新しい寄付支援によって、ロイヤル国立公園で成長中のカモノハシの個体群へ更なる個体が再導入される
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Lachlan Gilbert記
UNSW Media
2025年6月6日
担当 J.U
写真注釈
ロイヤル国立公園へカモノハシを再導入するプロジェクトの一環としてタネアル・ホーク博士が捕らえたカモノハシをリリースしている状況(写真:UNSWシドニー/リチャード・フリーマン)
UNSWシドニーのカモノハシ保全イニシアチブは野生生物の回復のために画期的なプログラムを拡大した。
ロイヤル国立公園への歴史的なカモノハシの再導入から2年後、ニューサウスウェールズ大学(UNSWシドニー)の研究者たちはこの画期的な保全プログラムの第二段階に突入し、さらに3匹のカモノハシをロイヤル国立公園内のハッキング川へリリースした。
この3匹のカモノハシは、今後3年間でロイヤル国立公園に再導入される計画である10匹のカモノハシの一部であり、本計画は遺伝的多様性を強化し、繫栄している、存続可能な個体群を支えることを目的としている。
2023年に再導入された最初の個体群の回復は期待を超え、少なくとも10匹のうち9匹は重要とされている初めの1年間を生き延びたことが確認されている。さらに、予想されたより早く繁殖が始まっており、すでに自立した個体群が形作られていることが見られるという確固たる証拠がある。
「この結果は、保全活動を戦略的に計画することによって達成できる結果を表しています。」とUNSWシドニーの生態系科学センターを率いるギラド・ビノ博士は述べる。「カモノハシたちが生存して、繁殖し、そして住処を取り戻していることを観察できることは驚くべき特別なことです。それは単なる科学的な成功ではなく、失ったものを回復するということなのです。」
UNSWシドニーの研究者たちは、ピーポディ・エナジー社(石炭採掘会社)が所有するメトロポリタン鉱山事業から今後3年間で630,000ドル(約6200万円)の資金援助を受け、プロジェクの次の段階を始めた。3年間にわたる段階的な再導入は、集中的なモニタリングと順応的管理によって遺伝子の多様性を優先とし、続けられる。
写真注釈
ロイヤル国立公園のカモノハシの再導入は、ニューサウスウェールズでは最初の取り組みである。(写真:UNSWシドニー/リチャード・フリーマン)
「資金援助は、この重要な仕事を続けることを促進し、ロイヤル国立公園内のカモノハシの個体群が健康的そして多様になるように回復させるという共通の意志を反映している。」とビノ博士は述べた。
ロイヤル国立公園におけるカモノハシの再導入は、ニューサウスウェールズ州では前例のない取り組みであり、州内では最も野心的な野生動物回復プロジェクトの一つである。
動物福祉と新たな生息地への適性を確保するために、本プロジェクトでは厳格な計画、リスク評価、そして地域社会の強い協力が基盤となっている。
UNSWのカモノハシ保全イニシアチブの研究者たちは、リモートモニタリングとライブトラッピングを使用して動物の移動と行動を追跡してきた。
これらのツールはカモノハシがどのように環境を探索をして定着し、環境との相互作用に関する貴重な知見を提供し、今後の保全戦略で活用できる情報元となる。
私たちが現在収集しているデータは、ロイヤル国立公園だけでなくカモノハシの分布域全体の保全の未来を形作るだろう。
タネアル・ホーク博士
本計画の第一段階では、研究チームは地元の土地管理者、コミュニティ団体、そしてボランティアと密接に協力し、川の水質モニタリングや侵略的外来種や汚染などの脅威への対処を行った。
また、ニューサウスウェールズ州の国立公園管理局からの支援と現地での協力は不可欠であり、公園内へのアクセス、計画の運営・管理や長期的なの生息地保護と計画などにとって重要な役割を果たした。
このパートナーシップは第二段階やそれ以降の段階まで続くことが期待される。
「再導入のたびに、カモノハシが復元された環境でどのように適応、移動や行動するのかについて学ぶ機会を得ることができる。」と生態系科学センター研究員であるホーク博士は述べている。「私たちが現在集めているデータはロイヤル国立公園だけでなくカモノハシの分布域全体において、カモノハシ保全の未来を形作るだろう。」
生態系科学センターのディレクターであるリチャード・キングスフォード教授は、このプロジェクトが協力的な保全計画の力を示していると述べている。
「科学、政府、産業そして地域社会がどのように連携して生態系を回復させ、私たちの最も象徴的な野生動物を保護するために共に働くことができるのかを示す模範例である。」と彼は言った。
ピーポディ社メトロポリタン鉱山事業のゼネラルマネージャーであるジェームズ・ハニガンは、自社が地元の保全活動を支援することをを誇りに思うと言っている。
「国の象徴的な種を本来の生息地へ返還させ、長期的な存続を確保できる珍しい機会です。私たちはこの取り組みに貢献できることを嬉しく思います。そして、ロイヤル国立公園と私たちが事業を行っているへレンズバラのコミュニティにとって意義深い成果をもたらしたUNSWの取り組みを賞賛します。」
プロジェクトが次の段階に入るにあたり、UNSWのカモノハシ保全イニシアチブはこの希少な種を保全する取り組みの最前線にあり続けており、その本来の生息地である野生へ戻すことに取り組んでいく。
感想
カモノハシの再導入の取り組みが行われていることを知らなかったので、この記事の主題を読みとても興味を持ちました。実際にカモノハシの繁殖が確認され、個体群が形成されているという前向きな成果が出ていることを知り、翻訳をしながらとてもうれしく思いました。特に「失ったものを回復する」という表現が印象的で保全活動の意義を改めて感じました。
また、今回の記事で取り上げられているプロジェクトは、研究機関だけでなく地域社会の協力や資金援助などの多くの支えがあって成り立っていることが分かりました。保全活動は研究者の思いだけでなく、地域全体で取り組むことでより大きな力を発揮するのだと感じました。そして、このような保全活動が実施した地域のみならず、カモノハシの分布域全体の保全につながるという点も印象に残りました。保全活動が次の保全につながるという良い循環が続いて、カモノハシの未来が明るくなることを期待しています。
ーJ.U