することはやはり難しいのでしょうか?