AIの導入で車との衝突からコアラを守れるのかーニューサウスウェールズ州
AI used to protect koalas from being hit on south-west Sydney roads
AIの導入で車との衝突からコアラを守れるのかーニューサウスウェールズ州
Nick McLaren 記
ABC Illawarra
2025年3月11日
担当 Miii
記事の概要
コアラをはじめとする野生動物の致命的な事故を防ぐために、AIカメラ等の最新技術が導入される。シドニー南西部の道路では、車との衝突を防ぐ試みとしてトライアル導入される予定だ。
また、標識やコアラ用の一方通行の「避難通路」も設置が予定されている。
今後の見通し
シドニー・ベースン・コアラ・ネットワークにより、建設予定だった野生動物用の地下道が未だ建設されていないと指摘されている。
AI技術を道路に設置されているカメラに搭載し、コアラが近づいた時に運転手へ警告する技術の試運転が行われている。
この試みは、シドニー南西部での野生動物の横断頻出エリアにて、野生動物との衝突事故を減らすために政府が支出した50万ドルの選挙公約の一部だとニューサウスウェールズ州の交通大臣ジョン・グラハム氏は述べた。
彼によると、様々な種類の動物を判別し、運転手に対して警告してくれる、「賢い標識」がイエノラにあるニューサウスウェールズ州の交通機関でトライアル導入中だという。
「これらの標識は実際に動物が近くに居ることを感知し、近くで動物が動いている時にだけ点灯するようになっている。これは、野生動物との衝突は単に理論上の問題では無いのだということを運転手に対して知らせる。動物が実際にいて、例えばコアラの場合、運転中に道路の近くに居ると意識すると、運転手はそのことを気にかけるようになるだろう。」
また、他の取り組みとして、道路を明るい色で塗装することで、運転手が野生動物を避けやすくなるかが試されている。
「まず、単に道路が変わったという変化があることで、運転手が以前より注意を払えるようになるかを試している」と、グラハム氏は説明した。
「その上、塗装を変えることで運転中でも動物のシルエットがもっと見るようになると考えられる。これこそが、我々がクダルの研究所で試していることだ。」
グラハム氏によると、アッピン・ロードのコアラ頻出エリアにおける更なるコアラ標識の設置も進行される。
さらに、コアラ用の一方通行の避難通路も設置される予定だという。これにより、高いフェンスが設置された道路にコアラが侵入してしまっても、道路から脱出することができ、一度出てしまえば道路に戻ることが出来なくなる。
避難通路はウィルトン近郊のヒューム・ハイウェイ沿いのコアラ用のフェンス、ネピアン橋とムールガン・クリーク橋では既に導入されており、ギリアド近くのアッピン・ロードにも導入予定だという。
しかし、シドニー・ベースン・コアラ・ネットワークのソール・ディーン氏によると、ニューサウスウェールズ州交通局はシドニー南西部でのコアラの死を防ぐための政策を未だ実施していないようである。
遅すぎる新たな一手
ディーン氏によると、アッピン・ロードにて建設が予定されていた野生コアラ用の地下道が未だ着工されていない。アッピン・ロードでは2024年、車との衝突によるコアラの死亡事故が2倍に増えている。
コアラの死亡数が急増しているという事実に反して、地下道が未着工だとディーン氏は指摘する。
「全体的に、過去2年間のシドニー南西部での車との衝突によるコアラの死亡件数は2倍に増えています。我々に残された時間はわずかなのです。コアラの生息地消滅や彼らの通路が完全に塞がれてしまうという現実を前にすれば、予定されていた基本的なコアラ用の設備や野生動物用の横断通路などはもっと早く設置すべきでした。」
ニューサウスウェールズ州のコアラ政策上、2050年までにコアラの頭数を2倍にすることが目標されているが、実際にはその真逆の方向に向かっているとディーン氏は述べた。
「アッピン・ロードでの車との衝突によるコアラの死亡件数が2倍になっているとは、コアラの頭数を2倍にするという目標に対して間違った方向に進んでいるのが明らかだ。」と、ディーン氏は語った。
【感想】
コアラは日本でも人気があり、オーストラリア観光の見どころの1つですが、その目下では彼の保護のために様々な試みが為されているということを、この記事を読みながら実感できました。
また、AIといった最新技術の導入や一方通行の避難通路の設置などの工夫が取られているものの、現状はそう甘くはないということをひしひしと感じました。
彼らのことを守るためにも、こういった記事を通して、正しい情報を知ることが大事だなと思いました。