ニューサウスウェールズ州の男性、コウモリに噛まれ「狂犬病に似た」リッサウイルスで死亡
英文 NSW man dies from 'rabies-like' lyssavirus after bat bite 202507
Bruce MacKenzie記
ABC オーストラリア放送協会
2025年7月3日
担当 Miii
写真注釈リッサウイルスはコウモリによって広がる珍しい病気である。(写真提供:クレイグ・グリーア)
ニューサウスウェールズ州北部で、男性がオーストラリアコウモリリッサウイルスに感染して死亡した。同州での感染の確認は初めてとなる。
ニューサウスウェールズ州保健当局の水曜日の発表によると、男性は50代で数ヶ月前にコウモリに噛まれ治療を受けていたという。
ウィルスの症状が現れたあとは、効果的な治療はなく、何かほかのものとの接触や他の要因が感染に関与していないか調査が進められている、という。
今回の感染はオーストラリアで4つ目の事例だった。
ニューサウスウェールズ州保健当局は、リッサウイルスは中枢神経系に影響を与える「狂犬病のような感染症」だと説明した。
感染したコウモリに噛まれたり引っかかれたりすることで、人に感染する。
ニューサウスウェールズ州保健当局はコウモリには触れないよう警告している。
写真注釈ニューサウスウェールズ州保健当局はコウモリに直接触れないように人々に警告をしている。(写真提供:ボブ・ブラン)
移ることは「滅多にない」
クイーンズランド州のオーストラリアン・バット・クリニック(オーストラリアコウモリ病院)とワイルドライフ・トラウマセンター(野生動物外傷センター)を運営し、野生動物のケアラーを30年以上やっているトリッシュ・パターソンさんは、コウモリとヒトとの間でのリッサウイルスの感染は「非常に稀だ」と言う。
「1度感染してしまうと、かなりの確率で死に至ります。だから、ケアラーたちはワクチンを接種しています。」
「けれど、コウモリに触れさえしなければ、噛まれることも引っかかれることもありません。」
「リッサウイルスは噛まれたり引っかかれたりしない限り、感染しませんから。」
写真注釈トリッシュ・パターソンさんはコウモリを含む、野生動物のケアを長年行ってきた。(写真提供:トリッシュ・パターソン)
パターソンさんは、男性がコウモリに噛まれた後、専用の処置を受けていたにも関わらず、感染症が進行していたということが懸念点だと話す。
「もし、男性が噛まれた(直後に)処置を受けたにも関わらずウィルスに感染したのなら、すこし気がかりです。」と続けた。
ニューサウスウェールズ州保健当局によると、もし誰かがコウモリに噛まれたら、緊急医療処置が重要だという。
狂犬病に対する免疫グロブリンの投与による治療や狂犬病ワクチンの接種が必要になるケースが多いという。
オーストラリアでは、昨年、118人がコウモリに噛まれたか引っかかれたことによる医療診断を受けた。
このリッサウイルスはオオコウモリ(フライングフォックスやフルーツバット)や昆虫を食べるココウモリに見られる。
感想
AJWCEFのトレーニングで、コウモリはウイルスを運ぶけれど、生態系の維持には欠かせないと習ったので、この記事については人と動物はどう一緒に暮らしていけばいいのだろうかととても考えさせられました。また、日本でも同様のケースがあるのかどうかも気になりました。